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[〖PC〗] [2016年10月28日][円環のメモーリア][A'sRing新作 人工神×学園×青春][02/10更新]

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发表于 2015-9-16 18:51:20 |阅读模式
RU5IMjc=43FJ3L
【乙女向】
类型: R18乙女向けアドベンチャーゲーム
发售日期: 2016年10月28日
官方网站: http://asring.1000.tv/enmemo/index.html
制作公司: A\'sRing
原画: ゴゴちゃん
剧本: 高岡果輪
本帖最后由 亞莎 于 2016-8-10 09:36 编辑
[j]43FJ3L RISDGR[/j]
[j]43FJ3L RISDFU[/j]2016.02.10  キャラクターページ「香月蓮」と「香月湊」に服装切り替えを追加しました
[j]43FJ3L RISDFU[/j]

[j]43FJ3L RISDGA[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDH7[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGA[/j]2016.01.22  ギャラリーページを更新しました
[j]43FJ3L RISDFO[/j]
[j]43FJ3L RISDGX[/j]
                               
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[j]43FJ3L RISDH9[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDG4[/j]2015.01.18  スペシャルページを更新しました。骨正月SS期間限定公開[j]43FJ3L RISDGA[/j]

[j]43FJ3L RISDGQ[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGL[/j]
            『はじまり、はじまり』[j]43FJ3L RISDG3[/j]
      
[j]43FJ3L RISDG3[/j][j]43FJ3L RISDGE[/j]
                骨正月 Short Story
[j]43FJ3L RISDFO[/j]
[j]43FJ3L RISDGB[/j]お正月気分はとっくの昔に消え去って、新学期も始まって。コンビニやスーパーの売り場では太巻きとチョコレートが派手に売り出される1月下旬
[j]43FJ3L RISDFZ[/j] そんな、とある日……1月20日。学校から帰ってきた私は、何故か晴れ着を着せられて花葵神社へと向かっていた
[j]43FJ3L RISDFR[/j]
[j]43FJ3L RISDGF[/j]「やっぱり振り袖は華やかでいいね。最高に綺麗だよ、紗結」
[j]43FJ3L RISDH1[/j] 隣を歩くお兄ちゃんは私に向かってデバイスをかざし、さっきからシャッターを切り続けている
[j]43FJ3L RISDGO[/j] お兄ちゃんのこれはいつものこととはいえ、街中ではさすがにちょっと遠慮してもらいたい[j]43FJ3L RISDFM[/j]
「お兄ちゃん……その連写モード、いいかげんにやめようよ」
[j]43FJ3L RISDH5[/j]「ん? ムービーの方がいい?」
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]「そういう意味じゃなくて。ほら、私の方じゃなくてちゃんと前向いて歩いて。ちっちゃい子もこっち見てるし、真似したらよくないでしょ」[j]43FJ3L RISDG7[/j]
「あ、ホントだ。着物姿の紗結が美人だから、あんな小さな子まで見惚れてるんだねえ」[j]43FJ3L RISDGS[/j]
「だから、そうじゃなくて!」
[j]43FJ3L RISDFV[/j]「はい。ごめん。反省します」
[j]43FJ3L RISDG4[/j] わざとらしく渋面を作ってたしなめると、ようやくお兄ちゃんはデバイスをしまってくれる
[j]43FJ3L RISDFS[/j] ……あの小さな機械の中に、日々撮り続けられる私の写真がどれだけ入っているのかと考えると目眩がしそうだ
[j]43FJ3L RISDFO[/j](晴れ着でテンションが上がる気持ちは、私もわからなくないけど……)
[j]43FJ3L RISDH0[/j] 帯は苦しいし、裾が乱れるから大股で歩けないし、草履の鼻緒は痛いし
[j]43FJ3L RISDFP[/j] それでもやっぱり、こんなに綺麗な着物を着ていると心が浮き立つ
[j]43FJ3L RISDGL[/j] めでたいハレの日に着るから、晴れ着。特別な日の、特別な衣装
[j]43FJ3L RISDGL[/j]
[j]43FJ3L RISDGI[/j]「ねえ、こんな時期に着物なんて……今日って何かあるの?」[j]43FJ3L RISDGD[/j]
「今年は参拝客も倍増して、大変だったからさ。年越し、大正月、小正月と大忙しで頑張ってくれた神様に、お年玉をあげようと思ってね」
[j]43FJ3L RISDGX[/j]「お年玉……?」
[j]43FJ3L RISDH9[/j] 首を傾げると髪飾りも揺れて、大輪の花に付いた鈴がちりんと涼やかな音を立てる[j]43FJ3L RISDGI[/j]
 長い石段の前まで来ると、お兄ちゃんは笑顔で私へ手を差し伸べた
[j]43FJ3L RISDG9[/j]「さて、神の御許へ参りましょうか。お姫様」
[j]43FJ3L RISDGX[/j]
[j]43FJ3L RISDG5[/j][j]43FJ3L RISDGX[/j]
***
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]
[j]43FJ3L RISDFY[/j]
[j]43FJ3L RISDGM[/j] 石段を登り終えると、少し呼吸が上がる
[j]43FJ3L RISDGK[/j] すっかり温まった身体で深く息を吐くと、白く濃く煙った
[j]43FJ3L RISDFO[/j]
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]「あー! 紗結っ、すげー! うわうわうわ、晴れ着、メチャクチャ似合ってる! すっげーきれー!」[j]43FJ3L RISDH9[/j]

[j]43FJ3L RISDFS[/j] 私よりももっと白い吐息を弾ませて、花葵神社の神様――人工神が奥社から全速力で駆けてくる
[j]43FJ3L RISDGC[/j]「あけおめー!」[j]43FJ3L RISDG8[/j]
「あ……あけまして、おめでとう?」
[j]43FJ3L RISDGT[/j] 勢いにつられて返すものの、1月も20日になってこの挨拶はどうなんだろう[j]43FJ3L RISDFU[/j]
 それに、巫女のアルバイトをしている私は年越しも三が日もずっと花葵神社にいたし
[j]43FJ3L RISDH2[/j] 新年から蓮と顔を合わせて、あけましておめでとうの言葉もちゃんと交わしていたと思うんだけど
[j]43FJ3L RISDGT[/j]
[j]43FJ3L RISDFX[/j]「湊っ、ホントに紗結の晴れ着姿見せてくれたんだなー。ありがと!」[j]43FJ3L RISDH8[/j]
「どういたしまして。締めくくりの二十日正月に、俺からのお年玉だよ」[j]43FJ3L RISDGY[/j]
「二十日正月? ……って、なに?」
[j]43FJ3L RISDG4[/j] 耳慣れない言葉に、私は再び首を傾げる
[j]43FJ3L RISDFY[/j] 年末から年明け……花葵神社は様々な行事が目白押しの大わらわで、15日の小正月が過ぎてやっと落ち着いたと思ってたのに[j]43FJ3L RISDH2[/j]
(バイト巫女の私でも、1月前半は目が回るほどの忙しさだったもんね……)
[j]43FJ3L RISDFR[/j] 神職の斗真さんや、神様の蓮は休む間もなくもっともっと大変だっただろう[j]43FJ3L RISDGV[/j]
「今日、何か行事があるの? 着替えて手伝おうか?」
[j]43FJ3L RISDFR[/j]「あ、だいじょーぶ。今日は特になんもしないんだ」[j]43FJ3L RISDFP[/j]
 蓮はそう言って、にっこりと笑う
[j]43FJ3L RISDG7[/j]「二十日正月ってのは、正月の終わりとする節日なんだよ。今日が新年の祝い納めで、神様がみーんな元の場所に帰るって日」
[j]43FJ3L RISDFT[/j]「へぇ……そうなんだ!」[j]43FJ3L RISDGS[/j]
「うん。正月の間は、象徴として歳神さんの役目もしなきゃだったしなー。今日から、やっと通常業務」[j]43FJ3L RISDFT[/j]
 暦に疎い私の感覚では三が日が過ぎたら大体お正月が終わりだし、なんとなく七草粥を食べる7日までが松の内っていうんだよねという薄ぼんやりとした知識がある程度だ
[j]43FJ3L RISDGV[/j] 二十日正月というものも知らなかったし、そういう区切りになるんだとも全然知らなかった
[j]43FJ3L RISDH3[/j]
[j]43FJ3L RISDGC[/j]「俺にとっては、元の座に戻る今日が一年の始まりの日って感覚なんだ。だから、あけましておめでとう」
[j]43FJ3L RISDG5[/j]「二十日正月が、人工神の蓮にはお正月だもんね。だから、世界で一番華やかなハレの気でお祝いしてあげようと思って」
[j]43FJ3L RISDG8[/j] ふたりの言葉を聞いて、私はようやく自分がこの恰好で花葵神社に連れてこられた理由を理解した
[j]43FJ3L RISDGK[/j](でも……)
[j]43FJ3L RISDFU[/j] 正月を過ぎたこの時期は、参拝客がとても少ない。ましてや、晴れ着の人なんてひとりも来ない
[j]43FJ3L RISDH6[/j](初詣は、あんなに大勢の人で賑わってたのに)[j]43FJ3L RISDG1[/j]
 新たな歳神が人の世に降りてこられ、人は新年を寿ぎ、皆が晴れ着とハレの気を纏ってお祝いする[j]43FJ3L RISDFX[/j]
 そんな……『人』のための晴れやかなお正月。一年で最大の祭事[j]43FJ3L RISDH6[/j]
 それに対して、花葵神社の『神様』が迎える新たな日はこんなにもひっそりしている
[j]43FJ3L RISDH4[/j][j]43FJ3L RISDFU[/j]
「私だけって……淋しくない? せっかく蓮のお正月なのに」
[j]43FJ3L RISDG3[/j]「なんで? 今ここに紗結がいてくれるから、ぱあっと明るい花が咲いたみたいじゃん」
[j]43FJ3L RISDGS[/j] 私の小さな愁いを吹き飛ばすように、蓮は心から楽しそうな笑い声を上げる[j]43FJ3L RISDGB[/j]
「ぴかぴか光ってて、あったかい気がいっぱい広がって、すげー嬉しい! ありがとな、紗結! ……あっ、湊も!」[j]43FJ3L RISDGK[/j]
「ついでみたいに付け足してくれて、どうも」[j]43FJ3L RISDG2[/j]
「えへへー」
[j]43FJ3L RISDFL[/j] 照れ臭そうに頭を掻いてから、蓮は私の目の前に勢いよく両手を広げる
[j]43FJ3L RISDG4[/j] そして、ぴんと伸ばした十指を示してみせた[j]43FJ3L RISDH3[/j]
[j]43FJ3L RISDH4[/j]
「はいっ、紗結! 引いて!」
[j]43FJ3L RISDGP[/j]「引くって……なに?」
[j]43FJ3L RISDFY[/j]「新年だから、おみくじ。運気上昇! 御利益バッチリ!」[j]43FJ3L RISDFZ[/j]
 早く早くと急かされ、私はちょっと混乱しながらもうなずく[j]43FJ3L RISDFS[/j]
 つまりは、この十本の指のどれかを引けということなんだろう。突拍子もない蓮の行動にも、少しずつ慣れてきた気がする
[j]43FJ3L RISDGY[/j](おみくじかあ……どれにしようかな)
[j]43FJ3L RISDFL[/j] 右手、左手。親指、人差し指、中指、薬指、小指
[j]43FJ3L RISDG4[/j] 十の選択肢が揺れていて、どの指に触れようか迷ってしまう
[j]43FJ3L RISDFP[/j](あ……蓮の手、すごくきれい……)
[j]43FJ3L RISDG8[/j] 今までこうやって近くでまじまじと見る機会なんてなかったから、あまりの美しさにびっくりしてしまう
[j]43FJ3L RISDGN[/j](こういうのを、神々しいっていうのかな)
[j]43FJ3L RISDGZ[/j] 女(xing)のたおやかな手に対して白魚のようなという形容詞があるけれど、それだけでなく蓮の手は男(xing)の力強さもあって……不思議な色香に満ちている[j]43FJ3L RISDH7[/j]
 すらりと伸びた指や色素の薄い白い肌も、桜の花弁のように淡く微かに色づく爪も、何もかもが綺麗だと思った[j]43FJ3L RISDH3[/j]
[j]43FJ3L RISDG6[/j]
「紗結ー、まだー?」
[j]43FJ3L RISDGF[/j]「えっ、あ、うん!」[j]43FJ3L RISDFP[/j]
 お預けをされた子どものような表情で、蓮が私を見つめている[j]43FJ3L RISDFX[/j]
(ど、どうしよう……)
[j]43FJ3L RISDG0[/j] 遊びみたいなものなんだろうし、適当にどれか引いてしまえばいいんだろうけど……一度目を奪われてしまうとどの指にも惹かれて選べなくて[j]43FJ3L RISDFQ[/j]
 欲張りにも程があるけど、この両手を――全部欲しいって思ってしまった
[j]43FJ3L RISDGY[/j]「えいっ」
[j]43FJ3L RISDG3[/j]「……ッ? ささささ、さゆっ?」
[j]43FJ3L RISDGI[/j] 裏返った声で私の名前を呼び、蓮は大きな瞳を幾度も瞬かせている
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]「大吉も大凶も。おみくじ、全部くださいな」
[j]43FJ3L RISDGU[/j]「ななな、なっ……なに、それ……反則じゃね? ずるくね?」[j]43FJ3L RISDGU[/j]
「だって、どれか一本って言わなかったもん」
[j]43FJ3L RISDGF[/j] 私は両の掌で蓮の両手を掴み、ぎゅっと力をこめる
[j]43FJ3L RISDH7[/j]「い、いやいやいや、紗結……あのな……おみくじってのは、そーゆーのじゃなくて」[j]43FJ3L RISDGC[/j]
「あ、蓮の手冷たい。薄着だし冷えるよね……神様って、手袋とかしちゃだめなのかな」
[j]43FJ3L RISDGG[/j]「――――?」[j]43FJ3L RISDG5[/j]
 握った手を口元まで持ち上げ、体温の低い指先にはぁっと息を吹きかける
[j]43FJ3L RISDGY[/j] 何度か繰り返すと、ふたりで繋いでいる手がじんわりと同じくらいの温もりになってきた
[j]43FJ3L RISDG5[/j]「……あ、手あったかくなってきたね。よかった」
[j]43FJ3L RISDG8[/j]「…………う、うん。あったかい。あったまった」
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]「じゃあ、今度は私から蓮に。はい、お正月のおみくじ引いて!」[j]43FJ3L RISDGW[/j]
 するりと手を解き、私は蓮の目の前で両掌を開く[j]43FJ3L RISDGW[/j]
 当然、蓮が選んだのは――
[j]43FJ3L RISDGP[/j]「紗結のおみくじ、全部くださいな」[j]43FJ3L RISDGC[/j]
「はい、どうぞ」
[j]43FJ3L RISDFY[/j] 神様の綺麗な両手が、私の手をしっかりと包み込む[j]43FJ3L RISDFW[/j]
 もう彼の手はとても温かくて、熱いほどだ
[j]43FJ3L RISDFU[/j][j]43FJ3L RISDG2[/j]
「へへっ、俺、おみくじって引くの初めてだ」
[j]43FJ3L RISDG1[/j]「あ、そっか。神様は自分ちのおみくじ引かないもんね」
[j]43FJ3L RISDH0[/j]「うん。なんか、今年一年花マルの大大吉もらった気分」[j]43FJ3L RISDG9[/j]
「私も蓮も、全部引いちゃったんだから大凶も入ってるかもよ?」
[j]43FJ3L RISDGC[/j]「いーよ、紗結と一緒ならなんでも楽しい! ぜったい、ぜーったい楽しい!」
[j]43FJ3L RISDGQ[/j] 溢れて零れ出すほどにハレの気を纏わせた神様は、頬を染めて輝くように笑う[j]43FJ3L RISDG8[/j]

[j]43FJ3L RISDFS[/j]「今年もよろしくなっ、紗結!」
[j]43FJ3L RISDGS[/j]「こちらこそ、よろしくね。蓮」
[j]43FJ3L RISDGP[/j][j]43FJ3L RISDG5[/j]
 晴れの日、雨の日。ハレノヒ、ケノヒ[j]43FJ3L RISDG1[/j]
 これから過ごす新たな一年の間には、たくさんのことがあるんだろうけど……大吉も、大凶も、すべて受け止めたい
[j]43FJ3L RISDH2[/j] この陽気な神様と過ごす日々は、毎日が驚きと楽しみに満ちているのだから
[j]43FJ3L RISDGP[/j]
[j]43FJ3L RISDG3[/j][j]43FJ3L RISDGD[/j]
                END

[j]43FJ3L RISDGY[/j]
[j]43FJ3L RISDFV[/j]2015.12.25  スペシャルページを更新しました。クリスマスSS期間限定公開[j]43FJ3L RISDH7[/j]

[j]43FJ3L RISDG5[/j]
[j]43FJ3L RISDGA[/j]
            『Merry Christmas!』[j]43FJ3L RISDGD[/j]

[j]43FJ3L RISDGC[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDFP[/j]                Christmas Short Story
[j]43FJ3L RISDH0[/j]「メリークリスマス!」[j]43FJ3L RISDGS[/j]
         ぴかぴかに飾り付けたツリーを囲み、それぞれちょっと浮かれた恰好をした私たちはそのお祭りではしゃいで楽しむ
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]       
[j]43FJ3L RISDGW[/j]        「なーんか、神社でクリスマスパーティーってのも変な感じだな。イエスキリストの誕生日だろ? よその神様のお祝いなんてここでやっていいのか?」
[j]43FJ3L RISDH5[/j]        「うーん……でも、ハロウィンもそうだったけど、すっかり日本のお祭りになっちゃってる気もするよ」[j]43FJ3L RISDGN[/j]
        「ま、そっか。第一、ここの神様がいちばん浮かれてクリスマス楽しんでるしな」
[j]43FJ3L RISDFV[/j]       
[j]43FJ3L RISDFM[/j]         三角帽を頭に載せた瑛太の視線の先には、カラオケマイクを握ってクリスマスソングを熱唱する神様――花葵神社の人工神、香月蓮の姿があった[j]43FJ3L RISDFT[/j]
        「じんぐるべー、じんぐるべー、すっずがーなるーいぇーい」
[j]43FJ3L RISDG0[/j]        「……ねえ、瑛太……あのノリノリのワンマンステージ、何曲目だっけ」
[j]43FJ3L RISDH2[/j]        「ま、あいつ歌は下手じゃないし。BGM代わりにしとけばいいんじゃね?」
[j]43FJ3L RISDGW[/j]         蓮の奇行……もとい、行動にもすっかり慣れた瑛太は、神様オンステージも気にせず次々と料理のお皿を空にしていく
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]         その食べっぷりは見てて気持ちいいほどで、用意しすぎちゃったかなって心配になっていたクリスマスのごちそうもこれなら大丈夫そうだ[j]43FJ3L RISDFS[/j]
       
[j]43FJ3L RISDGI[/j]        (男の子、なんだなあ)[j]43FJ3L RISDGZ[/j]
        [j]43FJ3L RISDH0[/j]
         当たり前のことなんだけど、普段は近すぎて見えなくなっているものに気づく[j]43FJ3L RISDFO[/j]
         私よりもずっと高い背。大きな掌。剣道で鍛えた、しっかりした身体
[j]43FJ3L RISDG7[/j]         いちばん親しみやすくて、いちばん近くにいてくれる、大切な私の幼なじみは……私とは違う、男の(xing)を持つひとなんだって[j]43FJ3L RISDG1[/j]
         私はいつも、こんな些細なときに改めて実感していた
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]       
[j]43FJ3L RISDH4[/j]        「……なに、じっと見てんの。食いにくいんだけど」[j]43FJ3L RISDFY[/j]
        「あっ、ごめん! 瑛太、このクッキーも食べる? お料理はお兄ちゃんや斗真さんがほとんど手伝ってくれたんだけど、これは私がひとりで焼いたんだよ」
[j]43FJ3L RISDGE[/j]        「ん、食う」[j]43FJ3L RISDGI[/j]
         私がジンジャーマンブレッドのお皿を持ち上げると、背後からのんびりした声が掛けられた
[j]43FJ3L RISDGD[/j]       
[j]43FJ3L RISDGD[/j]        「あ、しょうがパン坊やだ。僕にもひとついただけるかな」
[j]43FJ3L RISDGO[/j]        「速水先生! どうぞ」
[j]43FJ3L RISDFX[/j]         サンタ帽を被らされた速水先生が、ひょいっとお皿に手を伸ばしてくる
[j]43FJ3L RISDGT[/j]         速水先生をはじめ、斗真さんとお兄ちゃん……大人チームはお料理よりお酒が進んでいて、クリスマスパーティーというより忘年会のようだったけど、酒盛りもようやく一段落したみたいだ
[j]43FJ3L RISDG1[/j]        「先生、あんなに飲んでたのにケロッとしてますね」
[j]43FJ3L RISDGA[/j]        「んー? だって、僕強いし。それに、出されたのが御神酒だしね。僕にとっては水みたいなものさ」
[j]43FJ3L RISDGM[/j]        「はぁ……そうなんですか」[j]43FJ3L RISDGU[/j]
         花葵神社に奉納されたお酒は祭事のときに氏子さん方に振る舞うけれど、消費しきれないほどの量だという
[j]43FJ3L RISDG3[/j]         信心のかたちとしてそれはとてもありがたいことだけど、余らせてしまうわけにはいかない
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]        (そう言って、斗真さんは昨年の残りだという御神酒をこのパーティーに出してくれたんだけど……)
[j]43FJ3L RISDH2[/j]         転がる一升瓶の数々と、すっかり酔いつぶれた沈んだ残りの大人ふたりをちらっと見て、私は深々とため息を吐く
[j]43FJ3L RISDH5[/j]        「何度も言ってますけど、お兄ちゃん潰さないでくださいよ」
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]        「あはは。湊さんも、普段はここまで弱くないんだけどねぇ」
[j]43FJ3L RISDFO[/j]         ちっとも悪びれない様子で、速水先生は軽く笑う[j]43FJ3L RISDGT[/j]
         お兄ちゃんと速水先生はたまに一緒に飲みに行ったりする仲で、いいお友達なのは嬉しいけど……大抵、お兄ちゃんが酔っ払わされて帰ってくるから困る
[j]43FJ3L RISDG3[/j]        「湊さんも斗真さんも年末年始は特に大忙しだから、疲れてるのもあるんでしょ。こうでもしないと寝ないで働きづめだから、強制睡眠タイムってことで」
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]        「はぁ……」
[j]43FJ3L RISDFW[/j]         もう一度ため息交じりで返事をすると、速水先生は面白そうに私の恰好を上から下まで眺めた
[j]43FJ3L RISDFX[/j]        「それよりさ、香月さんはどうしてトナカイなの。こういう席ではミニスカサンタがお約束でしょ」
[j]43FJ3L RISDGN[/j]        「あ、それ。湊さん、紗結のサンタ服も作ったらしいけど、地球が滅ぶからやめたって」
[j]43FJ3L RISDG8[/j]        「は? なにそれ」[j]43FJ3L RISDGW[/j]
         頬張っていたクッキーを飲み込み、瑛太はお兄ちゃんの口まねをする[j]43FJ3L RISDH8[/j]
        「『俺はなんと罪深いものを作り出してしまったんだ……! こんなに可愛い紗結を人前に出してしまったら、可愛すぎて皆が死ぬ……人類が滅ぶ、いや、地球が滅ぶ!』――だそうです」
[j]43FJ3L RISDGF[/j]        「はあ……それ、あの人シラフでやるからすごいよね」
[j]43FJ3L RISDH3[/j]        「いつものことですし。俺らはもう慣れたけどな」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]        「うん、慣れました」
[j]43FJ3L RISDGP[/j]        「…………若者の順応力には驚くよ」
[j]43FJ3L RISDG2[/j]         私と瑛太がそう答えると、速水先生が降参とばかりに肩をすくめる
[j]43FJ3L RISDFN[/j]         そして、さくりと音を立ててジンジャーマンの頭をかじった[j]43FJ3L RISDGL[/j]
        「ん……おいし。スパイスが効いてていいね」[j]43FJ3L RISDH5[/j]
        「風邪の予防にもなるから、たくさん食べてくださいね。瑛太も、寒稽古で毎日大変なんだからもっと食べて!」
[j]43FJ3L RISDGM[/j]        「おう」
[j]43FJ3L RISDG8[/j]         もりもりと瑛太の口の中に消えていくジンジャーマンブレッドを見て、速水先生は歌うように呟いた
[j]43FJ3L RISDFX[/j]        [j]43FJ3L RISDH1[/j]
        「Stop! Stop! I would like to eat you.
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]        Run, run as fast as you can! You can't catch me, I'm the gingerbread man!」[j]43FJ3L RISDGH[/j]
       
[j]43FJ3L RISDGW[/j]        「……? それって、クリスマスソングですか?」
[j]43FJ3L RISDGR[/j]        「いや、絵本の中の一節だよ。知らない? しょうがパン坊や」[j]43FJ3L RISDG9[/j]
        「あ、俺ちょっと覚えてるかも。オーブンから逃げ出したクッキーが、最後はキツネに食べられちゃうやつですよね」
[j]43FJ3L RISDGU[/j]         瑛太の言葉に、速水先生はそうそうと頷く[j]43FJ3L RISDGQ[/j]
        [j]43FJ3L RISDG0[/j]
        「『止まれ、止まれ! お前を食ってやるぞ
[j]43FJ3L RISDH8[/j]        走れ、走れ! ぼくを捕まえるなんてできるわけがないさ。ぼくはジンジャーブレッドマン!』――   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   を求めていろんなものから逃げ出したしょうがパン坊やは、助けてあげると言ったキツネにだまされて食べられちゃった」
[j]43FJ3L RISDGV[/j]         にっこりと微笑んだ速水先生は、手に持っていた残りのクッキーを口に入れてしまう
[j]43FJ3L RISDFL[/j]        「おいしいものはみんなから狙われて、逃げても逃げても、食べられちゃう……ってね」
[j]43FJ3L RISDG8[/j]        「へえ……」
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]         さすがは現国の先生だけあって、いろんな本を知ってるんだなあと感心する
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]         そんな私の顔をのぞき込んで、速水先生は眼鏡の奥の瞳をすうっと細めた[j]43FJ3L RISDGC[/j]
       
[j]43FJ3L RISDG0[/j]        「ジンジャーマンくんは、逃げられない。こうして食べられる運命さ」[j]43FJ3L RISDFO[/j]
         そう言って、お皿からクッキーを2つ取った速水先生はきびすを返す[j]43FJ3L RISDFM[/j]
        「風邪予防に、寝ちゃってるあっちのふたりにも食べさせてくるね」
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]        「え……あ、はい……」
[j]43FJ3L RISDFL[/j]       
[j]43FJ3L RISDGA[/j]        (ただの、絵本の話だよね……?)
[j]43FJ3L RISDH2[/j]       
[j]43FJ3L RISDGK[/j]         他愛のない雑談でも、先生の話はいつも、何だかちくりと引っ掛かるような感じがして胸騒ぎがする
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]         速水先生はすごく……不思議な人だ
[j]43FJ3L RISDH8[/j]       
[j]43FJ3L RISDG1[/j]       
[j]43FJ3L RISDFT[/j]        「あー! なに食ってんの? なにそれ、おいしい? どんな味?」[j]43FJ3L RISDGE[/j]
        「ぐっ……! げほっ、てめぇ……蓮!」
[j]43FJ3L RISDFX[/j]         食べているところに後ろから勢いよく飛びつかれ、クッキーを喉に詰めた瑛太が激しくむせる
[j]43FJ3L RISDFM[/j]         やっとカラオケに飽きたのか、蓮は瑛太が食べているものに興味を示したようだ
[j]43FJ3L RISDH5[/j]        「だって瑛太、他の料理に比べてすげー勢いで食ってんだもん。それ、そんなにおいしーのかなーって」[j]43FJ3L RISDGK[/j]
        「……うまいよ。すげぇ、うまい」
[j]43FJ3L RISDG9[/j]        「へえぇぇぇ……いーなー!」[j]43FJ3L RISDG0[/j]
         心底うらやましそうに身もだえする蓮を見ていると、なんだか申し訳ない気分になってくる
[j]43FJ3L RISDGG[/j]        「蓮……ごめんね」[j]43FJ3L RISDFX[/j]
        「ん? なんで?」
[j]43FJ3L RISDGN[/j]        「だって……私たちだけパーティーのごちそう食べてるの見てるの、嫌でしょ?」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]         蓮は花葵神社の人工神――神様だから、『ものを食べる』ことは日々の儀式のひとつになっていて厳しい制約がある
[j]43FJ3L RISDGC[/j]         人工神というものは空腹は感じなくて、生体維持のためだけに最低限の食事をするらしいけど……こんな無邪気な姿を見ると、やっぱりちょっと胸が痛んだ
[j]43FJ3L RISDH6[/j]       
[j]43FJ3L RISDFN[/j]        「あのなー、紗結。違うぞ?」
[j]43FJ3L RISDH1[/j]        「え?」
[j]43FJ3L RISDG7[/j]        「俺は直接食えなくても、今すげーおなかいっぱいなんだから!」
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]         そう言って、蓮は満面の笑みを浮かべて胸を張る[j]43FJ3L RISDGQ[/j]
        「おいしいものがいーっぱいあって、それをおいしいって気持ちでみんなが喜んで食べてるのを見て。誰も腹を空かせてなくて、凍えてもなくて……幸せで、みんな楽しそうに笑ってて。そーゆーので、神様の俺は満腹になるんだ」[j]43FJ3L RISDG3[/j]
         胸に手を置き、蓮は静かに瞳を閉じる[j]43FJ3L RISDGU[/j]
        「みんなが――お前が笑ってると……あったかいもので、いっぱいになる」
[j]43FJ3L RISDFW[/j]        「蓮……」
[j]43FJ3L RISDH2[/j]         ゆっくりと開いた瞳は、紅を刷いた綺麗な色で……この世のどんな宝石よりも輝いて見える
[j]43FJ3L RISDFS[/j]       
[j]43FJ3L RISDH3[/j]        「クリスマスっていいな! でっかい祭りだから人間みんなみんな幸せな気持ちで祈ったり浮かれたりしてて、俺、すっげー楽しい! すっげー嬉しい! すげーすげー幸せ!」[j]43FJ3L RISDGR[/j]
        「って、お前……よその神様の誕生日だろ?」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]        「いーじゃん、誕生日。たくさんの人が信じてるでっかい神様の誕生日なんだから、みんなで祝えばいーんだって」[j]43FJ3L RISDFU[/j]
        「神様ってのも、案外ユルいな」
[j]43FJ3L RISDGS[/j]        「おー、ユルユルでいーんだよ。神様は、みーんな祭り好きなんだぞ。便乗どんとこい! ハレの日めでたい!」[j]43FJ3L RISDH0[/j]
         呆れ顔の瑛太に向かって、蓮はびしっと人差し指を立てる
[j]43FJ3L RISDFN[/j]        「それに元々クリスマスってのは五穀豊穣や無病息災を願う祭りで、後からでっかい神様の誕生日と結びついたっていうんだから。何でもアリアリだって」[j]43FJ3L RISDGN[/j]
        「へぇ……そんな祭りなら、神社で浮かれてバカ騒ぎしててもバチ当たりじゃないか」
[j]43FJ3L RISDGV[/j]        「そゆこと! つか、神様の俺がここでクリスマスパーティーやろうって言ったんだからバチもなんもない! 細かいことは言いっこなし! 思いっ切り楽しめー」
[j]43FJ3L RISDG1[/j]         はっはっはと高笑いする蓮を見て、少し離れた場所にいる速水先生が楽しそうに吹き出してて……私も、なんだかつられて笑ってしまった
[j]43FJ3L RISDGR[/j]       
[j]43FJ3L RISDFN[/j]        (うん、本当にクリスマスっていいな)
[j]43FJ3L RISDFO[/j]       
[j]43FJ3L RISDFS[/j]         みんなが一緒に幸せな気分で笑えるのなら、どの神様のお祝いだっていいじゃない[j]43FJ3L RISDG3[/j]
         おめでとう、ありがとう。難しいことなんか考えず、ハレの気持ちでいっぱいにしちゃえばいい
[j]43FJ3L RISDG8[/j]       
[j]43FJ3L RISDGH[/j]        「なーなー紗結、そのクッキー、俺にもちょーだい! 俺も食いたい! 斗真に頼んで、明日の日供にしてもらうから」
[j]43FJ3L RISDH8[/j]        「うん。じゃあ、いっぱい袋に詰めておくね」
[j]43FJ3L RISDGL[/j]        「やった! メリークリスマスー!」
[j]43FJ3L RISDFW[/j]       
[j]43FJ3L RISDGG[/j]         メリー、メリー、クリスマス。ハッピークリスマス
[j]43FJ3L RISDGK[/j]         みんなみんな、八百万の陽気な神様と一緒に愉快で楽しいクリスマスを[j]43FJ3L RISDFW[/j]
       
[j]43FJ3L RISDFX[/j]        ――I wish you a merry Christmas!
[j]43FJ3L RISDH2[/j]                        END
[j]43FJ3L RISDGO[/j]
[j]43FJ3L RISDGY[/j]

[j]43FJ3L RISDFO[/j]2015.12.18 キャラクターページを更新しました
[j]43FJ3L RISDGF[/j]

[j]43FJ3L RISDFQ[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGF[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDG0[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGI[/j]2015.12.11 キャラクターページを更新しました。トガタ先生描き下ろしSDキャライラストを追加
[j]43FJ3L RISDG6[/j]

[j]43FJ3L RISDGH[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGY[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDH9[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDFW[/j]2015.12.04 ギャラリーページ更新
[j]43FJ3L RISDGD[/j]
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[j]43FJ3L RISDFN[/j]
                               
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[j]43FJ3L RISDFW[/j]
                               
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[j]43FJ3L RISDGI[/j]2015.11.26 スペシャルに斗真バースデーSSを追加
[j]43FJ3L RISDGV[/j]

[j]43FJ3L RISDGQ[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDH4[/j]
『Happy Birthday 斗真』
[j]43FJ3L RISDGV[/j]
[j]43FJ3L RISDGD[/j]                Birthday Short Story[j]43FJ3L RISDGR[/j]
               「え? 今夜、夕食を一緒にですか?」
[j]43FJ3L RISDGN[/j]                「ああ。突然だが、蓮がどうしても君を誘えと喧しくてな。都合はどうだろう?」[j]43FJ3L RISDGI[/j]
                 花葵神社でのアルバイト中、神職である斗真さんが私を誘ってくる
[j]43FJ3L RISDGS[/j]                (夕食って、いいのかな……)
[j]43FJ3L RISDGK[/j]                 私はよく理解していないけど、神域の最も尊い場所で神と神饌を共にするってことは、世間一般的にはとんでもないことなんだってのは何となくわかる
[j]43FJ3L RISDFN[/j]                 以前お社の奥――蓮が神様の仕事をしている所――で斗真さん手作りのおやつをごちそうになったことはあるけど、元人間とはいえ人工神の蓮は『ものを食べる』ことに細かな定めがあって、この花葵神社の決まった場所でしか食事をすることができない
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                 当然、同席できる人も神職もしくはそれに近しい人に限られているらしいんだけど……前の時は斗真さんが一緒だからいいと言われて、三人ですごく美味しい焼きプリンを食べた
[j]43FJ3L RISDGN[/j]                [j]43FJ3L RISDGR[/j]
                「私は、お兄ちゃんの許可さえもらえれば大丈夫ですけど……またお邪魔してしまってもいいんですか?」
[j]43FJ3L RISDFL[/j]                「……なんだ、そのことを気にしてたのか。君は『特別』だから、構わないよ」
[j]43FJ3L RISDGT[/j]                「特別、ですか?」
[j]43FJ3L RISDGB[/j]                 私がそう問うと、斗真さんはくすっと笑う
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                「その巫   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   束。君だって、立派な花葵神社の一員だ。もう身内のようなものだと思えばいい」[j]43FJ3L RISDG2[/j]
                「はあ」
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                 知識も経験もないバイト巫女がいいのかなって思うけど、この神社で神様の蓮の次に……ううん、実質的には一番えらい人がそう言うんだから問題ないのだろう
[j]43FJ3L RISDG6[/j]               
[j]43FJ3L RISDGG[/j]                「それに、私はいいと言ったのだが、今夜は特別だと蓮が聞かなくて……」
[j]43FJ3L RISDH2[/j]                「今夜って、何かあるんですか?」
[j]43FJ3L RISDG6[/j]                 特別、と。もう一度同じ言葉が出てきて、首を捻る
[j]43FJ3L RISDH1[/j]                 何か行事でもあったっけと考えると、斗真さんが少し気まずそうに咳払いをした
[j]43FJ3L RISDFV[/j]                「いや……実は、私の誕生日でね。毎年何もしなかったし、今年もそのつもりだったんだが」[j]43FJ3L RISDGN[/j]
                「えっ?」[j]43FJ3L RISDH0[/j]
                 とんでもないことをさらっと言われ、絶句する[j]43FJ3L RISDFN[/j]
                 誕生日? 今日? 斗真さんの[j]43FJ3L RISDFM[/j]
                「…………」[j]43FJ3L RISDG2[/j]
                「紗結?」
[j]43FJ3L RISDG7[/j]                「すみません、お誕生日パーティーだなんて知らなくて! ああっ、プレゼントも、何も用意してない……!」[j]43FJ3L RISDGL[/j]
                 おろおろする私を見て、斗真さんは口元に手を当てて小さく笑い出す[j]43FJ3L RISDGD[/j]
                「ただの夕食だから、気にしないでくれ。むしろ、この年齢でパーティーだのプレゼントだのと気を使われる方が照れ臭くて居心地が悪い」
[j]43FJ3L RISDH6[/j]                「でも、お誕生日なのに」
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                「だから、君が来てくれればいい。プレゼントと言うのなら、それで充分だ」
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                「え、でも……」
[j]43FJ3L RISDGL[/j]                「――本当に、それで充分なんだ」
[j]43FJ3L RISDH4[/j]                 斗真さんが肩を竦めると、束ねた長い髪がさらりと揺れる
[j]43FJ3L RISDH0[/j]                「私は幼い頃から、蓮の神職として役目を果たしてきた。立場上、特殊な祭事以外では蓮と食事を共にすることはなかったし……家族とも立ち位置が違ったから、普通の食卓を囲むことはなかった」
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                 落ち着いた斗真さんの声はとても静かなのに、朗々と祝詞をあげているときのように私の心に響いてくる
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                「蓮と、君と、私と。三人で食事ができるなんて、それだけでも今日は特別な夜ということだ」[j]43FJ3L RISDFQ[/j]
                「斗真さん……」[j]43FJ3L RISDFM[/j]
                「蓮の我が儘ではあるが、私のそれも多分に含まれているからな。湊には私から連絡しておこう」
[j]43FJ3L RISDG4[/j]                「はい。お願いします」
[j]43FJ3L RISDH8[/j]                 私がぺこりと頭を下げると、斗真さんはほっとしたように表情を崩す
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                 嬉しいって思ってくれてるのかなと思うと、私もすごく嬉しくなった
[j]43FJ3L RISDGS[/j]               
[j]43FJ3L RISDGG[/j]                [j]43FJ3L RISDFW[/j]
                * * *
[j]43FJ3L RISDG8[/j]               
[j]43FJ3L RISDFR[/j]               
[j]43FJ3L RISDH6[/j]                そして、夜――
[j]43FJ3L RISDGE[/j]                お誕生日だというのに本人の手料理でもてなされてしまって、恐縮する気持ちはあったけど……斗真さんと蓮と、三人で囲む食卓はすごく楽しかった[j]43FJ3L RISDH9[/j]
                 本当は、お兄ちゃんや瑛太や速水先生も呼んで盛大なパーティーでも開きたいところだけど……[j]43FJ3L RISDGZ[/j]
                (今夜も焼きプリンを食べたあのときも、私への祓いとか手順がいろいろあって斗真さん大変そうだったもんね)[j]43FJ3L RISDG9[/j]
                 来年の11月26日こそは何か用意したいなあなんて考えながらも、私はキッチンからひっきりなしに聞こえてくる恐ろしい音に意識を奪われっぱなしだった
[j]43FJ3L RISDFL[/j]               
[j]43FJ3L RISDFV[/j]                「あ、あの……斗真さん。私、手伝いに行った方がいいんじゃないでしょうか」
[j]43FJ3L RISDGW[/j]                「蓮が、ひとりでやると言ってきかないんだ。惨状がまざまざと目に浮かぶ状況が落ち着かないのはわかるが、見守ってやってくれ」[j]43FJ3L RISDFT[/j]
                「は……はい」
[j]43FJ3L RISDFX[/j]               
[j]43FJ3L RISDGE[/j]                「ぎゃー! あつっ! ……うぉぁっ、なんだこれ?」
[j]43FJ3L RISDH8[/j]                [j]43FJ3L RISDG4[/j]
                 食器の割れる音、何かをひっくり返す音、つまづいて転ぶ音。炎が上がる音に、何かが焦げる音に、果ては爆発音……そして何よりも不安になる、度重なる蓮の珍妙な悲鳴
[j]43FJ3L RISDGV[/j]                 今の斗真さんの自宅は、とんでもなくデストロイな物音に包まれていた
[j]43FJ3L RISDG1[/j]               
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                (ど、どうしてホットケーキを焼くだけでこんなに爆発するの……これが神様パワー?)
[j]43FJ3L RISDFR[/j]                 お社で三人の夕食を終え、ささやかなお誕生会がほのぼのと締めくくられると思っていたら……蓮がどうしても『俺が誕生日ケーキを焼くんだ!』と言い張って、私たちは本宅である斗真さんの家に移動してきたんだけど
[j]43FJ3L RISDGP[/j]                 ……ケーキといってもホットケーキだから蓮でも大丈夫だろうなんて油断せず、やっぱり止めるかムリヤリにでも手伝うべきだったと後悔先に立たずだ
[j]43FJ3L RISDGX[/j]                [j]43FJ3L RISDH3[/j]
                「胃薬は用意した。焦げや生焼けの場合は、私が後で何とか加工しよう。腹を壊すようなことはさせない」
[j]43FJ3L RISDG3[/j]                「はい」
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                 真剣に言われ、私も神妙に頷く
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                「炭酸カルシウムやマグネシウム。卵殻カルシウムは吸収力に優れており、骨粗しょう症の防止にも効果的だ。……身体には非常に良いものだから、そこは我慢してくれ」
[j]43FJ3L RISDGU[/j]                「玉子の殻が入ってることは、確定なんですね……」[j]43FJ3L RISDG5[/j]
                 はあっとため息をついてしまうけど、そこは私も覚悟を決めるしかない
[j]43FJ3L RISDG2[/j]                 毒ではないんだし、斗真さんの言う通り身体にはいいんだから……頑張ろう
[j]43FJ3L RISDFY[/j]               
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                (出来はともかくとして、蓮がすごく嬉しそうだもん)[j]43FJ3L RISDFL[/j]
                 あんなにワクワクした顔で斗真さんのお誕生日を祝おうとしてる蓮を見てると、玉子の殻くらいどうってことない……と、思おう
[j]43FJ3L RISDFY[/j]               
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                「……? 斗真さん、それ何ですか?」
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]                 キッチンから仄かに甘い香りとそれ以上に危険な匂いが漂い始めると、斗真さんがごそごそと袋を並べていく[j]43FJ3L RISDFR[/j]
                「重曹、クエン酸、セスキ炭酸ソーダ。掃除の神様だ」[j]43FJ3L RISDFR[/j]
                「……えっと……後片付けと掃除は、お手伝いさせてください」[j]43FJ3L RISDGF[/j]
                「いや、客人にそんなことはさせられない」
[j]43FJ3L RISDGM[/j]                「いいんです。私、お掃除は嫌いじゃないですし、お誕生日プレゼントってことで!」
[j]43FJ3L RISDG3[/j]                 腕まくりをして言うと、斗真さんは照れたように苦笑した
[j]43FJ3L RISDFX[/j]                「ふふ……小さい子どもがいる家だと、こんな感じなのかもしれないな」[j]43FJ3L RISDGV[/j]
                「……え」
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]                「子どもが親の誕生日に不器用ながらケーキを焼いたり料理をして、めちゃくちゃになったキッチンの後片付けは夫婦の役目だ」[j]43FJ3L RISDFN[/j]
                「――――っ?」
[j]43FJ3L RISDG5[/j]                 もしこれがからかうような口ぶりなら笑い飛ばせるのに、斗真さんは……すごく幸せそうに笑うから、私は何も言えなくなる
[j]43FJ3L RISDGW[/j]                 どきどきと鼓動が高鳴り出したそのとき……賑やかな足音がキッチンから駆け込んできた
[j]43FJ3L RISDGO[/j]               
[j]43FJ3L RISDG9[/j]                「紗結っ、さゆさゆさゆ! 見て見て! すげーだろ? ケーキっ」[j]43FJ3L RISDH3[/j]
                「れ、蓮っ?」
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]                 じゃーん、と自慢げに掲げるお皿の上には、高々と積み重ねたホットケーキとクリームのデコレーション[j]43FJ3L RISDH5[/j]
                 ……勢い余って蓮本人にもデコレーションされてるけど、そこは目を瞑ろう[j]43FJ3L RISDGK[/j]
                「あ……意外とマトモかも……」
[j]43FJ3L RISDGX[/j]                「ふっふーん、どーだ! この香月蓮様の手に掛かれば、豪華絢爛スペシャルサプライズ誕生日ケーキくらい軽いって」
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                「あ、うん」
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                 ホットケーキだけどね、というツッコミはめでたい席だからこの際飲み込んでおく
[j]43FJ3L RISDFM[/j]               
[j]43FJ3L RISDGK[/j]                「斗真! 誕生日おめでと! これは、俺からの感謝の気持ちだぞ」
[j]43FJ3L RISDGI[/j]                「ああ。ありがとう、蓮」[j]43FJ3L RISDH0[/j]
                 本当に小さな子どもを慈しむように、斗真さんは穏やかに微笑んで蓮の頭を撫でる
[j]43FJ3L RISDFU[/j]                「ありがとう……嬉しいよ」
[j]43FJ3L RISDH9[/j]                「そーかそーか。はっはっはー! もっと敬ってくれてもいーんだぞ。さあ、褒めろ褒めろー! 遠慮なくどんとこい斗真!」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                「調子に乗るな。私の誕生日に便乗して、紗結に自分の焼いたケーキを食べさせたかったくせに」
[j]43FJ3L RISDH2[/j]                「うっ……そ、それは……」
[j]43FJ3L RISDH9[/j]                「私が作った焼きプリンを紗結が美味しそうに食べてるのを見て、嫉妬したんだろう? ちょうど私の誕生日があって、特別な口実ができてよかったな?」[j]43FJ3L RISDH4[/j]
                「う、うぅっ」
[j]43FJ3L RISDFY[/j]                 鼻高々だった蓮は斗真さんにあっさり言い負かされちゃうけど、そんなやり取りからもふたりの仲の良さが伝わってくるようだった
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]               
[j]43FJ3L RISDGY[/j]                「さー、あったかい内に食ってくれ! おいしいぞ。たぶん! だいじょーぶ!」
[j]43FJ3L RISDGH[/j]                「……神様がたぶんとか言わないでよ」
[j]43FJ3L RISDGD[/j]                「だって、俺食えないし。味見できないからなー」[j]43FJ3L RISDH4[/j]
                「そ、それはそうだけど」
[j]43FJ3L RISDGH[/j]                 ホットケーキで死にはしないとわかっていても、不安を煽られると怯んでしまう[j]43FJ3L RISDFM[/j]
                「大丈夫だ、紗結。今から私がここに簡易的な神域を作り、神饌祝詞をあげる。このホットケーキは蓮にも食べさせよう」
[j]43FJ3L RISDFU[/j]                「え、いいんですか?」[j]43FJ3L RISDGC[/j]
                「そんなの、機関にバレたらヤバイんじゃねーの? いーのか?」
[j]43FJ3L RISDFM[/j]                 私たちが驚いて身を乗り出すと、斗真さんはくすくすと楽しそうに笑う[j]43FJ3L RISDG9[/j]
                「――ああ。今日は特別な祝いの席だから、私も少々浮かれてはいる。人工神開発機関には秘密にしておくし、どこかにいる偉い神様とて、しきたりを多少破るくらいは大目に見てくれるさ」
[j]43FJ3L RISDH4[/j]                [j]43FJ3L RISDGA[/j]
                 そして、楽しそうな笑みだけでなく。斗真さんは……ニヤリと口の端を上げた
[j]43FJ3L RISDG1[/j]                [j]43FJ3L RISDFX[/j]
                「喜びも苦しみも、皆で分かち合ってこそだろう?」
[j]43FJ3L RISDGX[/j]                [j]43FJ3L RISDGP[/j]
                 喜びと、それから……じゃりっと歯ごたえがする少しばかりの苦しみは、バニラの香りとたっぷりの甘いシロップとバターでごまかして[j]43FJ3L RISDFT[/j]
                 私たちは三人で声を上げて大笑いしながら、特別な日を蓮曰くのスペシャルサプライズなケーキでお祝いした[j]43FJ3L RISDG0[/j]
                END

[j]43FJ3L RISDGI[/j][j]43FJ3L RISDGS[/j]
2015.11.20 スペシャルページに主題歌 歌詞を掲載、キャラクターページに香月蓮のCV情報を追加しました
[j]43FJ3L RISDGE[/j]
「Spiral Memory」
作詞:郁磨 作曲:TANO
編曲:REING
歌:香月蓮(CV:佐和真中)
目覚めた君はまるで不思議の国のアリス
服着た白ウサギに話しかけられたみたい
記憶の森の中で 僕を見つけて
ねぇ君と話してた二人だけの未来図は
あと少し君がほら色を足すだけ
目の前で泣く僕をお願いだからそんな不思議そうな目で見ないで
蝕む記憶の渦 飲み込まれてゆく君
このまま想い出にも飲み込まれるくらいなら
取り戻せぬ過去にはさよなら告げて
もう一度未来図を描き直せばいいだけ
君となら何度でも恋をしたいから
あの時と同じように必ず君を振り向かせるから僕を見つめて
ただ君を幸せにしたいそれが僕の望み
いつの日か本当に瞳閉じるまで
明日また繰り返す君との出逢い別れ分かってるだけど愛してる

[j]43FJ3L RISDGN[/j]2015.11.13 OPムービー先行公開版を追加しました[j]43FJ3L RISDH2[/j]

[j]43FJ3L RISDG5[/j]
[j]43FJ3L RISDG5[/j]
[j]43FJ3L RISDFX[/j]●主題歌情報[j]43FJ3L RISDG8[/j]
「Spiral Memory」
[j]43FJ3L RISDFN[/j]作詞:郁磨
[j]43FJ3L RISDGX[/j]作曲:TANO[j]43FJ3L RISDH2[/j]
編曲:REIGN
[j]43FJ3L RISDGW[/j]歌:香月蓮(CV:佐和真中)

[j]43FJ3L RISDGJ[/j]
[j]43FJ3L RISDH4[/j]2015.11.06 ストーリー更新 舞台背景を追加しました
[j]43FJ3L RISDG4[/j]

[j]43FJ3L RISDFX[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDFU[/j]③花葵神社前(はるきじんじゃまえ)
[j]43FJ3L RISDG6[/j]                [j]43FJ3L RISDFS[/j]
                                    花葵神社へ向かう階段[j]43FJ3L RISDG0[/j]
                                    赤い大きな鳥居と葵の紋が入った灯篭が置いてある
[j]43FJ3L RISDFW[/j]                                    町並みは花葵神社の景観を損ねないよう整備されているため、レトロな建物が建ち並んでいる
[j]43FJ3L RISDGY[/j]

[j]43FJ3L RISDGH[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDG3[/j]
  ④花葵神社茰蕘(はるきじんじゃ儰いだい)[j]43FJ3L RISDG4[/j]
[j]43FJ3L RISDGG[/j]
                                    拝殿の奥には本殿があり、ご神体である蓮が鎮座している[j]43FJ3L RISDGM[/j]
                                    お勤め中の蓮の姿は参拝客から見えないようになっており、花葵神社の人工神はどんな姿なのか、斗真や機関の人間以外誰も知らない
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                                    また、神社の地下には人工神を研究する施設が存在している

[j]43FJ3L RISDH2[/j]
[j]43FJ3L RISDGI[/j]2015.10.30 期間限定SS『Happy Halloween!』を公開しました[j]43FJ3L RISDGB[/j]
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]

[j]43FJ3L RISDFR[/j]

[j]43FJ3L RISDH8[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGN[/j][j]43FJ3L RISDFR[/j]
  この国は、神々がやってくる『神の吹き溜まり』だと遙か遠い彼方で誰かが言った
[j]43FJ3L RISDG4[/j]    天神地祇。天津神と国津神
[j]43FJ3L RISDFW[/j]    天地の神々、すべての神々
[j]43FJ3L RISDGH[/j]    生まれ来る神、流れ来る神……そして、生み出される神[j]43FJ3L RISDH7[/j]
    『ヘイユー、この国の神様になっちゃいなよ☆』とでもいわんばかり、どんどん柔軟に取り込んでいく妙な国
[j]43FJ3L RISDH5[/j]    そんな神々のごった煮で、いわば時間無制限おかわり   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   の食べ放題バイキングな世界なのだから、異国の神様だってどんと来いで全力ウェルカムだ
[j]43FJ3L RISDFS[/j]    なにせこの国には   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   ひとつに七人もの神様がおわすのだから、いくら増えようとオッケーでしょう[j]43FJ3L RISDGA[/j]
    そう……"人工神"なんて珍妙な神様が多少増えようが、どうってことない。イッツアノープロブレム[j]43FJ3L RISDG9[/j]
    そんな開けっぴろげな八百万の国では、今日もまた――いや、一年三百六十五日いつだって、神々とのお祭り騒ぎが繰り広げられるのだ
[j]43FJ3L RISDH4[/j]
[j]43FJ3L RISDGT[/j]
[j]43FJ3L RISDGW[/j]
[j]43FJ3L RISDGV[/j]                * * *[j]43FJ3L RISDFM[/j]

[j]43FJ3L RISDH7[/j]   ――10月31日
[j]43FJ3L RISDG2[/j]   クリスマスには赤と緑に彩られる街が、オレンジと黒でいっぱいになる
[j]43FJ3L RISDFS[/j]   この白葵町ももちろん例外ではなく、人々はお祭りの気配にどこか浮き足立っていた
[j]43FJ3L RISDH9[/j]   「なんかさ、ハロウィンってすっかり日本に定着したよなあ」
[j]43FJ3L RISDH6[/j]  フリルがたっぷり付いたブラウスの襟元に手をやった瑛太は、窮屈そうにため息を吐く
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]   表地は闇の黒、裏地は血の赤のマントを羽織り、薄く開いた唇の間には尖った牙が覗いている
[j]43FJ3L RISDFV[/j]
[j]43FJ3L RISDGO[/j]   非日常な衣装に身を包んだ彼からは、不思議な妖艶さが漂っていた[j]43FJ3L RISDGE[/j]
   (うちのリビングに吸血鬼がいる光景って、なんかすごい……)[j]43FJ3L RISDG6[/j]
   なんて考える私も、カボチャのお化け? 精霊? だったかよくわからないけど、ジャックオーランタンをふんわりしたワンピースにアレンジした恰好だ
[j]43FJ3L RISDGD[/j]   いかにもハロウィンって感じの衣装はとても凝っていて、製作者の気合いとこだわりが感じられる
[j]43FJ3L RISDFT[/j][j]43FJ3L RISDG8[/j]
   「その衣装、すっごく似合ってるよ。瑛太」
[j]43FJ3L RISDGF[/j]   「そりゃどーも」<br />
[j]43FJ3L RISDGF[/j]   「そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃない。カッコイイよ? 今以上に、女の子にモテモテになりそうだよ?」
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]   「…………」
[j]43FJ3L RISDGN[/j]   はあぁっともう一度盛大なため息を吐いてから、吸血鬼の仮装をした瑛太は眉間にシワを寄せる[j]43FJ3L RISDGA[/j]
   「別に、モテたくねぇし」
[j]43FJ3L RISDGU[/j]   「えっ、そうなの? 次期剣道部エースの国方瑛太くんは爽やか日本男児でかっこいーって、大人気なのに」[j]43FJ3L RISDGX[/j]
                「……その評価はどこ調べだよ。勘弁してくれ」[j]43FJ3L RISDFO[/j]
                「幼なじみが人気者って、私は何だか鼻が高い気分なんだけどなあ」
[j]43FJ3L RISDG6[/j]                 そう言うと、瑛太はぷいっと目を逸らし、ちょっと拗ねたような顔になる
[j]43FJ3L RISDGV[/j]                「別に、不特定多数にモテたって意味ないから」[j]43FJ3L RISDFV[/j]
                「ふぅん……」
[j]43FJ3L RISDGD[/j]                 そういう態度や言動がまさに、『ストイックでかっこいい!』って女の子たちに騒がれてるんだけど、これ以上拗ねられても困るから黙っておこう
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]                「とりっかとりー!」[j]43FJ3L RISDH1[/j]
                 衣装合わせ用の部屋を出てこちらへバタバタと駆けてくる足音と、底抜けに明るい声が響き渡る
[j]43FJ3L RISDGE[/j]                 大きなシーツを巻き付けたような衣装をずるずる引きずり、着替えを終えて真っ白なオバケになった蓮は満面の笑みを湛えた[j]43FJ3L RISDFR[/j]
                「じゃーんっ、ゴーストだぞ! "とりっかとりー!"」
[j]43FJ3L RISDGU[/j]                「お前、なんでトリックオアトリートだけ妙にいい発音なんだよ」
[j]43FJ3L RISDGA[/j]                「ハロウィンパーティー楽しみだったから、めちゃくちゃ勉強した! えらいだろ?」[j]43FJ3L RISDGE[/j]
                 えっへんと胸を張るオバケ姿の蓮は、これでも白葵町のシンボル花葵神社の神様だ[j]43FJ3L RISDH7[/j]
                 日本中に派遣されている人工神の中でも、かなりえらい立場らしいんだけど……正直、そうは見えない[j]43FJ3L RISDGE[/j]
                「ああ、蓮! ちょっと待って。しつけ糸ひとつ外し忘れた」
[j]43FJ3L RISDH2[/j]                 蓮を追って、糸切り鋏を持ったお兄ちゃんがリビングへ入ってくる
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                「……ん、よし。これでばっちりだよ」
[j]43FJ3L RISDFR[/j]                「サンキュ、湊!」[j]43FJ3L RISDG9[/j]
                「裾長いから、転ばないよう気を付けて」
[j]43FJ3L RISDGE[/j]                「おー」[j]43FJ3L RISDGT[/j]
                 蓮の衣装を整えてから、お兄ちゃんは私たちを見て満足そうに微笑んだ
[j]43FJ3L RISDFY[/j]                「三人とも最高に似合ってるね。夜なべして頑張った甲斐があったなあ」
[j]43FJ3L RISDG6[/j]                「お兄ちゃん、衣装作ってくれてありがとう」[j]43FJ3L RISDGH[/j]
                「いえいえ、どういたしまして」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                 今日は白葵町内会主催のハロウィンパーティー[j]43FJ3L RISDGF[/j]
                 その仮装大会にみんなで出場するんだと言ったら、私よりお兄ちゃんが張り切っちゃって……
[j]43FJ3L RISDGL[/j]                 私だけでなく、一緒に出る瑛太と蓮の衣装までも素晴らしい完成度で仕上げてくれたのだった
[j]43FJ3L RISDH9[/j]               
[j]43FJ3L RISDGH[/j]                「湊さん……たかが町の仮装大会に、これは気合い入りすぎじゃないですか。ここまでしなくても――」
[j]43FJ3L RISDGB[/j]                「……瑛太。俺はいつでも本気だよ。優勝以外許さないから」
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]                「え?」[j]43FJ3L RISDFS[/j]
                「堂々と紗結に可愛い衣装を着せて、皆へその可愛さを自慢できるこのチャンスに! この俺が手を抜くなんてあり得ない! 瑛太だって、可愛い紗結を見たいだろう? 可愛い衣装を着た可愛い紗結が頂点に立って喜ぶ姿を見たいだろう? ユーコピー?」[j]43FJ3L RISDGJ[/j]
                「……アイコピー」
[j]43FJ3L RISDGY[/j]                 妙な迫力で瑛太を頷かせたお兄ちゃんは、仕上げだよと言ってカボチャの帽子を私に被らせる
[j]43FJ3L RISDGF[/j]                「よしっ、これで完成。最高に可愛いよ、紗結」
[j]43FJ3L RISDGG[/j]                「あ……ありがとう」
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                 毎日のことだからもうすっかり麻痺してるけど、お兄ちゃんは一日に一体何回『可愛い』と口に出すのか[j]43FJ3L RISDG5[/j]
                 一度、改めてカウントしてみたい気分になってきた
[j]43FJ3L RISDGY[/j]                「三人とも、パフォーマンスステージ用の台詞は完璧に覚えてきた?」[j]43FJ3L RISDGB[/j]
                「とりっかとりー!」
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]                「うんうん、蓮は完璧だね。えらいえらい」[j]43FJ3L RISDGQ[/j]
                「……あの……本当に、あの中二病セリフを言わなきゃいけないんですか」
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                「当然。そのために、瑛太を最高にカッコよく仕上げてあげたんだから。ビシッと決めてくれなきゃ」[j]43FJ3L RISDGQ[/j]
                「うぅ……」
[j]43FJ3L RISDGT[/j]                「瑛太、頑張って! 本番の前に練習しておこう!」
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]                 私が励ますと、瑛太は渋々といったふうにポーズを決める
[j]43FJ3L RISDFY[/j]                「今宵は闇の眷属が集う宴。紅蓮の口吻、我が牙に熱き血潮を捧げる乙女は何処か――」[j]43FJ3L RISDGZ[/j]
                「……うわ」
[j]43FJ3L RISDH1[/j]                「うわ、って何だよ!」
[j]43FJ3L RISDFN[/j]                「い、いや、あはは。思ったよりイタいというか……あはは。でも、大丈夫! カッコイイよ瑛太!」[j]43FJ3L RISDG0[/j]
                「…………慰めはいらない。つか、俺はこの台詞を考えた湊さんを恨む」
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                「うん……お兄ちゃん、ちょっとアレだけど悪気はないから。ごめんね」
[j]43FJ3L RISDGN[/j]                 お兄ちゃんが調子に乗ったときのノリは、妹の欲目を大幅に足したとしても庇いきれないときがあったりもするけど……その辺りはまあ、良く言えば童心を忘れていないというか、個(xing)ということで
[j]43FJ3L RISDGV[/j]                「とりっかとりー! 次は紗結だぞっ、決めのセリフ言って!」
[j]43FJ3L RISDFN[/j]                 ゴースト衣装の白い袖口をひらひらと振りながら、蓮が私に催促する
[j]43FJ3L RISDGT[/j][j]43FJ3L RISDGF[/j]
                (ようこそ、この国へ)
[j]43FJ3L RISDGM[/j]
[j]43FJ3L RISDG9[/j]                 盆と正月が一緒に来たようだというけれど、この国に馴染んじゃったハロウィンはその言葉に近いのかもしれない
[j]43FJ3L RISDGA[/j]                 お盆と大晦日のミックス。今宵はたくさんの神様や、妖精や精霊やお化けたちが集い、みんなみんな陽気に騒ぐ夜
[j]43FJ3L RISDG0[/j]                 お菓子もおもてなしも、いたずらも。全部ひっくるめて楽しもう
[j]43FJ3L RISDGE[/j]
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]                 私は両手を広げ、この賑やかなお祭りの日に『すべてのもの』へ贈るメッセージを口にした[j]43FJ3L RISDGU[/j]
[j]43FJ3L RISDFY[/j]
                「Hope yours is full of surprises and smiles!」
[j]43FJ3L RISDFR[/j]
[j]43FJ3L RISDH1[/j]                 ――あなたのハロウィンが、驚きと笑顔でいっぱいでありますように
[j]43FJ3L RISDG1[/j]
[j]43FJ3L RISDFU[/j]                END

[j]43FJ3L RISDFL[/j]2015.10.23 ギャラリー公開しました
[j]43FJ3L RISDFW[/j]

[j]43FJ3L RISDGI[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDG3[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGQ[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGW[/j]2015.10.16 Cool-B VOL.64掲載SS『"神様”とのおかしな日常』斗真サイド『あふひ』を期間限定公開
[j]43FJ3L RISDG7[/j]

[j]43FJ3L RISDFT[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGW[/j] Cool-B VOL.64掲載『“神様”とのおかしな日常』斗真サイド[j]43FJ3L RISDGY[/j]

[j]43FJ3L RISDFT[/j]                「でさでさー、学校であんな啓発ムービーなんて見せてるんだな。俺、初めて観た!」[j]43FJ3L RISDGT[/j]
               
[j]43FJ3L RISDG6[/j]                 学園から帰ってきて   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   を脱ぎ、袴姿になって務めを果たす間も、蓮は興奮冷めやらぬとばかりに私へ語り続ける
[j]43FJ3L RISDG7[/j]               
[j]43FJ3L RISDFS[/j]                「ちっちゃい頃から月イチであーゆーの観て、アンケートまで書いてくれてて、人工神のこと考えてくれるんだなー。なんかすごい! 人間、えらいな!」
[j]43FJ3L RISDGT[/j]                「……そうだな」[j]43FJ3L RISDH1[/j]
                [j]43FJ3L RISDGY[/j]
                 人工神の周知とイメージアップ、世論の操作
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]                 何十年もかけて行われてきた人工神開発機関による施策であり、国民は皆それを当然のことだと受け入れている
[j]43FJ3L RISDG7[/j]                 それの何がそんなに嬉しいのか、当の人工神様は無邪気に喜ぶ[j]43FJ3L RISDGH[/j]
                (実態は、知らせぬままの方がいいな……)
[j]43FJ3L RISDG6[/j]                 世捨て人の如く生きるのならまだしも、この国で快適に暮らしていきたければ人工神の恩恵にあずからねばならない[j]43FJ3L RISDGY[/j]
                 だから、誰もが機関のやり方が強引だとうっすら感じていても口には出せない
[j]43FJ3L RISDH1[/j]                 そう……古来からあった神職と違い、『人工神』に仕える『今の世の神職』という異能である私の役割とて同じことだ
[j]43FJ3L RISDGL[/j]               
[j]43FJ3L RISDG0[/j]                「それでさ、紗結が『人工神について理解が進みました』って書いてくれててさー。それからまた、何書こうかって真剣に考えてくれてて……俺のこと考えたのかなって思うと、すげー嬉しかった!」
[j]43FJ3L RISDGT[/j]                「ああ」[j]43FJ3L RISDFL[/j]
                「それでさ、それでさ! 瑛太に顔ラクガキされてさぁ、筆ペン水(xing)だと思ったら顔料入りとかいうやつでさ、なっかなか落ちねーの。紗結からメイク落としっての借りて、大変だったんだぞ」
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                「そうか」
[j]43FJ3L RISDGX[/j]                「でもさ、紗結が洗い方教えてくれて、んで手伝ってくれて……紗結の手、気持ちよかったー」
[j]43FJ3L RISDGW[/j]               
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                (まったく。よほど毎日が楽しいのか……紗結、紗結と、そればかりだな)
[j]43FJ3L RISDH0[/j]                 学園に通い出す前から、蓮の口から何度彼女の名を聞いただろうか
[j]43FJ3L RISDH0[/j]                 ――香月紗結。年下の従姉妹であり、蓮が子どもじみた恋情で執着する少女。……それだけだ。今はまだ、それだけでいい[j]43FJ3L RISDH1[/j]
                 隙あらば学園であったことを余さず語ろうとする蓮を幾度となく黙らせ、修祓の後に大祓詞を奏上する[j]43FJ3L RISDGI[/j]
                 ようやく夕拝を終えることができ、私は苦笑が浮かびそうになる口元を引き締めつつ柏手を八つ打った
[j]43FJ3L RISDGS[/j]                [j]43FJ3L RISDFX[/j]
                「廣前に秋の垂穂の八握穂を持清まはり
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                御炊きて備る御食は柏葉に
[j]43FJ3L RISDGB[/j]                高らかに拍八平手の音平けく安けく
[j]43FJ3L RISDGT[/j]                神は聞ませ宇豆の大御膳」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]               
[j]43FJ3L RISDGG[/j]                 蓮に向かって神饌祝詞をあげ、卓にずらりと並べた食事を指す
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                「さっさと食べてしまいなさい」[j]43FJ3L RISDGZ[/j]
                「へーい」[j]43FJ3L RISDH6[/j]
                 静座し、一拝一拍手の後、蓮は普段私が唱える歌を詠む[j]43FJ3L RISDH8[/j]
                「たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の 恵えてこそ」
[j]43FJ3L RISDFN[/j]                「…………」
[j]43FJ3L RISDG8[/j]                 蓮は我々から供えられる側の神なのだから、わざわざ食に感謝を捧げる歌を詠まずとも良いとは思うのだが、人の真似をすることも楽しいのだろう[j]43FJ3L RISDGI[/j]
                 こういう純粋な仕草を見ると、神となった今は人であった過去の全てを失っているとはいえ、未練があるのではないかと苦い気持ちになる
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                 だが……この陽気な神に、そこまで難しいことを考える頭はない
[j]43FJ3L RISDGF[/j]                (人工神は必要以上に人に懐き、絶対的に人を愛するよう作られている)
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]                 人の手で作られし、人を超える能力を持つ生命体
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                「愚かなる人間の、フランケンシュタインコンプレックスか……」
[j]43FJ3L RISDH4[/j]                「んぁ? なになに?」[j]43FJ3L RISDFP[/j]
                 私がぽつりと呟いた言葉に、蓮は興味津々といったふうに瞬きする
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                「なんでもない。昨夜読んでいた、古いSF小説の話だ」
[j]43FJ3L RISDFY[/j]                「んーと、なんかロボットの話だっけ。斗真、昔からそれ何度も読んでない? 面白いの?」
[j]43FJ3L RISDGL[/j]                 その問いには答えず、私は三原則に縛られるロボットよりも不   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   な神へ夕食を促す[j]43FJ3L RISDGE[/j]
                「読みたければ貸してやるから、先に食事を済ませろ。まだまだ務めでやることは沢山あるぞ」
[j]43FJ3L RISDGP[/j]                「へーい。斗真って料理上手いよな! かーさんのも美味かったけど、毎日きっちり決まった時間に決まった同じ献立だったからなー……」
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                 いただきます、と更に人間の真似事で手を合わせてから、蓮は長箸を手にして大皿に盛った御饌を自分の皿に取り始める
[j]43FJ3L RISDFX[/j]                「斗真が作るようになってから今風になったっつーかさー俺好みになったっつーかさー、メシ食うの楽しみになった!」
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]                「褒めてごまかして、玉ねぎをよけない。バランス良く取りなさい」
[j]43FJ3L RISDGI[/j]                「……うぇーい」[j]43FJ3L RISDGX[/j]
                 先代の宮司であった父や付き従っていた母が見れば、主神相手にこの物言いは不敬であろうと私を咎めるだろうが……知ったことではない
[j]43FJ3L RISDGW[/j]                 ――今の蓮は、花葵神社の神職である私の神だ
[j]43FJ3L RISDFL[/j]                 遙か彼方の遠くにおわし、お姿を拝見することもお声を聴くことも適わぬ天の神とは違う
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]                 人工神として機械的に神の能力を植え付けられていようと――ものを食し、眠り、生殖行為を行える、我らと同じ人の肉体を持っている
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                 思うがまま素直に笑い、泣き、怒る
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                 彼には感情があり、嗜好があり、表情がある
[j]43FJ3L RISDGC[/j]                 幼い頃に初めて彼と引き合わされたときから、共に過ごしてきた時間がある
[j]43FJ3L RISDH4[/j]                 父がやってきたように、ただ祀り上げ、毎日毎日決まった神饌と祝詞を捧げていれば良いとは思わない
[j]43FJ3L RISDG9[/j]               
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                「……いっつも思うけどさ、斗真も一緒に食べられたらいーのになあ。せっかくおいしーのに、俺の下がりだと冷めちゃってるし」
[j]43FJ3L RISDH4[/j]                「神人共食。そういう決まりだ。お前が気にする必要はない」
[j]43FJ3L RISDFL[/j]                「ま、そーだけど。前は俺が食べてる間待ってるの、辛そうだったじゃん」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                「前って……いつの話をしている」[j]43FJ3L RISDFM[/j]
                「あはは! いくら神職だっていっても、育ち盛りの子どもにまでこの決まりは酷だよなぁ」
[j]43FJ3L RISDH9[/j]  神である蓮にとっては瞬きの間なのかもしれないが、20年近くも昔の話を持ち出されると気恥ずかしさと気まずい心地がない交ぜになる[j]43FJ3L RISDG6[/j]
  こうして会話をしている姿を外から見れば、今の私たちは少し歳の離れた兄弟とでも思われるだろうか[j]43FJ3L RISDG5[/j]
   私と蓮――弟と兄。兄と弟
[j]43FJ3L RISDH1[/j]   そして彼が神で在るまま順当に時が過ぎゆけば……やがて、私たちの見た目は父子のようになり、祖父と孫ともなるのだろう[j]43FJ3L RISDFO[/j]

[j]43FJ3L RISDGX[/j]   「……私がどうこうというより、単にお前が誰かと食事を共にしたいだけだな?」 [j]43FJ3L RISDFU[/j]
   「あ、バレた? だってさぁ、学校でみんなでワイワイ賑やかに弁当食ってるの見たら楽しそうなんだもん」
[j]43FJ3L RISDG6[/j]   好奇心に満ちた無邪気な笑みとは裏腹に、彼の瞳には神たる妖美な彩が滲んでいる
[j]43FJ3L RISDH3[/j]   この奇妙なアンバランスさこそが、人工神である証なのかもしれない
[j]43FJ3L RISDFX[/j]   「俺は外でものを食うこと自体が禁忌だし、神域で朝拝夕拝の日供しか口にできないから……紗結や瑛太が弁当食ってたり、学食行ったりするのいいなーって見てるだけなんだけど、ここで斗真と一緒にならいいじゃん? どーせ同じもの食うんだし!」
[j]43FJ3L RISDGV[/j]                「……蓮」
[j]43FJ3L RISDFM[/j]                 少し声のトーンを下げて呼びかけると、蓮は首を竦める
[j]43FJ3L RISDGI[/j]                「わ、わかってるよ……俺は花葵神社の神様で、斗真は神職だろ。長い間ずっと一緒に暮らしてたって、人間みたいな家族じゃない」 [j]43FJ3L RISDG5[/j]
                「ああ、その通りだ。私はお前に仕える者であり、守護者だ。弁えろ」 [j]43FJ3L RISDFL[/j]
                「……うん」
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                 耳と尾をしゅんと垂らした犬のように表情を曇らせる蓮を見て、私は小さくため息を吐く
[j]43FJ3L RISDGW[/j]                (これも、学園に通わせた影響か……)
[j]43FJ3L RISDFR[/j]                 元々人に懐きやすく甘えたがりな面があったとはいえ、普通の学生たちと同じ生活を求められても困るし……正直、こちらもうっかり甘やかしてしまいそうになる
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                 強引に会話の流れを変えようと、私は取り皿に盛られた料理を指した
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]                「それだけでいいのか」
[j]43FJ3L RISDH9[/j]                「え? あ、うん。生体維持に足る分だけでいいし、これで充分。どっちかっつーと、日供は腹を満たすより『心』をいただくって感じだしな!」
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]                 どれだけ沢山の種類の料理を並べようと、蓮は一口ずつほどしか取ろうとしない[j]43FJ3L RISDFR[/j]
                 もしも蓮が普通の人間で、見た目通りの年齢であったとしたらあまりにも少ない量だ
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                「つか、毎日こんなにいっぱい作らなくてもいいんだぜ? 斗真だって下がりを食べきれなくて、次の日の昼も同じもの食ってるだろ」 [j]43FJ3L RISDGY[/j]
                「神に捧ぐ御饌は、信心のかたち。神職の私が、納得するようにしているだけだ。お前は気にしなくていい」
[j]43FJ3L RISDGK[/j]                「うん……でもさ……」 [j]43FJ3L RISDGB[/j]
                 神人共食として順に氏子へお裾分けに行くこともあるし、残り物があればむしろ昼食の用意をせずに済んで楽だと思っているくらいなのだが……蓮はまだ、腑に落ちないという顔をしている
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                 彼に気取られぬよう心中で大きくため息を吐くと、私はひとつの提案をすることにした
[j]43FJ3L RISDGM[/j]
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]                「プリン」
[j]43FJ3L RISDGS[/j]                「へ?」
[j]43FJ3L RISDFW[/j]                「この前、食べたがっていただろう。明日は紗結が神社のアルバイトに来る日だし、お前と彼女の分を作っておいてやるからここへ呼びなさい」 [j]43FJ3L RISDGE[/j]
                「え、えっ? いいの?」
[j]43FJ3L RISDG4[/j]                「ああ」
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                「プチッとするやつじゃなくて、ちゃんとオーブンで焼いたやつ? カラメルもいっぱい?」 [j]43FJ3L RISDG1[/j]
                「……ああ」
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                 頷いてやると、蓮はわくわくとした顔ですぐに食いついてくる[j]43FJ3L RISDGV[/j]
                (……やれやれ、私も甘くなったものだ) [j]43FJ3L RISDH2[/j]
                 それだけ歳を取ったのかと自嘲めいた笑みが浮かぶが、決して悪い気分ではない
[j]43FJ3L RISDFL[/j]                「あっ、でも……ホントにいいのか? 斗真と一緒に食べるのダメなのに、紗結だってさ――」
[j]43FJ3L RISDGE[/j]                「特別だ。構わない」 [j]43FJ3L RISDFQ[/j]
                「……? そうなのか? プリンってすごいな! 特別! 焼きプリン様!」
[j]43FJ3L RISDGX[/j]                 蓮は勝手に勘違いしてふむふむと感心しているようだが、それでいい
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]                (ああ、そうさ……蓮、紗結。お前たちは『特別』だ) [j]43FJ3L RISDGW[/j]
                「あー、早く明日にならないかなっ! 紗結も絶対喜ぶと思う!」
[j]43FJ3L RISDFS[/j]                 私の神は、楽しみでたまらないというように腰を浮かせる
[j]43FJ3L RISDFV[/j]                「……蓮、行儀が悪い。きちんと座って食べなさい。それから、玉ねぎを残さないこと」
[j]43FJ3L RISDG0[/j]                「えっと……俺、神様だし、その辺大目に見るとかない?」
[j]43FJ3L RISDFV[/j]                「ない。好き嫌いすると、大きくなれないぞ」
[j]43FJ3L RISDFS[/j]                「人工神は身体の成長止まってるし、大きくなるも何もないと思うんだけどー」
[j]43FJ3L RISDGF[/j]                「肉体ではなく、器という意味だ。世の女(xing)は、得てして器の大きい男に心惹かれるものではないのか? もちろん……紗結も然りだと思うが」 [j]43FJ3L RISDGU[/j]
                「む……むむむ……」
[j]43FJ3L RISDGK[/j]                 ぎゅっと目を閉じて鼻をつまみ、蓮は皿の隅によけていた玉ねぎを思い切って口に放り込む
[j]43FJ3L RISDH3[/j]                 そのまま水で流し込んだが、まあそのくらいは見逃してやることにしよう
[j]43FJ3L RISDGO[/j]
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]                「……あ! 斗真っ! 明日、アオイマートで玉子が特売だって!」
[j]43FJ3L RISDGR[/j]                 人工神ネットワークで即座に情報検索したのか、蓮は私の前にデバイスを差し出して画面を見せる[j]43FJ3L RISDFU[/j]
                「当然チェック済みだ。ぬかりはない」 [j]43FJ3L RISDGU[/j]
                「さっすが斗真! あ、でも、プリンって玉子いっぱいいるよな? おひとり様1パック限りだから、帰りに紗結と一緒に買ってこようか?」
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                「そんなに何パックもいらない。どれだけ巨大なプリンを作らせる気だ」
[j]43FJ3L RISDGI[/j]                「えへへー、いーじゃん! 紗結と一緒なら、俺いっぱい食べるもん!」
[j]43FJ3L RISDFV[/j]
[j]43FJ3L RISDFT[/j]   無邪気に笑う――私の、神[j]43FJ3L RISDGY[/j]
   箸を置いて端座し、一拝一拍手の後に蓮の朗々とした声が響く
[j]43FJ3L RISDGK[/j]  「朝宵に 物喰ふごとに 豊受の 神の恵みを 思へ世の人」 [j]43FJ3L RISDGS[/j]
  ごちそうさま、と改めて手を合わせ、皿を空にした彼は陽光を映すが如くの顔で笑う。  
[j]43FJ3L RISDGY[/j][j]43FJ3L RISDG7[/j]
  「私は片付けをしてから、境内の摂社と末社を回ってくる」
[j]43FJ3L RISDFU[/j]  「はいはーい。んじゃ、俺は授与品のお札書いとく」 [j]43FJ3L RISDGC[/j]
   筆と硯を用意し、文机に向かった蓮は慣れた所作で墨をすり始める
[j]43FJ3L RISDH1[/j]   私たちが幾年も幾年も続けてきた、いつもと変わらぬ光景。変わらぬ世界
[j]43FJ3L RISDGW[/j]   それが彼と彼女の再会でじわりじわりと変化していることに、未だ誰も気付いていない
[j]43FJ3L RISDGT[/j]
[j]43FJ3L RISDH1[/j]                 花葵――葵。あふひ
[j]43FJ3L RISDFP[/j]                 太陽に向かい陽を仰ぐ、仰日
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                 神と逢う日。逢日
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                (……さあ、我が神よ。此の、人の世で存分に踊れ) [j]43FJ3L RISDGW[/j]
                END

[j]43FJ3L RISDFW[/j]
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]
[j]43FJ3L RISDG1[/j]2015.10.09 ストーリー更新。舞台背景を追加[j]43FJ3L RISDGQ[/j]
[j]43FJ3L RISDH1[/j]
                               
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[j]43FJ3L RISDGZ[/j]
①白葵学園(しらきがくえん)[j]43FJ3L RISDFO[/j]

[j]43FJ3L RISDGH[/j]                                    白葵町にある紗結たちが通う学園
[j]43FJ3L RISDGF[/j]
[j]43FJ3L RISDFW[/j]                                    学生の自主(xing)を尊重した   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   な校風で伸び伸びとした雰囲気の学園
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]
[j]43FJ3L RISDFT[/j]                                    瑛太が所属する剣道部は全国大会に出場するなど、強豪校としても有名

[j]43FJ3L RISDFV[/j]
[j]43FJ3L RISDG1[/j]

[j]43FJ3L RISDG6[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGZ[/j]

[j]43FJ3L RISDFO[/j]
②白葵町(しらきまち)の町並み[j]43FJ3L RISDGJ[/j]
[j]43FJ3L RISDG9[/j]

[j]43FJ3L RISDFY[/j]                                    紗結たちが住んでいる町[j]43FJ3L RISDH2[/j]
                                    町の中心には観光スポットとして有名な花葵神社(はるきじんじゃ)があり、観光業が盛んな町[j]43FJ3L RISDGG[/j]
                                    町並みは花葵神社の景観を損ねないよう整備されているため、レトロな建物が建ち並んでいる

[j]43FJ3L RISDH2[/j]2015.10.02 スペシャル更新。Twitterアイコン&バナー配布、バナーキャンペーン開催
[j]43FJ3L RISDFS[/j]

[j]43FJ3L RISDGJ[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDFY[/j]
2015.09.24 スペシャル更新。湊&理玖バースデーSS期間限定公開
[j]43FJ3L RISDGL[/j][j]43FJ3L RISDGN[/j]

[j]43FJ3L RISDFR[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGD[/j][j]43FJ3L RISDGD[/j]
「お兄ちゃん、速水先生、お誕生日おめでとう!」
[j]43FJ3L RISDGK[/j]  和やかな雰囲気での食事会が盛り上がった頃……今日のために用意したホールケーキを出すと、ふたりの表情がそれぞれ変化する
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                「ありがとう、紗結」
[j]43FJ3L RISDGL[/j]                「なるほど……そういうわけでしたか」
[j]43FJ3L RISDH1[/j]                 満面に笑みをたたえるお兄ちゃんと、やれやれといった感じで苦笑する速水先生
[j]43FJ3L RISDFZ[/j]                 よく似た顔に浮かぶその笑みは両極端だけど、私はこのサプライズが成功したことを確信する[j]43FJ3L RISDG2[/j]

[j]43FJ3L RISDGV[/j]                「香月さんも、湊さんも、何度断ろうとも9月24日は家へ食事に来いと毎日のように誘ってくるし、当日はわざわざマンションの前で待ち伏せまでしてるから何事かと思ったら……こんなスペシャルデザートが用意されてるとは」
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                 頬杖をつき、速水先生は小さくため息を吐きながら私が作ったケーキを見る
[j]43FJ3L RISDFQ[/j]                「えへへ……だって、せっかくふたりが同じ誕生日だってわかったんですもん。すごい偶然だし、一緒にお祝いしたいなってお兄ちゃんに言ったら、絶対お招きしようってことになって」
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                「もし逃げられたら機関のネットワークを使ってでも確保しようかと思ってたけど、無事にマンションの入り口でつかまえられてよかったなあ」
[j]43FJ3L RISDG9[/j]                「職権乱用も甚だしいな。あなたにとって、僕は珍獣かなにかですか」
[j]43FJ3L RISDG8[/j]                「あはは、珍獣扱いなんてとんでもない。大切な紗結がお世話になっている、担任の先生ですよ」[j]43FJ3L RISDFT[/j]
                「……『大切な』って、そこに付くんだ?」
[j]43FJ3L RISDFV[/j]                「ええ、もちろん!」
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]                 そこはお世辞でも『大切な担任の先生』と付けるのが大人の嗜みだろ、と速水先生のぼやきが聞こえるが、お兄ちゃんは全く気にせずにこにこと笑っている
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                「今年も上手にできたね、紗結。どんなお祝いより、紗結のケーキと笑顔が一番嬉しいよ」[j]43FJ3L RISDGB[/j]
                「……甘ったるいことで」
[j]43FJ3L RISDGM[/j]                 私の頭を撫でるお兄ちゃんを見て、速水先生がケーキに載っているイチゴをひょいっとひとつ取る
[j]43FJ3L RISDH0[/j]                「あっ、先生! 何やってるんですか、まだ手を出しちゃ駄目ですよ!」[j]43FJ3L RISDH8[/j]
                「いいでしょ、別に。毎年湊さんは全部ひとりじめしてきたんだろうけど……今年は、半分は僕のものなんだから」[j]43FJ3L RISDGR[/j]
                「良くないです! ほら、イチゴ戻してください。まだ写真撮ってないんだから! 紗結のケーキは毎年記録に残して、永久保存データですよ」[j]43FJ3L RISDFS[/j]
                 いそいそとカメラ付きのデバイスを取り出すお兄ちゃんに、速水先生は見せつけるようにしてイチゴを口に放り込んでしまう
[j]43FJ3L RISDGD[/j]                「……残念。もう、食べちゃいました」
[j]43FJ3L RISDH1[/j]                「あ! もー……ひどいなあ。綺麗なシンメトリが台無しだ」
[j]43FJ3L RISDGX[/j]                 多少飾りの見栄えが変わっただけなのに、お兄ちゃんは心底残念そうに肩を落とす[j]43FJ3L RISDGT[/j]
                 イチゴひとつで大げさだなぁって思うけど、毎年のいろいろな節目やなんてこともない日常でも、お兄ちゃんが嬉しそうにたくさんの写真を撮ってくれるのは……私の記憶が欠けているからなんじゃないかって思う
[j]43FJ3L RISDGW[/j]                 もし、今後何があっても大丈夫だよ。思い出は消えないよって[j]43FJ3L RISDH0[/j]
                 たくさん写真を撮られる度に、お兄ちゃんがそう言ってくれてるみたいだって感じてた
[j]43FJ3L RISDGB[/j]                 だから、ただの過保護や兄バカじゃないんだと思う。……たぶん。たぶん、だけど
[j]43FJ3L RISDH8[/j]                「お兄ちゃん、ここにロウソクを立てればいいよ」
[j]43FJ3L RISDH5[/j]                 私は数字のロウソクを、ぽっかりと空いたそこに刺す
[j]43FJ3L RISDGY[/j]                 真ん中に立てようと思ってたけど、こっちの方がずっとキレイに見えるから……速水先生のつまみ食いのおかげかもしれない[j]43FJ3L RISDGS[/j]
                「ああ、いいな。可愛い可愛い。じゃあ、3人で撮ろう」
[j]43FJ3L RISDGE[/j]                 ケーキと私を真ん中に、お兄ちゃんは腕を伸ばしてデバイスを構えてカメラを向ける
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                「ほら、先生。もっと寄ってくれないとフレームに入りませんよ」
[j]43FJ3L RISDGW[/j]                「はいはい」[j]43FJ3L RISDG8[/j]
                 半ばあきれ顔でも、速水先生は素直にお兄ちゃんの言うことを聞いて私に身を寄せる[j]43FJ3L RISDH2[/j]
                「ふ……君からも、甘い匂いがする。僕はケーキよりこっちの香りの方が好みかも」
[j]43FJ3L RISDGA[/j]                「え、あの……?」[j]43FJ3L RISDFV[/j]
                 髪が触れ合い、体温と吐息を感じるほどに顔を近付けられてどきっとする[j]43FJ3L RISDG7[/j]
                「先生! 寄りすぎ!」
[j]43FJ3L RISDFL[/j]                「寄らないと、入らないんでしょ? ほら、早く撮らないと僕がまたつまみ食いをしちゃいますよ。……イチゴより、おいしいものをね」[j]43FJ3L RISDGH[/j]
                「はぁ……わかりました。じゃ、撮るよー。笑って!」[j]43FJ3L RISDGJ[/j]
                 お兄ちゃんの声に合わせ、3人でカメラに笑顔を向ける
[j]43FJ3L RISDFO[/j]                 軽快な電子音と共に、『今』の私たちの一瞬が切り取られた
[j]43FJ3L RISDGV[/j]                「それじゃ、ロウソクに火を点けますね」
[j]43FJ3L RISDGG[/j]                「……それは勘弁。いい大人が、わざわざ誕生日パーティーってだけでも複雑な気分なのに、ロウソクふーってまでやらされたらコントでしょ」[j]43FJ3L RISDH6[/j]
                 私がライターでロウソクに火を点けると、照れ臭いのか速水先生はちょっと逃げ腰になる
[j]43FJ3L RISDG0[/j]                「こんなの、今は子どもだってめったにやらないんじゃないの。……少なくとも、僕の記憶にはない」[j]43FJ3L RISDGC[/j]
                「そうですか? 誕生日祝いに、大人か子どもかなんて関係ないと思いますよ。こうして心から祝ってくれる人がいる。幸せなことじゃないですか」[j]43FJ3L RISDFY[/j]
                 くすっと笑い、お兄ちゃんは速水先生を促す
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                「やったことがないなら、今やればいいんですよ。今年の誕生日で、初めてのこと」
[j]43FJ3L RISDGO[/j]                「…………ほんっと、甘ったるいことで」
[j]43FJ3L RISDH7[/j]                 肩をすくめていても、速水先生の顔には隠しきれない笑みが浮かんでいて……私はそれをすごく嬉しいと思った
[j]43FJ3L RISDGN[/j]                「じゃ、歌います! お兄ちゃんと速水先生、ふたりで一緒に吹き消してくださいね」
[j]43FJ3L RISDH3[/j]                 ハッピーバースデートゥー
[j]43FJ3L RISDFL[/j]                 私はふたりのyouへ想いを籠めて、お誕生日を祝って歌う
[j]43FJ3L RISDH4[/j]                「ディア、お兄ちゃん! ディア、速水先生! ハッピーバースデートゥーユー」
[j]43FJ3L RISDH6[/j]                 私の歌が終わると同時に――せーのの合図も目配せすらなく、お兄ちゃんと速水先生はぴたりと揃ったタイミングで左右からふぅっとロウソクを吹き消す[j]43FJ3L RISDFL[/j]
                「お兄ちゃん、速水先生、お誕生日おめでとう!」
[j]43FJ3L RISDGC[/j]
[j]43FJ3L RISDFN[/j]                 私がもう一度そう言って拍手をすると、ふたりの笑顔はまったく同じ甘さと優しさに満ちていた
[j]43FJ3L RISDFV[/j]         
[j]43FJ3L RISDFX[/j]                END

[j]43FJ3L RISDFW[/j]2015.09.18 キャラクター更新しました [j]43FJ3L RISDH6[/j]
[j]43FJ3L RISDGN[/j]
                               
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[j]43FJ3L RISDG4[/j]
[j]43FJ3L RISDFR[/j]
紗結の父と自身の父の間で花葵神社の後継者争いがあったことを知ってはいるが、父同士のことであって自分には関係ないと思っている[j]43FJ3L RISDFR[/j]
            そのため、紗結たちと斗真の関係は良好で、アルバイトにきた紗結のサポートも行っている
[j]43FJ3L RISDGU[/j]            主に人工神である蓮のサポート役を行っており、人工神が力をふるった際に生みだしてしまう穢れを祓う役割を担っている
[j]43FJ3L RISDGJ[/j]            蓮のことは人工神という敬うべき相手というよりも、手のかかる弟だと思っている
[j]43FJ3L RISDH6[/j]
[j]43FJ3L RISDFL[/j]            人工神プログラムや香月家の秘密など全てを知る人物

[j]43FJ3L RISDGF[/j]
[j]43FJ3L RISDGI[/j]
                               
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[j]43FJ3L RISDGR[/j][j]43FJ3L RISDG2[/j]

[j]43FJ3L RISDFX[/j]
      以前は、両親と花葵神社の近所に住んでいたが、 両親が他界してからは、学園近くのマンションで兄の湊と2人暮らし
[j]43FJ3L RISDGW[/j]            炊事、洗濯などの家事は基本分担制だが、兄がほとんどやってくれている
[j]43FJ3L RISDFL[/j]            兄とは何でも言い合える仲の良い兄妹
[j]43FJ3L RISDFP[/j]            幼い頃から活発でおてんばだったが、両親が他界してからは、兄や亡くなった両親に心配をかけないよう、一層明るく振舞っている
[j]43FJ3L RISDGA[/j]            幼い頃の記憶を一部失っているが、本人は気にしておらず、成長とともに記憶が曖昧になってしまっているのだと思っている
[j]43FJ3L RISDGY[/j]            明るく社交的で友達も多いが、自分の本心を人に曝け出すのが苦手
[j]43FJ3L RISDGL[/j]            恋愛にはあまり興味がなく、現在までに彼氏はいたことがない[j]43FJ3L RISDFL[/j]
            勉強も運動もあまり得意ではない、可もなく不可もなくといった平凡な女の子
[j]43FJ3L RISDGS[/j]            兄の世話になっているため、早く自立したいという思いが強く、自宅近くにある花葵神社でアルバイトをはじめる[j]43FJ3L RISDG4[/j]
            神様の存在を全く信じていない現実主義者だったが自称花葵神社の『神様』である、香月 蓮(かつき れん)と出会う
[j]43FJ3L RISDG8[/j]            紗結の失った幼い頃の記憶とともに蓮の『神様』としての力が封印されたと聞かされ、半信半疑だったが、同時に蓮に対して不思議な感覚を覚え、一緒に記憶探しを始めることに
[j]43FJ3L RISDFV[/j]           

[j]43FJ3L RISDFS[/j][j]43FJ3L RISDGT[/j]
2015.09.17 キャラクター更新しました
[j]43FJ3L RISDGQ[/j][j]43FJ3L RISDGG[/j]

[j]43FJ3L RISDFL[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDFO[/j]
[j]43FJ3L RISDGY[/j]
紗結の幼馴染み
[j]43FJ3L RISDH8[/j]            紗結が記憶を失った際にそばにいた人物
[j]43FJ3L RISDH1[/j]            幼い頃はいつも紗結と湊と一緒に遊んでいた
[j]43FJ3L RISDG3[/j]            中(xing)的な容姿をしていた瑛太はよくいじめられていて、 その度におてんばな紗結が瑛太を守っていた[j]43FJ3L RISDGE[/j]
            大きくなったら紗結を守れるように強くなりたいと思い、 花葵神社裏手にある剣道場で剣道を習いはじめる
[j]43FJ3L RISDGW[/j]            斗真は瑛太の剣道の師匠でもある
[j]43FJ3L RISDH7[/j]
[j]43FJ3L RISDFT[/j]            学園では剣道部に入部
[j]43FJ3L RISDH8[/j]            剣道漬けの日々を過ごしているため、あまり勉強は得意ではないが明るく、友達も多いためクラスの中心的存在
[j]43FJ3L RISDG8[/j]            剣道の大会で優秀な成績をおさめており、 部内では次期エースと期待されている
[j]43FJ3L RISDFY[/j]            学園内外の女子からも評判になっているほどの人気ぶりだが、 本人はあまり気にしていない
[j]43FJ3L RISDGT[/j]
[j]43FJ3L RISDGW[/j]            紗結とは両親の死をきっかけに、 そのまま疎遠になってしまうが学園で再会を果たす
[j]43FJ3L RISDFT[/j]            同じクラスになり昔のような関係に戻りたいと思っていたところに蓮があらわれ、 記憶探しの手伝いをすることに

[j]43FJ3L RISDGA[/j]
[j]43FJ3L RISDFX[/j]

[j]43FJ3L RISDGX[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGR[/j]
紗結たちが通う学園の教師を勤めており、担任でもある
[j]43FJ3L RISDGC[/j]            表向きは温厚な(xing)格でいつも笑顔を絶やさないため、 学生や教師からも人気がある
[j]43FJ3L RISDFX[/j]            しかし、実際は自分にも他人にも頓着しないケセラセラな(xing)格
[j]43FJ3L RISDFW[/j]            特定の人との交流を避けているため、 プライベートは一切謎に包まれている
[j]43FJ3L RISDH1[/j]            子どもの頃の記憶を失っているが、 現在の生活に特に支障がないのため気にとめていない
[j]43FJ3L RISDFY[/j]            湊と似た雰囲気を持つ理玖のことを紗結はとても慕っており、 紗結から自身の記憶について相談された時、 自分と同じ境遇の紗結に興味を持つ
[j]43FJ3L RISDH8[/j]            それ以降、紗結に対しては素の自分を見せられるようになり、紗結を妹のように可愛がっている
[j]43FJ3L RISDH8[/j]            現在は、学園付近にあるマンションで一人暮らしをしている

[j]43FJ3L RISDFZ[/j]2015.09.15
[j]43FJ3L RISDGC[/j]

[j]43FJ3L RISDGQ[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDG0[/j]
☆あらすじ
[j]43FJ3L RISDGK[/j]遠い天の国の神様、私たち人間が生きるこの地上に棲まう神様[j]43FJ3L RISDFN[/j]
風火地水、自然に宿る神々[j]43FJ3L RISDGA[/j]
道具が変化したつくも神や、動物や人の魂が祀られて神となった魂。この国には太古の昔から、たくさんの神様がいる
[j]43FJ3L RISDH3[/j]
[j]43FJ3L RISDG3[/j]そして今、この時代
[j]43FJ3L RISDG7[/j]私たち人間のすぐ傍には……私たちを護るために生まれた、新たな神様がいる
[j]43FJ3L RISDFN[/j]
[j]43FJ3L RISDG4[/j]人類の叡智の結晶とも呼ばれる、人工神
[j]43FJ3L RISDGC[/j]――私たち人間は、とうとう自らの手で神様をも作り上げてしまったのです
[j]43FJ3L RISDH8[/j][j]43FJ3L RISDFM[/j]
夏の暑さがまだ残る頃、生まれ育った白葵町に引っ越してきた主人公 香月紗結(名前変更可)と歳の離れた兄餰月湊[j]43FJ3L RISDGZ[/j]
[j]43FJ3L RISDFL[/j]
両親が亡くなった際に幼い頃の記憶が曖昧になってしまった紗結は、記憶がないことに不安もあったが、優しい兄と支えあって生きてきた[j]43FJ3L RISDGI[/j]

[j]43FJ3L RISDH0[/j]紗結が白葵学園に転入して1週間
[j]43FJ3L RISDGA[/j]この町にも学園にもすっかり馴染んできたある日、紗結のクラスに転校生がやってきた
[j]43FJ3L RISDGG[/j]
[j]43FJ3L RISDG3[/j]彼は真っ先に紗結のもとに歩いてきて――
[j]43FJ3L RISDG5[/j][j]43FJ3L RISDGS[/j]
「やっと会えた……。俺は花葵神社の『人工神』だ[j]43FJ3L RISDH7[/j]
俺の力を取り戻すためには、お前の失くした記憶が必要なんだ
[j]43FJ3L RISDGD[/j]頼む! 一緒に探してくれ」
[j]43FJ3L RISDGB[/j][j]43FJ3L RISDH0[/j]
自身を『人工神』だと名乗る不思議な青年 香月蓮は幼い頃に紗結と出会い『紗結の記憶』と『蓮の神様としての力』を封印してしまったことを告げる[j]43FJ3L RISDFW[/j]

[j]43FJ3L RISDH1[/j]空白の記憶――
[j]43FJ3L RISDGG[/j]
[j]43FJ3L RISDGR[/j]失くしてしまった記憶のカケラを探す物語が今、始まる……

[j]43FJ3L RISDG5[/j]
[j]43FJ3L RISDH4[/j]
☆製品情報[j]43FJ3L RISDFO[/j]
企画ディレクション:歌紗野いく
[j]43FJ3L RISDGE[/j]キャラクターデザイン 原画:ゴゴちゃん
[j]43FJ3L RISDGX[/j]SDキャラクターデザイン SD原画:トガタ
[j]43FJ3L RISDGI[/j]シナリオ:高岡果輪
[j]43FJ3L RISDH8[/j]発売日:未定
[j]43FJ3L RISDFN[/j]価格:7800円[j]43FJ3L RISDFU[/j]
ボイス  男(xing)キャラクターのみフルボイス (主人公ボイスなし)
今作は「人工神」×「学園」×「青春」というコンセプトのほかに「登場人物の記憶が欠けている」というものがあります。これは、主人公を含む登場人物の何らかの記憶が欠けていたり、捏造されていたり、またどの記憶が本物なのか、嘘なのか。誰が誰の欠けたピースを持っているのか……。全員の記憶を重ね合わせれば真実が見えてくる――という「記憶」も1つのポイントとして、お話が展開していきます
[j]43FJ3L RISDH0[/j]
[j]43FJ3L RISDH7[/j]もちろんブランドカラーである ①ラブコメ ②BGV ③3P は継承していきます

[j]43FJ3L RISDG2[/j]

[j]43FJ3L RISDG5[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDH4[/j]
[j]43FJ3L RISDFN[/j]
花葵神社の『人工神』であり、紗結の幼い頃の記憶を奪ってしまった張本人[j]43FJ3L RISDGG[/j]
            元は人間であったが、人工神プログラムの適合者となったため、国家機関によって神様プログラムを植えつけられ人工神となる[j]43FJ3L RISDFT[/j]
            その際に自身が人間だった記憶は消去された
[j]43FJ3L RISDGW[/j]            本来、人工神は人間とは異なる考え方や(xing)質をもっているが[j]43FJ3L RISDGV[/j]
            蓮は神様の力を失っているため、人間の考え方に近い部分もある
[j]43FJ3L RISDH7[/j]            人工神になってしまった自身の運命に対して、認めてはいるが
[j]43FJ3L RISDG1[/j]            その根底には、普通の人間になりたいと、人間に対して強い憧れを持っている
[j]43FJ3L RISDFR[/j]            紗結の記憶とともに神様の力を封印されてしまった蓮は[j]43FJ3L RISDGT[/j]
            他の人工神とは違い人間と生活をすることなく
[j]43FJ3L RISDG3[/j]            花葵神社に籠もっていたため、少々世間知らずな面もある
[j]43FJ3L RISDH6[/j]            神力がない蓮は、護り役の斗真の協力もあって
[j]43FJ3L RISDG7[/j]            何とか役目を果たしていたが、紗結と一緒にいたいと強く思い、学園に転入してくる

[j]43FJ3L RISDH2[/j]

[j]43FJ3L RISDG2[/j]                               
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[j]43FJ3L RISDGS[/j]

[j]43FJ3L RISDH0[/j]
紗結の兄。紗結とは、血は繋がっていない[j]43FJ3L RISDFT[/j]
            優しく、真面目な(xing)格で両親が亡くなってからは紗結を男手一つで育ててきた[j]43FJ3L RISDFY[/j]
            紗結とは仲が良く、何でも言い合える関係でかなりシスコン気味[j]43FJ3L RISDH7[/j]
            香月の両親が亡くなる前に自身の出自を聞き、香月家と血が繋がっていないことは理解しているが、紗結には本当のことを話せていない
[j]43FJ3L RISDFP[/j]            自身の本当の両親の記憶はなく、自分を捨てた両親と会いたいとは思っておらず、むしろ、暖かい家庭、家族の愛情を教えてくれた香月の両親にとても感謝しており、紗結は自分が守ると決意している
[j]43FJ3L RISDGH[/j]            人並みに恋愛経験はあるが、何よりも紗結が優先されるため、みな愛想をつかし、去っていったが、全く気にしていない
[j]43FJ3L RISDFW[/j]            恋愛に対しては、少しドライな(xing)格
[j]43FJ3L RISDGN[/j]            表向きは公務員となっているが、花葵神社の地下にある人工神を製造している国家機関で働いている

[j]43FJ3L RISDGY[/j]
[j]43FJ3L RISDFR[/j]
[j]43FJ3L RISDGP[/j]        3P社新作www[j]43FJ3L RISDFQ[/j]
        一个失忆的女主角不新鲜,一个没有血缘关系的妹控尼桑也不新鲜
[j]43FJ3L RISDGU[/j]「人工神」这个定义还是蛮有趣
[j]43FJ3L RISDFM[/j]为了保护人类而创造出来的,不知道有什么功能
[j]43FJ3L RISDG4[/j]而制造过程是从人类中挑选适格者然后植入神程序..........................同时消除作为人类的记忆
[j]43FJ3L RISDGN[/j][j]43FJ3L RISDG5[/j]
这里自称「人工神」的男主角对女主角声称自己的力量和她的记忆一起被封印了
[j]43FJ3L RISDGX[/j]也就是说现在没有神力
[j]43FJ3L RISDGK[/j]为了回复神力就拜托女主角一起找回记忆吗[j]43FJ3L RISDGX[/j]

[j]43FJ3L RISDH6[/j]
[j]43FJ3L RISDGE[/j]
[j]43FJ3L RISDG7[/j]因为女主角是幼年父母双亡[j]43FJ3L RISDFU[/j]
所以是尼桑一手拉扯长大
[j]43FJ3L RISDFM[/j]没有血缘关系这点也是瞒着女主角
[j]43FJ3L RISDH8[/j]表面是公务员
[j]43FJ3L RISDG4[/j]实际是在创造「人工神」的机构里工作
[j]43FJ3L RISDH4[/j]
[j]43FJ3L RISDH7[/j]等等为什么这位「人工神」和香月同姓[j]43FJ3L RISDH6[/j]
制作人有强调所有登场人物的记忆有点问题
[j]43FJ3L RISDG1[/j]或失忆,或篡改,每个人犹如拼图的一块碎片,拼凑在一起会是   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   [j]43FJ3L RISDGU[/j]
总觉得去世的父母是黑幕啊..................
【论坛搜索关键词】:🔍2016年10月28日 , 🔍円環 , 🔍Ring新作

评分

参与人数 1论坛币 +18 发帖积分 +3 SP +18 收起 理由
亞莎 + 18 + 3 + 18 主樓更新獎勵。

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头像被屏蔽
RU5IMjc=
发表于 2015-9-16 19:43:57
本帖最后由 夙砂酒 于 2015-9-16 19:48 编辑
[j]43FJ3L RISDG3[/j]
[j]43FJ3L RISDH1[/j]啊棒棒的
[j]43FJ3L RISDGA[/j]先占沙发编辑中
[j]43FJ3L RISDFR[/j][j]43FJ3L RISDG7[/j]
================================
[j]43FJ3L RISDGF[/j]这公司一直很有好感诶
[j]43FJ3L RISDH0[/j]放出消息迅速 制作效率高
[j]43FJ3L RISDH5[/j]不跳票(貌似没有吧)[j]43FJ3L RISDG0[/j]
前两作都还感觉不错[j]43FJ3L RISDH6[/j]
画风也是很喜欢
[j]43FJ3L RISDFX[/j]新作感觉画风更加喜欢啊
[j]43FJ3L RISDH0[/j]话说三作画风好像都不太一样
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]新作感觉挺学院风的
[j]43FJ3L RISDG8[/j]但是看设定好像是比较奇幻的世界观呀
[j]43FJ3L RISDHB[/j]先放出来的两个角色看着都很喜欢
[j]43FJ3L RISDGR[/j]坐等更多消息~
[j]43FJ3L RISDFT[/j]
[j]43FJ3L RISDFT[/j]================================
[j]43FJ3L RISDH1[/j]封印的记忆啊神马的。好像是会有些虐的元素
[j]43FJ3L RISDGS[/j]居然还有义兄!~
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b
RU5IMjc=
发表于 2015-9-16 20:59:48
我記得這家公司的網站都是擋海外IP的呀(沒看過前兩作的官網
[j]43FJ3L RISDGN[/j]什麼時候突然解禁了
[j]43FJ3L RISDH2[/j]話說這次果然承襲品牌風格,也是3P遊戲哦?畫風比起以前更美了
[j]43FJ3L RISDG3[/j]左上角兩個男的表情一副鄙視人的樣子XD
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RU5IMjc=
发表于 2015-9-16 21:30:02
A////s'Ring又做了一个能3p的游戏!话说18n的游戏似乎都能3p
[j]43FJ3L RISDH3[/j]感觉这次的画风大不相同,先放出来的两名男(xing)角色,一看就是s值满满的家伙
[j]43FJ3L RISDHB[/j]女主角的记忆是被封住的。总觉得会有什么,女主是某某   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   OSS的剧情~~
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]期待更新情报~~
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RU5IMjc=
发表于 2015-9-17 00:27:48
看到人工神就想起以前看的一本同人叫做不死的西比尔的= =
[j]43FJ3L RISDFS[/j]一般吐槽着黑幕然后发现人工神长得好像渚薰怎么办我的心理   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   影面积增加了∑OAO
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RU5IMjc=
发表于 2015-9-17 19:28:35
看了看人物都属于可以期待3p的情节的长相www
[j]43FJ3L RISDG4[/j]欧尼酱好池啊hshs...痣长得地方简直戳.....
[j]43FJ3L RISDGI[/j]感觉16年真是太种草了......如果从今以后r18画风又好剧情又赞的游戏能多点就好了 (殴
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夜·冰苹果 该用户已被删除
RU5IMjc=
发表于 2015-9-18 22:11:13
本帖最后由 夜·冰苹果 于 2015-9-18 22:13 编辑
[j]43FJ3L RISDGQ[/j][j]43FJ3L RISDFW[/j]
很喜欢这画风,比例也正好。不过却是18N的
[j]43FJ3L RISDGC[/j]男主超有好感,妹子也挺萌,不过这个失忆梗玩烂了好吗
[j]43FJ3L RISDH4[/j]人工神这个倒还能接受,不过具体是什么题材还不清楚。估计有黑化[j]43FJ3L RISDH7[/j]
期待op、剧情
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hasuga 该用户已被删除
RU5IMjc=
发表于 2015-9-18 23:29:53
3p社ww[j]43FJ3L RISDH2[/j]
之前的   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   物语貌似有点残念
[j]43FJ3L RISDFV[/j]不过这次的设定看起来挺有趣的
[j]43FJ3L RISDGM[/j]人类能自己创造神总觉得要受天谴诶w
[j]43FJ3L RISDG9[/j]关于失忆那里我看到说人工神由人类中挑选合适人选然后消除记忆
[j]43FJ3L RISDH4[/j]女主也是没了记忆所以搞不好她……
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一の赖美纪 该用户已被删除
RU5IMjc=
发表于 2015-9-20 00:53:48
微博刷到情報圖時,已第一時間相中銀髮的了////[j]43FJ3L RISDHC[/j]
官配的節奏/////
[j]43FJ3L RISDH2[/j]然後妹控沒血緣關係的尼桑也是重點
[j]43FJ3L RISDFP[/j]話說為啥這個看似亞撒西的尼桑...給我一種CV會是平子的感覺OTZ
[j]43FJ3L RISDGZ[/j]
[j]43FJ3L RISDGQ[/j]18X好評期待中XDD
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月下影 该用户已被删除
RU5IMjc=
发表于 2015-9-20 18:24:34
asring第三作的這畫風仍是不錯呀~看起來蠻粉嫩的
[j]43FJ3L RISDG8[/j]雖說以影個人看來人設的造型似乎都有點變化不大
[j]43FJ3L RISDG5[/j]但看人物背景與世界觀的設定~倒是還蠻有趣的~
[j]43FJ3L RISDGR[/j]期待更多消息釋出囉~
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