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[〖PC〗] [2016年10月28日][円環のメモーリア][A'sRing新作 人工神×学園×青春][02/10更新]

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发表于 2015-9-16 18:51:20 |阅读模式
RFdUM1M=YLXEW
【乙女向】
类型: R18乙女向けアドベンチャーゲーム
发售日期: 2016年10月28日
官方网站: http://asring.1000.tv/enmemo/index.html
制作公司: A\'sRing
原画: ゴゴちゃん
剧本: 高岡果輪
本帖最后由 亞莎 于 2016-8-10 09:36 编辑
[j]YLXEW RI1PIL[/j]
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]2016.02.10  キャラクターページ「香月蓮」と「香月湊」に服装切り替えを追加しました[j]YLXEW RI1PHR[/j]

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[j]YLXEW RI1PIK[/j]2016.01.22  ギャラリーページを更新しました[j]YLXEW RI1PHQ[/j]

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[j]YLXEW RI1PHF[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PI7[/j]
[j]YLXEW RI1PII[/j]2015.01.18  スペシャルページを更新しました。骨正月SS期間限定公開
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            『はじまり、はじまり』
[j]YLXEW RI1PHS[/j]      
[j]YLXEW RI1PHQ[/j][j]YLXEW RI1PHV[/j]
                骨正月 Short Story
[j]YLXEW RI1PHR[/j]
[j]YLXEW RI1PI7[/j]お正月気分はとっくの昔に消え去って、新学期も始まって。コンビニやスーパーの売り場では太巻きとチョコレートが派手に売り出される1月下旬
[j]YLXEW RI1PHX[/j] そんな、とある日……1月20日。学校から帰ってきた私は、何故か晴れ着を着せられて花葵神社へと向かっていた[j]YLXEW RI1PIR[/j]

[j]YLXEW RI1PHL[/j]「やっぱり振り袖は華やかでいいね。最高に綺麗だよ、紗結」
[j]YLXEW RI1PI6[/j] 隣を歩くお兄ちゃんは私に向かってデバイスをかざし、さっきからシャッターを切り続けている
[j]YLXEW RI1PIO[/j] お兄ちゃんのこれはいつものこととはいえ、街中ではさすがにちょっと遠慮してもらいたい
[j]YLXEW RI1PHX[/j]「お兄ちゃん……その連写モード、いいかげんにやめようよ」[j]YLXEW RI1PID[/j]
「ん? ムービーの方がいい?」
[j]YLXEW RI1PH9[/j]「そういう意味じゃなくて。ほら、私の方じゃなくてちゃんと前向いて歩いて。ちっちゃい子もこっち見てるし、真似したらよくないでしょ」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]「あ、ホントだ。着物姿の紗結が美人だから、あんな小さな子まで見惚れてるんだねえ」
[j]YLXEW RI1PIS[/j]「だから、そうじゃなくて!」[j]YLXEW RI1PH9[/j]
「はい。ごめん。反省します」[j]YLXEW RI1PHR[/j]
 わざとらしく渋面を作ってたしなめると、ようやくお兄ちゃんはデバイスをしまってくれる[j]YLXEW RI1PIK[/j]
 ……あの小さな機械の中に、日々撮り続けられる私の写真がどれだけ入っているのかと考えると目眩がしそうだ
[j]YLXEW RI1PI7[/j](晴れ着でテンションが上がる気持ちは、私もわからなくないけど……)[j]YLXEW RI1PHF[/j]
 帯は苦しいし、裾が乱れるから大股で歩けないし、草履の鼻緒は痛いし
[j]YLXEW RI1PHU[/j] それでもやっぱり、こんなに綺麗な着物を着ていると心が浮き立つ
[j]YLXEW RI1PIO[/j] めでたいハレの日に着るから、晴れ着。特別な日の、特別な衣装[j]YLXEW RI1PIH[/j]
[j]YLXEW RI1PIB[/j]
「ねえ、こんな時期に着物なんて……今日って何かあるの?」
[j]YLXEW RI1PI4[/j]「今年は参拝客も倍増して、大変だったからさ。年越し、大正月、小正月と大忙しで頑張ってくれた神様に、お年玉をあげようと思ってね」
[j]YLXEW RI1PI1[/j]「お年玉……?」
[j]YLXEW RI1PHW[/j] 首を傾げると髪飾りも揺れて、大輪の花に付いた鈴がちりんと涼やかな音を立てる
[j]YLXEW RI1PI5[/j] 長い石段の前まで来ると、お兄ちゃんは笑顔で私へ手を差し伸べた
[j]YLXEW RI1PIC[/j]「さて、神の御許へ参りましょうか。お姫様」[j]YLXEW RI1PIN[/j]
[j]YLXEW RI1PIG[/j]

[j]YLXEW RI1PHH[/j]***
[j]YLXEW RI1PHP[/j]
[j]YLXEW RI1PIF[/j]
[j]YLXEW RI1PI3[/j] 石段を登り終えると、少し呼吸が上がる
[j]YLXEW RI1PHL[/j] すっかり温まった身体で深く息を吐くと、白く濃く煙った
[j]YLXEW RI1PI5[/j]
[j]YLXEW RI1PHG[/j]「あー! 紗結っ、すげー! うわうわうわ、晴れ着、メチャクチャ似合ってる! すっげーきれー!」[j]YLXEW RI1PHL[/j]

[j]YLXEW RI1PIM[/j] 私よりももっと白い吐息を弾ませて、花葵神社の神様――人工神が奥社から全速力で駆けてくる[j]YLXEW RI1PI8[/j]
「あけおめー!」
[j]YLXEW RI1PIA[/j]「あ……あけまして、おめでとう?」[j]YLXEW RI1PHY[/j]
 勢いにつられて返すものの、1月も20日になってこの挨拶はどうなんだろう[j]YLXEW RI1PHW[/j]
 それに、巫女のアルバイトをしている私は年越しも三が日もずっと花葵神社にいたし
[j]YLXEW RI1PHZ[/j] 新年から蓮と顔を合わせて、あけましておめでとうの言葉もちゃんと交わしていたと思うんだけど
[j]YLXEW RI1PIL[/j]
[j]YLXEW RI1PHA[/j]「湊っ、ホントに紗結の晴れ着姿見せてくれたんだなー。ありがと!」[j]YLXEW RI1PI1[/j]
「どういたしまして。締めくくりの二十日正月に、俺からのお年玉だよ」
[j]YLXEW RI1PH9[/j]「二十日正月? ……って、なに?」
[j]YLXEW RI1PHF[/j] 耳慣れない言葉に、私は再び首を傾げる
[j]YLXEW RI1PH9[/j] 年末から年明け……花葵神社は様々な行事が目白押しの大わらわで、15日の小正月が過ぎてやっと落ち着いたと思ってたのに
[j]YLXEW RI1PIT[/j](バイト巫女の私でも、1月前半は目が回るほどの忙しさだったもんね……)
[j]YLXEW RI1PHV[/j] 神職の斗真さんや、神様の蓮は休む間もなくもっともっと大変だっただろう[j]YLXEW RI1PIV[/j]
「今日、何か行事があるの? 着替えて手伝おうか?」
[j]YLXEW RI1PI6[/j]「あ、だいじょーぶ。今日は特になんもしないんだ」
[j]YLXEW RI1PI2[/j] 蓮はそう言って、にっこりと笑う
[j]YLXEW RI1PIF[/j]「二十日正月ってのは、正月の終わりとする節日なんだよ。今日が新年の祝い納めで、神様がみーんな元の場所に帰るって日」
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]「へぇ……そうなんだ!」
[j]YLXEW RI1PH9[/j]「うん。正月の間は、象徴として歳神さんの役目もしなきゃだったしなー。今日から、やっと通常業務」
[j]YLXEW RI1PIQ[/j] 暦に疎い私の感覚では三が日が過ぎたら大体お正月が終わりだし、なんとなく七草粥を食べる7日までが松の内っていうんだよねという薄ぼんやりとした知識がある程度だ[j]YLXEW RI1PI9[/j]
 二十日正月というものも知らなかったし、そういう区切りになるんだとも全然知らなかった
[j]YLXEW RI1PH9[/j]
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]「俺にとっては、元の座に戻る今日が一年の始まりの日って感覚なんだ。だから、あけましておめでとう」
[j]YLXEW RI1PHO[/j]「二十日正月が、人工神の蓮にはお正月だもんね。だから、世界で一番華やかなハレの気でお祝いしてあげようと思って」
[j]YLXEW RI1PHW[/j] ふたりの言葉を聞いて、私はようやく自分がこの恰好で花葵神社に連れてこられた理由を理解した
[j]YLXEW RI1PHJ[/j](でも……)
[j]YLXEW RI1PHO[/j] 正月を過ぎたこの時期は、参拝客がとても少ない。ましてや、晴れ着の人なんてひとりも来ない
[j]YLXEW RI1PHF[/j](初詣は、あんなに大勢の人で賑わってたのに)[j]YLXEW RI1PHD[/j]
 新たな歳神が人の世に降りてこられ、人は新年を寿ぎ、皆が晴れ着とハレの気を纏ってお祝いする[j]YLXEW RI1PID[/j]
 そんな……『人』のための晴れやかなお正月。一年で最大の祭事
[j]YLXEW RI1PHW[/j] それに対して、花葵神社の『神様』が迎える新たな日はこんなにもひっそりしている[j]YLXEW RI1PI8[/j]
[j]YLXEW RI1PHM[/j]
「私だけって……淋しくない? せっかく蓮のお正月なのに」[j]YLXEW RI1PI4[/j]
「なんで? 今ここに紗結がいてくれるから、ぱあっと明るい花が咲いたみたいじゃん」
[j]YLXEW RI1PHY[/j] 私の小さな愁いを吹き飛ばすように、蓮は心から楽しそうな笑い声を上げる[j]YLXEW RI1PHR[/j]
「ぴかぴか光ってて、あったかい気がいっぱい広がって、すげー嬉しい! ありがとな、紗結! ……あっ、湊も!」[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
「ついでみたいに付け足してくれて、どうも」[j]YLXEW RI1PHR[/j]
「えへへー」
[j]YLXEW RI1PHI[/j] 照れ臭そうに頭を掻いてから、蓮は私の目の前に勢いよく両手を広げる
[j]YLXEW RI1PIR[/j] そして、ぴんと伸ばした十指を示してみせた
[j]YLXEW RI1PHJ[/j]
[j]YLXEW RI1PIS[/j]「はいっ、紗結! 引いて!」[j]YLXEW RI1PHM[/j]
「引くって……なに?」
[j]YLXEW RI1PHA[/j]「新年だから、おみくじ。運気上昇! 御利益バッチリ!」
[j]YLXEW RI1PI3[/j] 早く早くと急かされ、私はちょっと混乱しながらもうなずく
[j]YLXEW RI1PHR[/j] つまりは、この十本の指のどれかを引けということなんだろう。突拍子もない蓮の行動にも、少しずつ慣れてきた気がする
[j]YLXEW RI1PI3[/j](おみくじかあ……どれにしようかな)
[j]YLXEW RI1PHF[/j] 右手、左手。親指、人差し指、中指、薬指、小指[j]YLXEW RI1PHC[/j]
 十の選択肢が揺れていて、どの指に触れようか迷ってしまう
[j]YLXEW RI1PIH[/j](あ……蓮の手、すごくきれい……)
[j]YLXEW RI1PHS[/j] 今までこうやって近くでまじまじと見る機会なんてなかったから、あまりの美しさにびっくりしてしまう
[j]YLXEW RI1PHW[/j](こういうのを、神々しいっていうのかな)[j]YLXEW RI1PHU[/j]
 女(xing)のたおやかな手に対して白魚のようなという形容詞があるけれど、それだけでなく蓮の手は男(xing)の力強さもあって……不思議な色香に満ちている
[j]YLXEW RI1PIN[/j] すらりと伸びた指や色素の薄い白い肌も、桜の花弁のように淡く微かに色づく爪も、何もかもが綺麗だと思った
[j]YLXEW RI1PH9[/j]
[j]YLXEW RI1PIE[/j]「紗結ー、まだー?」
[j]YLXEW RI1PI9[/j]「えっ、あ、うん!」
[j]YLXEW RI1PI6[/j] お預けをされた子どものような表情で、蓮が私を見つめている
[j]YLXEW RI1PIA[/j](ど、どうしよう……)
[j]YLXEW RI1PHX[/j] 遊びみたいなものなんだろうし、適当にどれか引いてしまえばいいんだろうけど……一度目を奪われてしまうとどの指にも惹かれて選べなくて[j]YLXEW RI1PI9[/j]
 欲張りにも程があるけど、この両手を――全部欲しいって思ってしまった[j]YLXEW RI1PH9[/j]
「えいっ」[j]YLXEW RI1PIU[/j]
「……ッ? ささささ、さゆっ?」
[j]YLXEW RI1PH8[/j] 裏返った声で私の名前を呼び、蓮は大きな瞳を幾度も瞬かせている[j]YLXEW RI1PHN[/j]
「大吉も大凶も。おみくじ、全部くださいな」[j]YLXEW RI1PIT[/j]
「ななな、なっ……なに、それ……反則じゃね? ずるくね?」
[j]YLXEW RI1PIC[/j]「だって、どれか一本って言わなかったもん」[j]YLXEW RI1PIP[/j]
 私は両の掌で蓮の両手を掴み、ぎゅっと力をこめる
[j]YLXEW RI1PHL[/j]「い、いやいやいや、紗結……あのな……おみくじってのは、そーゆーのじゃなくて」[j]YLXEW RI1PI3[/j]
「あ、蓮の手冷たい。薄着だし冷えるよね……神様って、手袋とかしちゃだめなのかな」
[j]YLXEW RI1PIP[/j]「――――?」
[j]YLXEW RI1PIC[/j] 握った手を口元まで持ち上げ、体温の低い指先にはぁっと息を吹きかける
[j]YLXEW RI1PHY[/j] 何度か繰り返すと、ふたりで繋いでいる手がじんわりと同じくらいの温もりになってきた
[j]YLXEW RI1PHA[/j]「……あ、手あったかくなってきたね。よかった」
[j]YLXEW RI1PHW[/j]「…………う、うん。あったかい。あったまった」[j]YLXEW RI1PIL[/j]
「じゃあ、今度は私から蓮に。はい、お正月のおみくじ引いて!」
[j]YLXEW RI1PHF[/j] するりと手を解き、私は蓮の目の前で両掌を開く
[j]YLXEW RI1PIH[/j] 当然、蓮が選んだのは――
[j]YLXEW RI1PHB[/j]「紗結のおみくじ、全部くださいな」[j]YLXEW RI1PHW[/j]
「はい、どうぞ」[j]YLXEW RI1PHG[/j]
 神様の綺麗な両手が、私の手をしっかりと包み込む
[j]YLXEW RI1PIL[/j] もう彼の手はとても温かくて、熱いほどだ
[j]YLXEW RI1PHF[/j]
[j]YLXEW RI1PID[/j]「へへっ、俺、おみくじって引くの初めてだ」
[j]YLXEW RI1PIE[/j]「あ、そっか。神様は自分ちのおみくじ引かないもんね」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]「うん。なんか、今年一年花マルの大大吉もらった気分」
[j]YLXEW RI1PIO[/j]「私も蓮も、全部引いちゃったんだから大凶も入ってるかもよ?」
[j]YLXEW RI1PIT[/j]「いーよ、紗結と一緒ならなんでも楽しい! ぜったい、ぜーったい楽しい!」
[j]YLXEW RI1PIR[/j] 溢れて零れ出すほどにハレの気を纏わせた神様は、頬を染めて輝くように笑う
[j]YLXEW RI1PI0[/j]
[j]YLXEW RI1PI1[/j]「今年もよろしくなっ、紗結!」
[j]YLXEW RI1PI0[/j]「こちらこそ、よろしくね。蓮」[j]YLXEW RI1PI0[/j]

[j]YLXEW RI1PIA[/j] 晴れの日、雨の日。ハレノヒ、ケノヒ
[j]YLXEW RI1PH8[/j] これから過ごす新たな一年の間には、たくさんのことがあるんだろうけど……大吉も、大凶も、すべて受け止めたい
[j]YLXEW RI1PIS[/j] この陽気な神様と過ごす日々は、毎日が驚きと楽しみに満ちているのだから
[j]YLXEW RI1PHH[/j]
[j]YLXEW RI1PII[/j][j]YLXEW RI1PIS[/j]
                END
[j]YLXEW RI1PIS[/j]

[j]YLXEW RI1PI0[/j]2015.12.25  スペシャルページを更新しました。クリスマスSS期間限定公開[j]YLXEW RI1PIR[/j]
[j]YLXEW RI1PH9[/j]

[j]YLXEW RI1PHJ[/j]
            『Merry Christmas!』
[j]YLXEW RI1PIS[/j]
[j]YLXEW RI1PHA[/j]
                               
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[j]YLXEW RI1PI8[/j]                Christmas Short Story[j]YLXEW RI1PHN[/j]
「メリークリスマス!」
[j]YLXEW RI1PIS[/j]         ぴかぴかに飾り付けたツリーを囲み、それぞれちょっと浮かれた恰好をした私たちはそのお祭りではしゃいで楽しむ
[j]YLXEW RI1PHL[/j]        [j]YLXEW RI1PID[/j]
        「なーんか、神社でクリスマスパーティーってのも変な感じだな。イエスキリストの誕生日だろ? よその神様のお祝いなんてここでやっていいのか?」[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
        「うーん……でも、ハロウィンもそうだったけど、すっかり日本のお祭りになっちゃってる気もするよ」[j]YLXEW RI1PII[/j]
        「ま、そっか。第一、ここの神様がいちばん浮かれてクリスマス楽しんでるしな」[j]YLXEW RI1PIS[/j]
       
[j]YLXEW RI1PHL[/j]         三角帽を頭に載せた瑛太の視線の先には、カラオケマイクを握ってクリスマスソングを熱唱する神様――花葵神社の人工神、香月蓮の姿があった
[j]YLXEW RI1PHP[/j]        「じんぐるべー、じんぐるべー、すっずがーなるーいぇーい」[j]YLXEW RI1PIK[/j]
        「……ねえ、瑛太……あのノリノリのワンマンステージ、何曲目だっけ」[j]YLXEW RI1PHL[/j]
        「ま、あいつ歌は下手じゃないし。BGM代わりにしとけばいいんじゃね?」
[j]YLXEW RI1PIN[/j]         蓮の奇行……もとい、行動にもすっかり慣れた瑛太は、神様オンステージも気にせず次々と料理のお皿を空にしていく
[j]YLXEW RI1PI4[/j]         その食べっぷりは見てて気持ちいいほどで、用意しすぎちゃったかなって心配になっていたクリスマスのごちそうもこれなら大丈夫そうだ
[j]YLXEW RI1PHH[/j]       
[j]YLXEW RI1PID[/j]        (男の子、なんだなあ)
[j]YLXEW RI1PHL[/j]       
[j]YLXEW RI1PIK[/j]         当たり前のことなんだけど、普段は近すぎて見えなくなっているものに気づく[j]YLXEW RI1PHW[/j]
         私よりもずっと高い背。大きな掌。剣道で鍛えた、しっかりした身体
[j]YLXEW RI1PIN[/j]         いちばん親しみやすくて、いちばん近くにいてくれる、大切な私の幼なじみは……私とは違う、男の(xing)を持つひとなんだって[j]YLXEW RI1PI0[/j]
         私はいつも、こんな些細なときに改めて実感していた
[j]YLXEW RI1PI5[/j]       
[j]YLXEW RI1PHF[/j]        「……なに、じっと見てんの。食いにくいんだけど」
[j]YLXEW RI1PI6[/j]        「あっ、ごめん! 瑛太、このクッキーも食べる? お料理はお兄ちゃんや斗真さんがほとんど手伝ってくれたんだけど、これは私がひとりで焼いたんだよ」
[j]YLXEW RI1PHD[/j]        「ん、食う」[j]YLXEW RI1PI3[/j]
         私がジンジャーマンブレッドのお皿を持ち上げると、背後からのんびりした声が掛けられた[j]YLXEW RI1PIH[/j]
        [j]YLXEW RI1PIB[/j]
        「あ、しょうがパン坊やだ。僕にもひとついただけるかな」
[j]YLXEW RI1PI4[/j]        「速水先生! どうぞ」
[j]YLXEW RI1PHM[/j]         サンタ帽を被らされた速水先生が、ひょいっとお皿に手を伸ばしてくる[j]YLXEW RI1PI9[/j]
         速水先生をはじめ、斗真さんとお兄ちゃん……大人チームはお料理よりお酒が進んでいて、クリスマスパーティーというより忘年会のようだったけど、酒盛りもようやく一段落したみたいだ[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
        「先生、あんなに飲んでたのにケロッとしてますね」
[j]YLXEW RI1PIM[/j]        「んー? だって、僕強いし。それに、出されたのが御神酒だしね。僕にとっては水みたいなものさ」
[j]YLXEW RI1PI0[/j]        「はぁ……そうなんですか」
[j]YLXEW RI1PH8[/j]         花葵神社に奉納されたお酒は祭事のときに氏子さん方に振る舞うけれど、消費しきれないほどの量だという[j]YLXEW RI1PIL[/j]
         信心のかたちとしてそれはとてもありがたいことだけど、余らせてしまうわけにはいかない
[j]YLXEW RI1PHL[/j]        (そう言って、斗真さんは昨年の残りだという御神酒をこのパーティーに出してくれたんだけど……)
[j]YLXEW RI1PHV[/j]         転がる一升瓶の数々と、すっかり酔いつぶれた沈んだ残りの大人ふたりをちらっと見て、私は深々とため息を吐く
[j]YLXEW RI1PIV[/j]        「何度も言ってますけど、お兄ちゃん潰さないでくださいよ」
[j]YLXEW RI1PHM[/j]        「あはは。湊さんも、普段はここまで弱くないんだけどねぇ」
[j]YLXEW RI1PI9[/j]         ちっとも悪びれない様子で、速水先生は軽く笑う[j]YLXEW RI1PI9[/j]
         お兄ちゃんと速水先生はたまに一緒に飲みに行ったりする仲で、いいお友達なのは嬉しいけど……大抵、お兄ちゃんが酔っ払わされて帰ってくるから困る
[j]YLXEW RI1PIC[/j]        「湊さんも斗真さんも年末年始は特に大忙しだから、疲れてるのもあるんでしょ。こうでもしないと寝ないで働きづめだから、強制睡眠タイムってことで」
[j]YLXEW RI1PI0[/j]        「はぁ……」
[j]YLXEW RI1PI1[/j]         もう一度ため息交じりで返事をすると、速水先生は面白そうに私の恰好を上から下まで眺めた
[j]YLXEW RI1PHB[/j]        「それよりさ、香月さんはどうしてトナカイなの。こういう席ではミニスカサンタがお約束でしょ」
[j]YLXEW RI1PHA[/j]        「あ、それ。湊さん、紗結のサンタ服も作ったらしいけど、地球が滅ぶからやめたって」[j]YLXEW RI1PHL[/j]
        「は? なにそれ」[j]YLXEW RI1PHZ[/j]
         頬張っていたクッキーを飲み込み、瑛太はお兄ちゃんの口まねをする
[j]YLXEW RI1PH8[/j]        「『俺はなんと罪深いものを作り出してしまったんだ……! こんなに可愛い紗結を人前に出してしまったら、可愛すぎて皆が死ぬ……人類が滅ぶ、いや、地球が滅ぶ!』――だそうです」
[j]YLXEW RI1PH8[/j]        「はあ……それ、あの人シラフでやるからすごいよね」
[j]YLXEW RI1PIC[/j]        「いつものことですし。俺らはもう慣れたけどな」
[j]YLXEW RI1PHL[/j]        「うん、慣れました」
[j]YLXEW RI1PHO[/j]        「…………若者の順応力には驚くよ」[j]YLXEW RI1PIP[/j]
         私と瑛太がそう答えると、速水先生が降参とばかりに肩をすくめる
[j]YLXEW RI1PHB[/j]         そして、さくりと音を立ててジンジャーマンの頭をかじった
[j]YLXEW RI1PIR[/j]        「ん……おいし。スパイスが効いてていいね」
[j]YLXEW RI1PHC[/j]        「風邪の予防にもなるから、たくさん食べてくださいね。瑛太も、寒稽古で毎日大変なんだからもっと食べて!」[j]YLXEW RI1PI4[/j]
        「おう」[j]YLXEW RI1PHU[/j]
         もりもりと瑛太の口の中に消えていくジンジャーマンブレッドを見て、速水先生は歌うように呟いた
[j]YLXEW RI1PI4[/j]       
[j]YLXEW RI1PI6[/j]        「Stop! Stop! I would like to eat you.
[j]YLXEW RI1PIB[/j]        Run, run as fast as you can! You can't catch me, I'm the gingerbread man!」[j]YLXEW RI1PHY[/j]
        [j]YLXEW RI1PHA[/j]
        「……? それって、クリスマスソングですか?」
[j]YLXEW RI1PIG[/j]        「いや、絵本の中の一節だよ。知らない? しょうがパン坊や」
[j]YLXEW RI1PIS[/j]        「あ、俺ちょっと覚えてるかも。オーブンから逃げ出したクッキーが、最後はキツネに食べられちゃうやつですよね」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]         瑛太の言葉に、速水先生はそうそうと頷く
[j]YLXEW RI1PID[/j]       
[j]YLXEW RI1PHB[/j]        「『止まれ、止まれ! お前を食ってやるぞ
[j]YLXEW RI1PI1[/j]        走れ、走れ! ぼくを捕まえるなんてできるわけがないさ。ぼくはジンジャーブレッドマン!』――   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   を求めていろんなものから逃げ出したしょうがパン坊やは、助けてあげると言ったキツネにだまされて食べられちゃった」
[j]YLXEW RI1PIB[/j]         にっこりと微笑んだ速水先生は、手に持っていた残りのクッキーを口に入れてしまう
[j]YLXEW RI1PIM[/j]        「おいしいものはみんなから狙われて、逃げても逃げても、食べられちゃう……ってね」
[j]YLXEW RI1PIV[/j]        「へえ……」
[j]YLXEW RI1PIU[/j]         さすがは現国の先生だけあって、いろんな本を知ってるんだなあと感心する[j]YLXEW RI1PIE[/j]
         そんな私の顔をのぞき込んで、速水先生は眼鏡の奥の瞳をすうっと細めた
[j]YLXEW RI1PHP[/j]       
[j]YLXEW RI1PIA[/j]        「ジンジャーマンくんは、逃げられない。こうして食べられる運命さ」
[j]YLXEW RI1PHA[/j]         そう言って、お皿からクッキーを2つ取った速水先生はきびすを返す
[j]YLXEW RI1PHH[/j]        「風邪予防に、寝ちゃってるあっちのふたりにも食べさせてくるね」
[j]YLXEW RI1PH7[/j]        「え……あ、はい……」
[j]YLXEW RI1PHL[/j]       
[j]YLXEW RI1PHW[/j]        (ただの、絵本の話だよね……?)
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]       
[j]YLXEW RI1PHH[/j]         他愛のない雑談でも、先生の話はいつも、何だかちくりと引っ掛かるような感じがして胸騒ぎがする
[j]YLXEW RI1PI3[/j]         速水先生はすごく……不思議な人だ[j]YLXEW RI1PIC[/j]
       
[j]YLXEW RI1PIE[/j]        [j]YLXEW RI1PHI[/j]
        「あー! なに食ってんの? なにそれ、おいしい? どんな味?」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]        「ぐっ……! げほっ、てめぇ……蓮!」
[j]YLXEW RI1PIR[/j]         食べているところに後ろから勢いよく飛びつかれ、クッキーを喉に詰めた瑛太が激しくむせる
[j]YLXEW RI1PIN[/j]         やっとカラオケに飽きたのか、蓮は瑛太が食べているものに興味を示したようだ
[j]YLXEW RI1PIK[/j]        「だって瑛太、他の料理に比べてすげー勢いで食ってんだもん。それ、そんなにおいしーのかなーって」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]        「……うまいよ。すげぇ、うまい」[j]YLXEW RI1PIA[/j]
        「へえぇぇぇ……いーなー!」
[j]YLXEW RI1PHG[/j]         心底うらやましそうに身もだえする蓮を見ていると、なんだか申し訳ない気分になってくる
[j]YLXEW RI1PHL[/j]        「蓮……ごめんね」[j]YLXEW RI1PHX[/j]
        「ん? なんで?」
[j]YLXEW RI1PHR[/j]        「だって……私たちだけパーティーのごちそう食べてるの見てるの、嫌でしょ?」[j]YLXEW RI1PHV[/j]
         蓮は花葵神社の人工神――神様だから、『ものを食べる』ことは日々の儀式のひとつになっていて厳しい制約がある
[j]YLXEW RI1PI5[/j]         人工神というものは空腹は感じなくて、生体維持のためだけに最低限の食事をするらしいけど……こんな無邪気な姿を見ると、やっぱりちょっと胸が痛んだ
[j]YLXEW RI1PIP[/j]       
[j]YLXEW RI1PHC[/j]        「あのなー、紗結。違うぞ?」
[j]YLXEW RI1PHH[/j]        「え?」[j]YLXEW RI1PIJ[/j]
        「俺は直接食えなくても、今すげーおなかいっぱいなんだから!」
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]         そう言って、蓮は満面の笑みを浮かべて胸を張る
[j]YLXEW RI1PI3[/j]        「おいしいものがいーっぱいあって、それをおいしいって気持ちでみんなが喜んで食べてるのを見て。誰も腹を空かせてなくて、凍えてもなくて……幸せで、みんな楽しそうに笑ってて。そーゆーので、神様の俺は満腹になるんだ」[j]YLXEW RI1PHO[/j]
         胸に手を置き、蓮は静かに瞳を閉じる[j]YLXEW RI1PHQ[/j]
        「みんなが――お前が笑ってると……あったかいもので、いっぱいになる」[j]YLXEW RI1PH8[/j]
        「蓮……」
[j]YLXEW RI1PIO[/j]         ゆっくりと開いた瞳は、紅を刷いた綺麗な色で……この世のどんな宝石よりも輝いて見える
[j]YLXEW RI1PHT[/j]        [j]YLXEW RI1PHC[/j]
        「クリスマスっていいな! でっかい祭りだから人間みんなみんな幸せな気持ちで祈ったり浮かれたりしてて、俺、すっげー楽しい! すっげー嬉しい! すげーすげー幸せ!」
[j]YLXEW RI1PI4[/j]        「って、お前……よその神様の誕生日だろ?」[j]YLXEW RI1PHW[/j]
        「いーじゃん、誕生日。たくさんの人が信じてるでっかい神様の誕生日なんだから、みんなで祝えばいーんだって」[j]YLXEW RI1PHK[/j]
        「神様ってのも、案外ユルいな」
[j]YLXEW RI1PH8[/j]        「おー、ユルユルでいーんだよ。神様は、みーんな祭り好きなんだぞ。便乗どんとこい! ハレの日めでたい!」[j]YLXEW RI1PHL[/j]
         呆れ顔の瑛太に向かって、蓮はびしっと人差し指を立てる[j]YLXEW RI1PH7[/j]
        「それに元々クリスマスってのは五穀豊穣や無病息災を願う祭りで、後からでっかい神様の誕生日と結びついたっていうんだから。何でもアリアリだって」
[j]YLXEW RI1PHE[/j]        「へぇ……そんな祭りなら、神社で浮かれてバカ騒ぎしててもバチ当たりじゃないか」
[j]YLXEW RI1PHC[/j]        「そゆこと! つか、神様の俺がここでクリスマスパーティーやろうって言ったんだからバチもなんもない! 細かいことは言いっこなし! 思いっ切り楽しめー」
[j]YLXEW RI1PHG[/j]         はっはっはと高笑いする蓮を見て、少し離れた場所にいる速水先生が楽しそうに吹き出してて……私も、なんだかつられて笑ってしまった[j]YLXEW RI1PHH[/j]
       
[j]YLXEW RI1PI6[/j]        (うん、本当にクリスマスっていいな)[j]YLXEW RI1PHG[/j]
       
[j]YLXEW RI1PIK[/j]         みんなが一緒に幸せな気分で笑えるのなら、どの神様のお祝いだっていいじゃない
[j]YLXEW RI1PHE[/j]         おめでとう、ありがとう。難しいことなんか考えず、ハレの気持ちでいっぱいにしちゃえばいい
[j]YLXEW RI1PIO[/j]        [j]YLXEW RI1PIE[/j]
        「なーなー紗結、そのクッキー、俺にもちょーだい! 俺も食いたい! 斗真に頼んで、明日の日供にしてもらうから」
[j]YLXEW RI1PHO[/j]        「うん。じゃあ、いっぱい袋に詰めておくね」[j]YLXEW RI1PHL[/j]
        「やった! メリークリスマスー!」
[j]YLXEW RI1PHS[/j]       
[j]YLXEW RI1PHB[/j]         メリー、メリー、クリスマス。ハッピークリスマス
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]         みんなみんな、八百万の陽気な神様と一緒に愉快で楽しいクリスマスを
[j]YLXEW RI1PHN[/j]        [j]YLXEW RI1PHB[/j]
        ――I wish you a merry Christmas!
[j]YLXEW RI1PH9[/j]                        END
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[j]YLXEW RI1PI6[/j]
[j]YLXEW RI1PHA[/j]2015.12.18 キャラクターページを更新しました[j]YLXEW RI1PI3[/j]

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[j]YLXEW RI1PII[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PHD[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PI9[/j]2015.12.11 キャラクターページを更新しました。トガタ先生描き下ろしSDキャライラストを追加
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2015.12.04 ギャラリーページ更新
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[j]YLXEW RI1PH9[/j]2015.11.26 スペシャルに斗真バースデーSSを追加
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[j]YLXEW RI1PHK[/j]
『Happy Birthday 斗真』[j]YLXEW RI1PHV[/j]

[j]YLXEW RI1PH7[/j]                Birthday Short Story
[j]YLXEW RI1PHG[/j]               「え? 今夜、夕食を一緒にですか?」
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                「ああ。突然だが、蓮がどうしても君を誘えと喧しくてな。都合はどうだろう?」
[j]YLXEW RI1PHJ[/j]                 花葵神社でのアルバイト中、神職である斗真さんが私を誘ってくる
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                (夕食って、いいのかな……)[j]YLXEW RI1PHF[/j]
                 私はよく理解していないけど、神域の最も尊い場所で神と神饌を共にするってことは、世間一般的にはとんでもないことなんだってのは何となくわかる
[j]YLXEW RI1PHF[/j]                 以前お社の奥――蓮が神様の仕事をしている所――で斗真さん手作りのおやつをごちそうになったことはあるけど、元人間とはいえ人工神の蓮は『ものを食べる』ことに細かな定めがあって、この花葵神社の決まった場所でしか食事をすることができない
[j]YLXEW RI1PIM[/j]                 当然、同席できる人も神職もしくはそれに近しい人に限られているらしいんだけど……前の時は斗真さんが一緒だからいいと言われて、三人ですごく美味しい焼きプリンを食べた
[j]YLXEW RI1PH9[/j]               
[j]YLXEW RI1PIG[/j]                「私は、お兄ちゃんの許可さえもらえれば大丈夫ですけど……またお邪魔してしまってもいいんですか?」
[j]YLXEW RI1PHI[/j]                「……なんだ、そのことを気にしてたのか。君は『特別』だから、構わないよ」
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                「特別、ですか?」
[j]YLXEW RI1PI5[/j]                 私がそう問うと、斗真さんはくすっと笑う
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                「その巫   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   束。君だって、立派な花葵神社の一員だ。もう身内のようなものだと思えばいい」
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                「はあ」[j]YLXEW RI1PHH[/j]
                 知識も経験もないバイト巫女がいいのかなって思うけど、この神社で神様の蓮の次に……ううん、実質的には一番えらい人がそう言うんだから問題ないのだろう
[j]YLXEW RI1PHL[/j]                [j]YLXEW RI1PI8[/j]
                「それに、私はいいと言ったのだが、今夜は特別だと蓮が聞かなくて……」
[j]YLXEW RI1PHT[/j]                「今夜って、何かあるんですか?」[j]YLXEW RI1PHC[/j]
                 特別、と。もう一度同じ言葉が出てきて、首を捻る
[j]YLXEW RI1PI4[/j]                 何か行事でもあったっけと考えると、斗真さんが少し気まずそうに咳払いをした
[j]YLXEW RI1PHN[/j]                「いや……実は、私の誕生日でね。毎年何もしなかったし、今年もそのつもりだったんだが」
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                「えっ?」
[j]YLXEW RI1PI0[/j]                 とんでもないことをさらっと言われ、絶句する
[j]YLXEW RI1PIS[/j]                 誕生日? 今日? 斗真さんの
[j]YLXEW RI1PHV[/j]                「…………」[j]YLXEW RI1PI5[/j]
                「紗結?」
[j]YLXEW RI1PIG[/j]                「すみません、お誕生日パーティーだなんて知らなくて! ああっ、プレゼントも、何も用意してない……!」[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
                 おろおろする私を見て、斗真さんは口元に手を当てて小さく笑い出す[j]YLXEW RI1PIB[/j]
                「ただの夕食だから、気にしないでくれ。むしろ、この年齢でパーティーだのプレゼントだのと気を使われる方が照れ臭くて居心地が悪い」
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                「でも、お誕生日なのに」[j]YLXEW RI1PHF[/j]
                「だから、君が来てくれればいい。プレゼントと言うのなら、それで充分だ」
[j]YLXEW RI1PI9[/j]                「え、でも……」
[j]YLXEW RI1PHI[/j]                「――本当に、それで充分なんだ」
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]                 斗真さんが肩を竦めると、束ねた長い髪がさらりと揺れる[j]YLXEW RI1PI1[/j]
                「私は幼い頃から、蓮の神職として役目を果たしてきた。立場上、特殊な祭事以外では蓮と食事を共にすることはなかったし……家族とも立ち位置が違ったから、普通の食卓を囲むことはなかった」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]                 落ち着いた斗真さんの声はとても静かなのに、朗々と祝詞をあげているときのように私の心に響いてくる
[j]YLXEW RI1PI6[/j]                「蓮と、君と、私と。三人で食事ができるなんて、それだけでも今日は特別な夜ということだ」
[j]YLXEW RI1PH8[/j]                「斗真さん……」
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                「蓮の我が儘ではあるが、私のそれも多分に含まれているからな。湊には私から連絡しておこう」
[j]YLXEW RI1PHY[/j]                「はい。お願いします」
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                 私がぺこりと頭を下げると、斗真さんはほっとしたように表情を崩す[j]YLXEW RI1PHQ[/j]
                 嬉しいって思ってくれてるのかなと思うと、私もすごく嬉しくなった
[j]YLXEW RI1PHP[/j]               
[j]YLXEW RI1PHI[/j]               
[j]YLXEW RI1PHE[/j]                * * *[j]YLXEW RI1PI1[/j]
               
[j]YLXEW RI1PH9[/j]               
[j]YLXEW RI1PH7[/j]                そして、夜――
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                お誕生日だというのに本人の手料理でもてなされてしまって、恐縮する気持ちはあったけど……斗真さんと蓮と、三人で囲む食卓はすごく楽しかった[j]YLXEW RI1PHS[/j]
                 本当は、お兄ちゃんや瑛太や速水先生も呼んで盛大なパーティーでも開きたいところだけど……
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                (今夜も焼きプリンを食べたあのときも、私への祓いとか手順がいろいろあって斗真さん大変そうだったもんね)
[j]YLXEW RI1PHI[/j]                 来年の11月26日こそは何か用意したいなあなんて考えながらも、私はキッチンからひっきりなしに聞こえてくる恐ろしい音に意識を奪われっぱなしだった
[j]YLXEW RI1PH7[/j]                [j]YLXEW RI1PHO[/j]
                「あ、あの……斗真さん。私、手伝いに行った方がいいんじゃないでしょうか」[j]YLXEW RI1PHB[/j]
                「蓮が、ひとりでやると言ってきかないんだ。惨状がまざまざと目に浮かぶ状況が落ち着かないのはわかるが、見守ってやってくれ」[j]YLXEW RI1PHW[/j]
                「は……はい」
[j]YLXEW RI1PI0[/j]               
[j]YLXEW RI1PIE[/j]                「ぎゃー! あつっ! ……うぉぁっ、なんだこれ?」[j]YLXEW RI1PHN[/j]
               
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                 食器の割れる音、何かをひっくり返す音、つまづいて転ぶ音。炎が上がる音に、何かが焦げる音に、果ては爆発音……そして何よりも不安になる、度重なる蓮の珍妙な悲鳴
[j]YLXEW RI1PIN[/j]                 今の斗真さんの自宅は、とんでもなくデストロイな物音に包まれていた[j]YLXEW RI1PHL[/j]
                [j]YLXEW RI1PIJ[/j]
                (ど、どうしてホットケーキを焼くだけでこんなに爆発するの……これが神様パワー?)
[j]YLXEW RI1PHF[/j]                 お社で三人の夕食を終え、ささやかなお誕生会がほのぼのと締めくくられると思っていたら……蓮がどうしても『俺が誕生日ケーキを焼くんだ!』と言い張って、私たちは本宅である斗真さんの家に移動してきたんだけど[j]YLXEW RI1PIT[/j]
                 ……ケーキといってもホットケーキだから蓮でも大丈夫だろうなんて油断せず、やっぱり止めるかムリヤリにでも手伝うべきだったと後悔先に立たずだ[j]YLXEW RI1PHR[/j]
                [j]YLXEW RI1PH7[/j]
                「胃薬は用意した。焦げや生焼けの場合は、私が後で何とか加工しよう。腹を壊すようなことはさせない」[j]YLXEW RI1PH8[/j]
                「はい」
[j]YLXEW RI1PII[/j]                 真剣に言われ、私も神妙に頷く
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                「炭酸カルシウムやマグネシウム。卵殻カルシウムは吸収力に優れており、骨粗しょう症の防止にも効果的だ。……身体には非常に良いものだから、そこは我慢してくれ」[j]YLXEW RI1PHY[/j]
                「玉子の殻が入ってることは、確定なんですね……」[j]YLXEW RI1PHW[/j]
                 はあっとため息をついてしまうけど、そこは私も覚悟を決めるしかない[j]YLXEW RI1PIT[/j]
                 毒ではないんだし、斗真さんの言う通り身体にはいいんだから……頑張ろう
[j]YLXEW RI1PHW[/j]               
[j]YLXEW RI1PIJ[/j]                (出来はともかくとして、蓮がすごく嬉しそうだもん)
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                 あんなにワクワクした顔で斗真さんのお誕生日を祝おうとしてる蓮を見てると、玉子の殻くらいどうってことない……と、思おう
[j]YLXEW RI1PIC[/j]               
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]                「……? 斗真さん、それ何ですか?」
[j]YLXEW RI1PHE[/j]                 キッチンから仄かに甘い香りとそれ以上に危険な匂いが漂い始めると、斗真さんがごそごそと袋を並べていく[j]YLXEW RI1PHJ[/j]
                「重曹、クエン酸、セスキ炭酸ソーダ。掃除の神様だ」[j]YLXEW RI1PH7[/j]
                「……えっと……後片付けと掃除は、お手伝いさせてください」
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]                「いや、客人にそんなことはさせられない」[j]YLXEW RI1PI5[/j]
                「いいんです。私、お掃除は嫌いじゃないですし、お誕生日プレゼントってことで!」
[j]YLXEW RI1PHR[/j]                 腕まくりをして言うと、斗真さんは照れたように苦笑した
[j]YLXEW RI1PIH[/j]                「ふふ……小さい子どもがいる家だと、こんな感じなのかもしれないな」[j]YLXEW RI1PHH[/j]
                「……え」
[j]YLXEW RI1PH8[/j]                「子どもが親の誕生日に不器用ながらケーキを焼いたり料理をして、めちゃくちゃになったキッチンの後片付けは夫婦の役目だ」[j]YLXEW RI1PHU[/j]
                「――――っ?」
[j]YLXEW RI1PHW[/j]                 もしこれがからかうような口ぶりなら笑い飛ばせるのに、斗真さんは……すごく幸せそうに笑うから、私は何も言えなくなる
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                 どきどきと鼓動が高鳴り出したそのとき……賑やかな足音がキッチンから駆け込んできた
[j]YLXEW RI1PIV[/j]               
[j]YLXEW RI1PHE[/j]                「紗結っ、さゆさゆさゆ! 見て見て! すげーだろ? ケーキっ」
[j]YLXEW RI1PHB[/j]                「れ、蓮っ?」[j]YLXEW RI1PHG[/j]
                 じゃーん、と自慢げに掲げるお皿の上には、高々と積み重ねたホットケーキとクリームのデコレーション
[j]YLXEW RI1PI8[/j]                 ……勢い余って蓮本人にもデコレーションされてるけど、そこは目を瞑ろう
[j]YLXEW RI1PIT[/j]                「あ……意外とマトモかも……」[j]YLXEW RI1PHA[/j]
                「ふっふーん、どーだ! この香月蓮様の手に掛かれば、豪華絢爛スペシャルサプライズ誕生日ケーキくらい軽いって」
[j]YLXEW RI1PIG[/j]                「あ、うん」
[j]YLXEW RI1PIK[/j]                 ホットケーキだけどね、というツッコミはめでたい席だからこの際飲み込んでおく
[j]YLXEW RI1PI0[/j]               
[j]YLXEW RI1PH9[/j]                「斗真! 誕生日おめでと! これは、俺からの感謝の気持ちだぞ」[j]YLXEW RI1PHB[/j]
                「ああ。ありがとう、蓮」[j]YLXEW RI1PI5[/j]
                 本当に小さな子どもを慈しむように、斗真さんは穏やかに微笑んで蓮の頭を撫でる
[j]YLXEW RI1PHN[/j]                「ありがとう……嬉しいよ」[j]YLXEW RI1PI2[/j]
                「そーかそーか。はっはっはー! もっと敬ってくれてもいーんだぞ。さあ、褒めろ褒めろー! 遠慮なくどんとこい斗真!」
[j]YLXEW RI1PIB[/j]                「調子に乗るな。私の誕生日に便乗して、紗結に自分の焼いたケーキを食べさせたかったくせに」
[j]YLXEW RI1PH9[/j]                「うっ……そ、それは……」
[j]YLXEW RI1PIU[/j]                「私が作った焼きプリンを紗結が美味しそうに食べてるのを見て、嫉妬したんだろう? ちょうど私の誕生日があって、特別な口実ができてよかったな?」
[j]YLXEW RI1PHK[/j]                「う、うぅっ」
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]                 鼻高々だった蓮は斗真さんにあっさり言い負かされちゃうけど、そんなやり取りからもふたりの仲の良さが伝わってくるようだった
[j]YLXEW RI1PI7[/j]                [j]YLXEW RI1PHZ[/j]
                「さー、あったかい内に食ってくれ! おいしいぞ。たぶん! だいじょーぶ!」[j]YLXEW RI1PIV[/j]
                「……神様がたぶんとか言わないでよ」
[j]YLXEW RI1PHV[/j]                「だって、俺食えないし。味見できないからなー」
[j]YLXEW RI1PHV[/j]                「そ、それはそうだけど」[j]YLXEW RI1PIO[/j]
                 ホットケーキで死にはしないとわかっていても、不安を煽られると怯んでしまう[j]YLXEW RI1PHE[/j]
                「大丈夫だ、紗結。今から私がここに簡易的な神域を作り、神饌祝詞をあげる。このホットケーキは蓮にも食べさせよう」
[j]YLXEW RI1PIR[/j]                「え、いいんですか?」
[j]YLXEW RI1PHL[/j]                「そんなの、機関にバレたらヤバイんじゃねーの? いーのか?」[j]YLXEW RI1PHD[/j]
                 私たちが驚いて身を乗り出すと、斗真さんはくすくすと楽しそうに笑う[j]YLXEW RI1PIH[/j]
                「――ああ。今日は特別な祝いの席だから、私も少々浮かれてはいる。人工神開発機関には秘密にしておくし、どこかにいる偉い神様とて、しきたりを多少破るくらいは大目に見てくれるさ」
[j]YLXEW RI1PI9[/j]               
[j]YLXEW RI1PI0[/j]                 そして、楽しそうな笑みだけでなく。斗真さんは……ニヤリと口の端を上げた[j]YLXEW RI1PIL[/j]
               
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                「喜びも苦しみも、皆で分かち合ってこそだろう?」
[j]YLXEW RI1PIN[/j]                [j]YLXEW RI1PIM[/j]
                 喜びと、それから……じゃりっと歯ごたえがする少しばかりの苦しみは、バニラの香りとたっぷりの甘いシロップとバターでごまかして
[j]YLXEW RI1PIM[/j]                 私たちは三人で声を上げて大笑いしながら、特別な日を蓮曰くのスペシャルサプライズなケーキでお祝いした[j]YLXEW RI1PI5[/j]
                END

[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
[j]YLXEW RI1PIK[/j]2015.11.20 スペシャルページに主題歌 歌詞を掲載、キャラクターページに香月蓮のCV情報を追加しました
[j]YLXEW RI1PIU[/j]
「Spiral Memory」
作詞:郁磨 作曲:TANO
編曲:REING
歌:香月蓮(CV:佐和真中)
目覚めた君はまるで不思議の国のアリス
服着た白ウサギに話しかけられたみたい
記憶の森の中で 僕を見つけて
ねぇ君と話してた二人だけの未来図は
あと少し君がほら色を足すだけ
目の前で泣く僕をお願いだからそんな不思議そうな目で見ないで
蝕む記憶の渦 飲み込まれてゆく君
このまま想い出にも飲み込まれるくらいなら
取り戻せぬ過去にはさよなら告げて
もう一度未来図を描き直せばいいだけ
君となら何度でも恋をしたいから
あの時と同じように必ず君を振り向かせるから僕を見つめて
ただ君を幸せにしたいそれが僕の望み
いつの日か本当に瞳閉じるまで
明日また繰り返す君との出逢い別れ分かってるだけど愛してる

[j]YLXEW RI1PIS[/j]2015.11.13 OPムービー先行公開版を追加しました
[j]YLXEW RI1PI8[/j]

[j]YLXEW RI1PIJ[/j]
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[j]YLXEW RI1PIQ[/j]●主題歌情報
[j]YLXEW RI1PID[/j]「Spiral Memory」
[j]YLXEW RI1PI3[/j]作詞:郁磨
[j]YLXEW RI1PIJ[/j]作曲:TANO[j]YLXEW RI1PHA[/j]
編曲:REIGN[j]YLXEW RI1PI1[/j]
歌:香月蓮(CV:佐和真中)

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[j]YLXEW RI1PH9[/j]2015.11.06 ストーリー更新 舞台背景を追加しました
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[j]YLXEW RI1PIN[/j]③花葵神社前(はるきじんじゃまえ)
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[j]YLXEW RI1PHY[/j]                                    花葵神社へ向かう階段
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                                    赤い大きな鳥居と葵の紋が入った灯篭が置いてある
[j]YLXEW RI1PIT[/j]                                    町並みは花葵神社の景観を損ねないよう整備されているため、レトロな建物が建ち並んでいる
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[j]YLXEW RI1PHA[/j]  ④花葵神社茰蕘(はるきじんじゃ儰いだい)[j]YLXEW RI1PI2[/j]
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                                    拝殿の奥には本殿があり、ご神体である蓮が鎮座している
[j]YLXEW RI1PIL[/j]                                    お勤め中の蓮の姿は参拝客から見えないようになっており、花葵神社の人工神はどんな姿なのか、斗真や機関の人間以外誰も知らない
[j]YLXEW RI1PHR[/j]                                    また、神社の地下には人工神を研究する施設が存在している
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2015.10.30 期間限定SS『Happy Halloween!』を公開しました
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[j]YLXEW RI1PHD[/j]  この国は、神々がやってくる『神の吹き溜まり』だと遙か遠い彼方で誰かが言った
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]    天神地祇。天津神と国津神
[j]YLXEW RI1PHB[/j]    天地の神々、すべての神々[j]YLXEW RI1PI5[/j]
    生まれ来る神、流れ来る神……そして、生み出される神
[j]YLXEW RI1PHC[/j]    『ヘイユー、この国の神様になっちゃいなよ☆』とでもいわんばかり、どんどん柔軟に取り込んでいく妙な国
[j]YLXEW RI1PIC[/j]    そんな神々のごった煮で、いわば時間無制限おかわり   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   の食べ放題バイキングな世界なのだから、異国の神様だってどんと来いで全力ウェルカムだ
[j]YLXEW RI1PIR[/j]    なにせこの国には   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   ひとつに七人もの神様がおわすのだから、いくら増えようとオッケーでしょう
[j]YLXEW RI1PHP[/j]    そう……"人工神"なんて珍妙な神様が多少増えようが、どうってことない。イッツアノープロブレム
[j]YLXEW RI1PHV[/j]    そんな開けっぴろげな八百万の国では、今日もまた――いや、一年三百六十五日いつだって、神々とのお祭り騒ぎが繰り広げられるのだ
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[j]YLXEW RI1PII[/j]                * * *
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[j]YLXEW RI1PHZ[/j]   ――10月31日
[j]YLXEW RI1PI6[/j]   クリスマスには赤と緑に彩られる街が、オレンジと黒でいっぱいになる
[j]YLXEW RI1PIM[/j]   この白葵町ももちろん例外ではなく、人々はお祭りの気配にどこか浮き足立っていた
[j]YLXEW RI1PIF[/j]   「なんかさ、ハロウィンってすっかり日本に定着したよなあ」
[j]YLXEW RI1PI6[/j]  フリルがたっぷり付いたブラウスの襟元に手をやった瑛太は、窮屈そうにため息を吐く[j]YLXEW RI1PI0[/j]
   表地は闇の黒、裏地は血の赤のマントを羽織り、薄く開いた唇の間には尖った牙が覗いている[j]YLXEW RI1PHX[/j]
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   非日常な衣装に身を包んだ彼からは、不思議な妖艶さが漂っていた[j]YLXEW RI1PIA[/j]
   (うちのリビングに吸血鬼がいる光景って、なんかすごい……)[j]YLXEW RI1PIG[/j]
   なんて考える私も、カボチャのお化け? 精霊? だったかよくわからないけど、ジャックオーランタンをふんわりしたワンピースにアレンジした恰好だ
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]   いかにもハロウィンって感じの衣装はとても凝っていて、製作者の気合いとこだわりが感じられる
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[j]YLXEW RI1PIR[/j]   「その衣装、すっごく似合ってるよ。瑛太」[j]YLXEW RI1PHC[/j]
   「そりゃどーも」<br />
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]   「そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃない。カッコイイよ? 今以上に、女の子にモテモテになりそうだよ?」
[j]YLXEW RI1PI3[/j]   「…………」
[j]YLXEW RI1PHV[/j]   はあぁっともう一度盛大なため息を吐いてから、吸血鬼の仮装をした瑛太は眉間にシワを寄せる
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]   「別に、モテたくねぇし」[j]YLXEW RI1PID[/j]
   「えっ、そうなの? 次期剣道部エースの国方瑛太くんは爽やか日本男児でかっこいーって、大人気なのに」
[j]YLXEW RI1PIA[/j]                「……その評価はどこ調べだよ。勘弁してくれ」
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]                「幼なじみが人気者って、私は何だか鼻が高い気分なんだけどなあ」
[j]YLXEW RI1PI3[/j]                 そう言うと、瑛太はぷいっと目を逸らし、ちょっと拗ねたような顔になる
[j]YLXEW RI1PHY[/j]                「別に、不特定多数にモテたって意味ないから」[j]YLXEW RI1PIN[/j]
                「ふぅん……」
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                 そういう態度や言動がまさに、『ストイックでかっこいい!』って女の子たちに騒がれてるんだけど、これ以上拗ねられても困るから黙っておこう
[j]YLXEW RI1PI1[/j]                「とりっかとりー!」
[j]YLXEW RI1PI9[/j]                 衣装合わせ用の部屋を出てこちらへバタバタと駆けてくる足音と、底抜けに明るい声が響き渡る[j]YLXEW RI1PH9[/j]
                 大きなシーツを巻き付けたような衣装をずるずる引きずり、着替えを終えて真っ白なオバケになった蓮は満面の笑みを湛えた[j]YLXEW RI1PH8[/j]
                「じゃーんっ、ゴーストだぞ! "とりっかとりー!"」
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                「お前、なんでトリックオアトリートだけ妙にいい発音なんだよ」
[j]YLXEW RI1PIA[/j]                「ハロウィンパーティー楽しみだったから、めちゃくちゃ勉強した! えらいだろ?」
[j]YLXEW RI1PIC[/j]                 えっへんと胸を張るオバケ姿の蓮は、これでも白葵町のシンボル花葵神社の神様だ
[j]YLXEW RI1PH7[/j]                 日本中に派遣されている人工神の中でも、かなりえらい立場らしいんだけど……正直、そうは見えない
[j]YLXEW RI1PI9[/j]                「ああ、蓮! ちょっと待って。しつけ糸ひとつ外し忘れた」
[j]YLXEW RI1PI3[/j]                 蓮を追って、糸切り鋏を持ったお兄ちゃんがリビングへ入ってくる
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                「……ん、よし。これでばっちりだよ」
[j]YLXEW RI1PIT[/j]                「サンキュ、湊!」
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                「裾長いから、転ばないよう気を付けて」
[j]YLXEW RI1PHO[/j]                「おー」
[j]YLXEW RI1PI8[/j]                 蓮の衣装を整えてから、お兄ちゃんは私たちを見て満足そうに微笑んだ[j]YLXEW RI1PIC[/j]
                「三人とも最高に似合ってるね。夜なべして頑張った甲斐があったなあ」
[j]YLXEW RI1PII[/j]                「お兄ちゃん、衣装作ってくれてありがとう」[j]YLXEW RI1PHY[/j]
                「いえいえ、どういたしまして」
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                 今日は白葵町内会主催のハロウィンパーティー
[j]YLXEW RI1PHN[/j]                 その仮装大会にみんなで出場するんだと言ったら、私よりお兄ちゃんが張り切っちゃって……
[j]YLXEW RI1PIJ[/j]                 私だけでなく、一緒に出る瑛太と蓮の衣装までも素晴らしい完成度で仕上げてくれたのだった
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[j]YLXEW RI1PHC[/j]                「湊さん……たかが町の仮装大会に、これは気合い入りすぎじゃないですか。ここまでしなくても――」[j]YLXEW RI1PI3[/j]
                「……瑛太。俺はいつでも本気だよ。優勝以外許さないから」
[j]YLXEW RI1PIG[/j]                「え?」[j]YLXEW RI1PIA[/j]
                「堂々と紗結に可愛い衣装を着せて、皆へその可愛さを自慢できるこのチャンスに! この俺が手を抜くなんてあり得ない! 瑛太だって、可愛い紗結を見たいだろう? 可愛い衣装を着た可愛い紗結が頂点に立って喜ぶ姿を見たいだろう? ユーコピー?」
[j]YLXEW RI1PHK[/j]                「……アイコピー」
[j]YLXEW RI1PHR[/j]                 妙な迫力で瑛太を頷かせたお兄ちゃんは、仕上げだよと言ってカボチャの帽子を私に被らせる[j]YLXEW RI1PHE[/j]
                「よしっ、これで完成。最高に可愛いよ、紗結」[j]YLXEW RI1PI6[/j]
                「あ……ありがとう」
[j]YLXEW RI1PIR[/j]                 毎日のことだからもうすっかり麻痺してるけど、お兄ちゃんは一日に一体何回『可愛い』と口に出すのか
[j]YLXEW RI1PHP[/j]                 一度、改めてカウントしてみたい気分になってきた[j]YLXEW RI1PHF[/j]
                「三人とも、パフォーマンスステージ用の台詞は完璧に覚えてきた?」
[j]YLXEW RI1PIF[/j]                「とりっかとりー!」
[j]YLXEW RI1PHM[/j]                「うんうん、蓮は完璧だね。えらいえらい」
[j]YLXEW RI1PIN[/j]                「……あの……本当に、あの中二病セリフを言わなきゃいけないんですか」
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                「当然。そのために、瑛太を最高にカッコよく仕上げてあげたんだから。ビシッと決めてくれなきゃ」
[j]YLXEW RI1PIT[/j]                「うぅ……」
[j]YLXEW RI1PHK[/j]                「瑛太、頑張って! 本番の前に練習しておこう!」
[j]YLXEW RI1PHO[/j]                 私が励ますと、瑛太は渋々といったふうにポーズを決める[j]YLXEW RI1PHO[/j]
                「今宵は闇の眷属が集う宴。紅蓮の口吻、我が牙に熱き血潮を捧げる乙女は何処か――」[j]YLXEW RI1PHS[/j]
                「……うわ」[j]YLXEW RI1PHP[/j]
                「うわ、って何だよ!」[j]YLXEW RI1PIT[/j]
                「い、いや、あはは。思ったよりイタいというか……あはは。でも、大丈夫! カッコイイよ瑛太!」[j]YLXEW RI1PHH[/j]
                「…………慰めはいらない。つか、俺はこの台詞を考えた湊さんを恨む」[j]YLXEW RI1PIL[/j]
                「うん……お兄ちゃん、ちょっとアレだけど悪気はないから。ごめんね」
[j]YLXEW RI1PHP[/j]                 お兄ちゃんが調子に乗ったときのノリは、妹の欲目を大幅に足したとしても庇いきれないときがあったりもするけど……その辺りはまあ、良く言えば童心を忘れていないというか、個(xing)ということで
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                「とりっかとりー! 次は紗結だぞっ、決めのセリフ言って!」
[j]YLXEW RI1PIH[/j]                 ゴースト衣装の白い袖口をひらひらと振りながら、蓮が私に催促する
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[j]YLXEW RI1PHP[/j]                (ようこそ、この国へ)
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[j]YLXEW RI1PHV[/j]                 盆と正月が一緒に来たようだというけれど、この国に馴染んじゃったハロウィンはその言葉に近いのかもしれない
[j]YLXEW RI1PIU[/j]                 お盆と大晦日のミックス。今宵はたくさんの神様や、妖精や精霊やお化けたちが集い、みんなみんな陽気に騒ぐ夜
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                 お菓子もおもてなしも、いたずらも。全部ひっくるめて楽しもう
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[j]YLXEW RI1PH9[/j]                 私は両手を広げ、この賑やかなお祭りの日に『すべてのもの』へ贈るメッセージを口にした
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[j]YLXEW RI1PHC[/j]                「Hope yours is full of surprises and smiles!」
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[j]YLXEW RI1PIN[/j]                 ――あなたのハロウィンが、驚きと笑顔でいっぱいでありますように[j]YLXEW RI1PIH[/j]

[j]YLXEW RI1PIR[/j]                END

[j]YLXEW RI1PI0[/j]2015.10.23 ギャラリー公開しました
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2015.10.16 Cool-B VOL.64掲載SS『"神様”とのおかしな日常』斗真サイド『あふひ』を期間限定公開
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[j]YLXEW RI1PHP[/j] Cool-B VOL.64掲載『“神様”とのおかしな日常』斗真サイド
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                「でさでさー、学校であんな啓発ムービーなんて見せてるんだな。俺、初めて観た!」[j]YLXEW RI1PIS[/j]
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                 学園から帰ってきて   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   を脱ぎ、袴姿になって務めを果たす間も、蓮は興奮冷めやらぬとばかりに私へ語り続ける
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                「ちっちゃい頃から月イチであーゆーの観て、アンケートまで書いてくれてて、人工神のこと考えてくれるんだなー。なんかすごい! 人間、えらいな!」[j]YLXEW RI1PH9[/j]
                「……そうだな」[j]YLXEW RI1PHU[/j]
               
[j]YLXEW RI1PH9[/j]                 人工神の周知とイメージアップ、世論の操作[j]YLXEW RI1PIL[/j]
                 何十年もかけて行われてきた人工神開発機関による施策であり、国民は皆それを当然のことだと受け入れている
[j]YLXEW RI1PHW[/j]                 それの何がそんなに嬉しいのか、当の人工神様は無邪気に喜ぶ
[j]YLXEW RI1PIT[/j]                (実態は、知らせぬままの方がいいな……)
[j]YLXEW RI1PH7[/j]                 世捨て人の如く生きるのならまだしも、この国で快適に暮らしていきたければ人工神の恩恵にあずからねばならない[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
                 だから、誰もが機関のやり方が強引だとうっすら感じていても口には出せない[j]YLXEW RI1PIP[/j]
                 そう……古来からあった神職と違い、『人工神』に仕える『今の世の神職』という異能である私の役割とて同じことだ[j]YLXEW RI1PHN[/j]
                [j]YLXEW RI1PHI[/j]
                「それでさ、紗結が『人工神について理解が進みました』って書いてくれててさー。それからまた、何書こうかって真剣に考えてくれてて……俺のこと考えたのかなって思うと、すげー嬉しかった!」
[j]YLXEW RI1PHB[/j]                「ああ」
[j]YLXEW RI1PHU[/j]                「それでさ、それでさ! 瑛太に顔ラクガキされてさぁ、筆ペン水(xing)だと思ったら顔料入りとかいうやつでさ、なっかなか落ちねーの。紗結からメイク落としっての借りて、大変だったんだぞ」
[j]YLXEW RI1PHE[/j]                「そうか」[j]YLXEW RI1PH8[/j]
                「でもさ、紗結が洗い方教えてくれて、んで手伝ってくれて……紗結の手、気持ちよかったー」[j]YLXEW RI1PIK[/j]
               
[j]YLXEW RI1PH7[/j]                (まったく。よほど毎日が楽しいのか……紗結、紗結と、そればかりだな)
[j]YLXEW RI1PHA[/j]                 学園に通い出す前から、蓮の口から何度彼女の名を聞いただろうか
[j]YLXEW RI1PI0[/j]                 ――香月紗結。年下の従姉妹であり、蓮が子どもじみた恋情で執着する少女。……それだけだ。今はまだ、それだけでいい
[j]YLXEW RI1PHN[/j]                 隙あらば学園であったことを余さず語ろうとする蓮を幾度となく黙らせ、修祓の後に大祓詞を奏上する
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]                 ようやく夕拝を終えることができ、私は苦笑が浮かびそうになる口元を引き締めつつ柏手を八つ打った[j]YLXEW RI1PIT[/j]
               
[j]YLXEW RI1PI7[/j]                「廣前に秋の垂穂の八握穂を持清まはり
[j]YLXEW RI1PIK[/j]                御炊きて備る御食は柏葉に
[j]YLXEW RI1PIJ[/j]                高らかに拍八平手の音平けく安けく
[j]YLXEW RI1PIJ[/j]                神は聞ませ宇豆の大御膳」[j]YLXEW RI1PHT[/j]
               
[j]YLXEW RI1PHO[/j]                 蓮に向かって神饌祝詞をあげ、卓にずらりと並べた食事を指す
[j]YLXEW RI1PII[/j]                「さっさと食べてしまいなさい」
[j]YLXEW RI1PI7[/j]                「へーい」
[j]YLXEW RI1PIF[/j]                 静座し、一拝一拍手の後、蓮は普段私が唱える歌を詠む
[j]YLXEW RI1PHF[/j]                「たなつもの 百の木草も 天照す 日の大神の 恵えてこそ」
[j]YLXEW RI1PIL[/j]                「…………」[j]YLXEW RI1PHZ[/j]
                 蓮は我々から供えられる側の神なのだから、わざわざ食に感謝を捧げる歌を詠まずとも良いとは思うのだが、人の真似をすることも楽しいのだろう
[j]YLXEW RI1PIJ[/j]                 こういう純粋な仕草を見ると、神となった今は人であった過去の全てを失っているとはいえ、未練があるのではないかと苦い気持ちになる[j]YLXEW RI1PHS[/j]
                 だが……この陽気な神に、そこまで難しいことを考える頭はない
[j]YLXEW RI1PHY[/j]                (人工神は必要以上に人に懐き、絶対的に人を愛するよう作られている)
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                 人の手で作られし、人を超える能力を持つ生命体[j]YLXEW RI1PHJ[/j]
                「愚かなる人間の、フランケンシュタインコンプレックスか……」[j]YLXEW RI1PIJ[/j]
                「んぁ? なになに?」
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                 私がぽつりと呟いた言葉に、蓮は興味津々といったふうに瞬きする[j]YLXEW RI1PI0[/j]
                「なんでもない。昨夜読んでいた、古いSF小説の話だ」
[j]YLXEW RI1PIH[/j]                「んーと、なんかロボットの話だっけ。斗真、昔からそれ何度も読んでない? 面白いの?」
[j]YLXEW RI1PHG[/j]                 その問いには答えず、私は三原則に縛られるロボットよりも不   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   な神へ夕食を促す
[j]YLXEW RI1PIK[/j]                「読みたければ貸してやるから、先に食事を済ませろ。まだまだ務めでやることは沢山あるぞ」
[j]YLXEW RI1PIS[/j]                「へーい。斗真って料理上手いよな! かーさんのも美味かったけど、毎日きっちり決まった時間に決まった同じ献立だったからなー……」
[j]YLXEW RI1PIH[/j]                 いただきます、と更に人間の真似事で手を合わせてから、蓮は長箸を手にして大皿に盛った御饌を自分の皿に取り始める
[j]YLXEW RI1PHI[/j]                「斗真が作るようになってから今風になったっつーかさー俺好みになったっつーかさー、メシ食うの楽しみになった!」
[j]YLXEW RI1PI4[/j]                「褒めてごまかして、玉ねぎをよけない。バランス良く取りなさい」
[j]YLXEW RI1PI5[/j]                「……うぇーい」
[j]YLXEW RI1PI2[/j]                 先代の宮司であった父や付き従っていた母が見れば、主神相手にこの物言いは不敬であろうと私を咎めるだろうが……知ったことではない
[j]YLXEW RI1PI8[/j]                 ――今の蓮は、花葵神社の神職である私の神だ
[j]YLXEW RI1PI1[/j]                 遙か彼方の遠くにおわし、お姿を拝見することもお声を聴くことも適わぬ天の神とは違う
[j]YLXEW RI1PIF[/j]                 人工神として機械的に神の能力を植え付けられていようと――ものを食し、眠り、生殖行為を行える、我らと同じ人の肉体を持っている[j]YLXEW RI1PIC[/j]
                 思うがまま素直に笑い、泣き、怒る
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                 彼には感情があり、嗜好があり、表情がある
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                 幼い頃に初めて彼と引き合わされたときから、共に過ごしてきた時間がある[j]YLXEW RI1PIC[/j]
                 父がやってきたように、ただ祀り上げ、毎日毎日決まった神饌と祝詞を捧げていれば良いとは思わない
[j]YLXEW RI1PI2[/j]                [j]YLXEW RI1PHJ[/j]
                「……いっつも思うけどさ、斗真も一緒に食べられたらいーのになあ。せっかくおいしーのに、俺の下がりだと冷めちゃってるし」
[j]YLXEW RI1PHO[/j]                「神人共食。そういう決まりだ。お前が気にする必要はない」
[j]YLXEW RI1PHU[/j]                「ま、そーだけど。前は俺が食べてる間待ってるの、辛そうだったじゃん」
[j]YLXEW RI1PIE[/j]                「前って……いつの話をしている」[j]YLXEW RI1PH9[/j]
                「あはは! いくら神職だっていっても、育ち盛りの子どもにまでこの決まりは酷だよなぁ」[j]YLXEW RI1PHP[/j]
  神である蓮にとっては瞬きの間なのかもしれないが、20年近くも昔の話を持ち出されると気恥ずかしさと気まずい心地がない交ぜになる[j]YLXEW RI1PIC[/j]
  こうして会話をしている姿を外から見れば、今の私たちは少し歳の離れた兄弟とでも思われるだろうか[j]YLXEW RI1PHY[/j]
   私と蓮――弟と兄。兄と弟
[j]YLXEW RI1PIO[/j]   そして彼が神で在るまま順当に時が過ぎゆけば……やがて、私たちの見た目は父子のようになり、祖父と孫ともなるのだろう
[j]YLXEW RI1PI3[/j][j]YLXEW RI1PHC[/j]
   「……私がどうこうというより、単にお前が誰かと食事を共にしたいだけだな?」 [j]YLXEW RI1PHF[/j]
   「あ、バレた? だってさぁ、学校でみんなでワイワイ賑やかに弁当食ってるの見たら楽しそうなんだもん」
[j]YLXEW RI1PHX[/j]   好奇心に満ちた無邪気な笑みとは裏腹に、彼の瞳には神たる妖美な彩が滲んでいる[j]YLXEW RI1PIO[/j]
   この奇妙なアンバランスさこそが、人工神である証なのかもしれない[j]YLXEW RI1PHP[/j]
   「俺は外でものを食うこと自体が禁忌だし、神域で朝拝夕拝の日供しか口にできないから……紗結や瑛太が弁当食ってたり、学食行ったりするのいいなーって見てるだけなんだけど、ここで斗真と一緒にならいいじゃん? どーせ同じもの食うんだし!」
[j]YLXEW RI1PIN[/j]                「……蓮」
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                 少し声のトーンを下げて呼びかけると、蓮は首を竦める[j]YLXEW RI1PI7[/j]
                「わ、わかってるよ……俺は花葵神社の神様で、斗真は神職だろ。長い間ずっと一緒に暮らしてたって、人間みたいな家族じゃない」
[j]YLXEW RI1PIE[/j]                「ああ、その通りだ。私はお前に仕える者であり、守護者だ。弁えろ」 [j]YLXEW RI1PIF[/j]
                「……うん」 [j]YLXEW RI1PHL[/j]
                 耳と尾をしゅんと垂らした犬のように表情を曇らせる蓮を見て、私は小さくため息を吐く
[j]YLXEW RI1PHP[/j]                (これも、学園に通わせた影響か……)
[j]YLXEW RI1PIM[/j]                 元々人に懐きやすく甘えたがりな面があったとはいえ、普通の学生たちと同じ生活を求められても困るし……正直、こちらもうっかり甘やかしてしまいそうになる
[j]YLXEW RI1PID[/j]                 強引に会話の流れを変えようと、私は取り皿に盛られた料理を指した
[j]YLXEW RI1PHS[/j]                「それだけでいいのか」 [j]YLXEW RI1PHL[/j]
                「え? あ、うん。生体維持に足る分だけでいいし、これで充分。どっちかっつーと、日供は腹を満たすより『心』をいただくって感じだしな!」
[j]YLXEW RI1PIA[/j]                 どれだけ沢山の種類の料理を並べようと、蓮は一口ずつほどしか取ろうとしない
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                 もしも蓮が普通の人間で、見た目通りの年齢であったとしたらあまりにも少ない量だ
[j]YLXEW RI1PHE[/j]                「つか、毎日こんなにいっぱい作らなくてもいいんだぜ? 斗真だって下がりを食べきれなくて、次の日の昼も同じもの食ってるだろ」
[j]YLXEW RI1PIH[/j]                「神に捧ぐ御饌は、信心のかたち。神職の私が、納得するようにしているだけだ。お前は気にしなくていい」
[j]YLXEW RI1PII[/j]                「うん……でもさ……」
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                 神人共食として順に氏子へお裾分けに行くこともあるし、残り物があればむしろ昼食の用意をせずに済んで楽だと思っているくらいなのだが……蓮はまだ、腑に落ちないという顔をしている
[j]YLXEW RI1PHU[/j]                 彼に気取られぬよう心中で大きくため息を吐くと、私はひとつの提案をすることにした
[j]YLXEW RI1PHK[/j]
[j]YLXEW RI1PIN[/j]                「プリン」
[j]YLXEW RI1PIM[/j]                「へ?」
[j]YLXEW RI1PHB[/j]                「この前、食べたがっていただろう。明日は紗結が神社のアルバイトに来る日だし、お前と彼女の分を作っておいてやるからここへ呼びなさい」
[j]YLXEW RI1PI7[/j]                「え、えっ? いいの?」
[j]YLXEW RI1PHP[/j]                「ああ」
[j]YLXEW RI1PHF[/j]                「プチッとするやつじゃなくて、ちゃんとオーブンで焼いたやつ? カラメルもいっぱい?」
[j]YLXEW RI1PIK[/j]                「……ああ」
[j]YLXEW RI1PIE[/j]                 頷いてやると、蓮はわくわくとした顔ですぐに食いついてくる
[j]YLXEW RI1PHM[/j]                (……やれやれ、私も甘くなったものだ)
[j]YLXEW RI1PIB[/j]                 それだけ歳を取ったのかと自嘲めいた笑みが浮かぶが、決して悪い気分ではない
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                「あっ、でも……ホントにいいのか? 斗真と一緒に食べるのダメなのに、紗結だってさ――」
[j]YLXEW RI1PI0[/j]                「特別だ。構わない」
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                「……? そうなのか? プリンってすごいな! 特別! 焼きプリン様!」
[j]YLXEW RI1PIU[/j]                 蓮は勝手に勘違いしてふむふむと感心しているようだが、それでいい
[j]YLXEW RI1PHJ[/j]                (ああ、そうさ……蓮、紗結。お前たちは『特別』だ)
[j]YLXEW RI1PHH[/j]                「あー、早く明日にならないかなっ! 紗結も絶対喜ぶと思う!」
[j]YLXEW RI1PID[/j]                 私の神は、楽しみでたまらないというように腰を浮かせる
[j]YLXEW RI1PI6[/j]                「……蓮、行儀が悪い。きちんと座って食べなさい。それから、玉ねぎを残さないこと」 [j]YLXEW RI1PI8[/j]
                「えっと……俺、神様だし、その辺大目に見るとかない?」 [j]YLXEW RI1PIQ[/j]
                「ない。好き嫌いすると、大きくなれないぞ」
[j]YLXEW RI1PIV[/j]                「人工神は身体の成長止まってるし、大きくなるも何もないと思うんだけどー」
[j]YLXEW RI1PI1[/j]                「肉体ではなく、器という意味だ。世の女(xing)は、得てして器の大きい男に心惹かれるものではないのか? もちろん……紗結も然りだと思うが」
[j]YLXEW RI1PI9[/j]                「む……むむむ……」
[j]YLXEW RI1PIP[/j]                 ぎゅっと目を閉じて鼻をつまみ、蓮は皿の隅によけていた玉ねぎを思い切って口に放り込む
[j]YLXEW RI1PIE[/j]                 そのまま水で流し込んだが、まあそのくらいは見逃してやることにしよう
[j]YLXEW RI1PHI[/j]
[j]YLXEW RI1PIK[/j]                「……あ! 斗真っ! 明日、アオイマートで玉子が特売だって!」
[j]YLXEW RI1PIN[/j]                 人工神ネットワークで即座に情報検索したのか、蓮は私の前にデバイスを差し出して画面を見せる
[j]YLXEW RI1PI8[/j]                「当然チェック済みだ。ぬかりはない」
[j]YLXEW RI1PI0[/j]                「さっすが斗真! あ、でも、プリンって玉子いっぱいいるよな? おひとり様1パック限りだから、帰りに紗結と一緒に買ってこようか?」
[j]YLXEW RI1PIC[/j]                「そんなに何パックもいらない。どれだけ巨大なプリンを作らせる気だ」 [j]YLXEW RI1PIN[/j]
                「えへへー、いーじゃん! 紗結と一緒なら、俺いっぱい食べるもん!」 [j]YLXEW RI1PHQ[/j]
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
   無邪気に笑う――私の、神
[j]YLXEW RI1PHB[/j]   箸を置いて端座し、一拝一拍手の後に蓮の朗々とした声が響く
[j]YLXEW RI1PI3[/j]  「朝宵に 物喰ふごとに 豊受の 神の恵みを 思へ世の人」 [j]YLXEW RI1PHJ[/j]
  ごちそうさま、と改めて手を合わせ、皿を空にした彼は陽光を映すが如くの顔で笑う。  
[j]YLXEW RI1PHL[/j]
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]  「私は片付けをしてから、境内の摂社と末社を回ってくる」
[j]YLXEW RI1PHF[/j]  「はいはーい。んじゃ、俺は授与品のお札書いとく」 [j]YLXEW RI1PI4[/j]
   筆と硯を用意し、文机に向かった蓮は慣れた所作で墨をすり始める
[j]YLXEW RI1PHU[/j]   私たちが幾年も幾年も続けてきた、いつもと変わらぬ光景。変わらぬ世界[j]YLXEW RI1PIH[/j]
   それが彼と彼女の再会でじわりじわりと変化していることに、未だ誰も気付いていない[j]YLXEW RI1PH7[/j]
[j]YLXEW RI1PI3[/j]
                 花葵――葵。あふひ[j]YLXEW RI1PHO[/j]
                 太陽に向かい陽を仰ぐ、仰日
[j]YLXEW RI1PHN[/j]                 神と逢う日。逢日
[j]YLXEW RI1PI5[/j]                (……さあ、我が神よ。此の、人の世で存分に踊れ)
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                END

[j]YLXEW RI1PI7[/j]
[j]YLXEW RI1PHI[/j]
[j]YLXEW RI1PHY[/j]2015.10.09 ストーリー更新。舞台背景を追加
[j]YLXEW RI1PHK[/j]

[j]YLXEW RI1PI1[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PIF[/j]
①白葵学園(しらきがくえん)
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]
[j]YLXEW RI1PIO[/j]                                    白葵町にある紗結たちが通う学園
[j]YLXEW RI1PHN[/j][j]YLXEW RI1PH9[/j]
                                    学生の自主(xing)を尊重した   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   な校風で伸び伸びとした雰囲気の学園[j]YLXEW RI1PI8[/j]

[j]YLXEW RI1PHX[/j]                                    瑛太が所属する剣道部は全国大会に出場するなど、強豪校としても有名

[j]YLXEW RI1PH8[/j]
[j]YLXEW RI1PII[/j]
[j]YLXEW RI1PIG[/j]
                               
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[j]YLXEW RI1PIR[/j]
[j]YLXEW RI1PIT[/j]
②白葵町(しらきまち)の町並み[j]YLXEW RI1PHY[/j]

[j]YLXEW RI1PHN[/j]
[j]YLXEW RI1PHC[/j]                                    紗結たちが住んでいる町[j]YLXEW RI1PHT[/j]
                                    町の中心には観光スポットとして有名な花葵神社(はるきじんじゃ)があり、観光業が盛んな町
[j]YLXEW RI1PHU[/j]                                    町並みは花葵神社の景観を損ねないよう整備されているため、レトロな建物が建ち並んでいる
[j]YLXEW RI1PHN[/j]
2015.10.02 スペシャル更新。Twitterアイコン&バナー配布、バナーキャンペーン開催
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[j]YLXEW RI1PHL[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PII[/j]2015.09.24 スペシャル更新。湊&理玖バースデーSS期間限定公開
[j]YLXEW RI1PIU[/j]
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[j]YLXEW RI1PID[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PHP[/j]

[j]YLXEW RI1PHU[/j]
「お兄ちゃん、速水先生、お誕生日おめでとう!」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]  和やかな雰囲気での食事会が盛り上がった頃……今日のために用意したホールケーキを出すと、ふたりの表情がそれぞれ変化する[j]YLXEW RI1PHJ[/j]
                「ありがとう、紗結」
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                「なるほど……そういうわけでしたか」
[j]YLXEW RI1PIE[/j]                 満面に笑みをたたえるお兄ちゃんと、やれやれといった感じで苦笑する速水先生[j]YLXEW RI1PIC[/j]
                 よく似た顔に浮かぶその笑みは両極端だけど、私はこのサプライズが成功したことを確信する[j]YLXEW RI1PHX[/j]

[j]YLXEW RI1PHM[/j]                「香月さんも、湊さんも、何度断ろうとも9月24日は家へ食事に来いと毎日のように誘ってくるし、当日はわざわざマンションの前で待ち伏せまでしてるから何事かと思ったら……こんなスペシャルデザートが用意されてるとは」[j]YLXEW RI1PIK[/j]
                 頬杖をつき、速水先生は小さくため息を吐きながら私が作ったケーキを見る
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                「えへへ……だって、せっかくふたりが同じ誕生日だってわかったんですもん。すごい偶然だし、一緒にお祝いしたいなってお兄ちゃんに言ったら、絶対お招きしようってことになって」
[j]YLXEW RI1PHY[/j]                「もし逃げられたら機関のネットワークを使ってでも確保しようかと思ってたけど、無事にマンションの入り口でつかまえられてよかったなあ」
[j]YLXEW RI1PIL[/j]                「職権乱用も甚だしいな。あなたにとって、僕は珍獣かなにかですか」
[j]YLXEW RI1PIT[/j]                「あはは、珍獣扱いなんてとんでもない。大切な紗結がお世話になっている、担任の先生ですよ」
[j]YLXEW RI1PHT[/j]                「……『大切な』って、そこに付くんだ?」
[j]YLXEW RI1PIN[/j]                「ええ、もちろん!」[j]YLXEW RI1PI9[/j]
                 そこはお世辞でも『大切な担任の先生』と付けるのが大人の嗜みだろ、と速水先生のぼやきが聞こえるが、お兄ちゃんは全く気にせずにこにこと笑っている
[j]YLXEW RI1PI5[/j]                「今年も上手にできたね、紗結。どんなお祝いより、紗結のケーキと笑顔が一番嬉しいよ」
[j]YLXEW RI1PHO[/j]                「……甘ったるいことで」
[j]YLXEW RI1PI3[/j]                 私の頭を撫でるお兄ちゃんを見て、速水先生がケーキに載っているイチゴをひょいっとひとつ取る
[j]YLXEW RI1PIR[/j]                「あっ、先生! 何やってるんですか、まだ手を出しちゃ駄目ですよ!」[j]YLXEW RI1PIK[/j]
                「いいでしょ、別に。毎年湊さんは全部ひとりじめしてきたんだろうけど……今年は、半分は僕のものなんだから」
[j]YLXEW RI1PIB[/j]                「良くないです! ほら、イチゴ戻してください。まだ写真撮ってないんだから! 紗結のケーキは毎年記録に残して、永久保存データですよ」
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                 いそいそとカメラ付きのデバイスを取り出すお兄ちゃんに、速水先生は見せつけるようにしてイチゴを口に放り込んでしまう
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]                「……残念。もう、食べちゃいました」
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                「あ! もー……ひどいなあ。綺麗なシンメトリが台無しだ」[j]YLXEW RI1PIR[/j]
                 多少飾りの見栄えが変わっただけなのに、お兄ちゃんは心底残念そうに肩を落とす[j]YLXEW RI1PHW[/j]
                 イチゴひとつで大げさだなぁって思うけど、毎年のいろいろな節目やなんてこともない日常でも、お兄ちゃんが嬉しそうにたくさんの写真を撮ってくれるのは……私の記憶が欠けているからなんじゃないかって思う
[j]YLXEW RI1PI6[/j]                 もし、今後何があっても大丈夫だよ。思い出は消えないよって[j]YLXEW RI1PIA[/j]
                 たくさん写真を撮られる度に、お兄ちゃんがそう言ってくれてるみたいだって感じてた[j]YLXEW RI1PIE[/j]
                 だから、ただの過保護や兄バカじゃないんだと思う。……たぶん。たぶん、だけど[j]YLXEW RI1PHQ[/j]
                「お兄ちゃん、ここにロウソクを立てればいいよ」
[j]YLXEW RI1PHW[/j]                 私は数字のロウソクを、ぽっかりと空いたそこに刺す
[j]YLXEW RI1PI4[/j]                 真ん中に立てようと思ってたけど、こっちの方がずっとキレイに見えるから……速水先生のつまみ食いのおかげかもしれない
[j]YLXEW RI1PIC[/j]                「ああ、いいな。可愛い可愛い。じゃあ、3人で撮ろう」
[j]YLXEW RI1PHB[/j]                 ケーキと私を真ん中に、お兄ちゃんは腕を伸ばしてデバイスを構えてカメラを向ける[j]YLXEW RI1PHJ[/j]
                「ほら、先生。もっと寄ってくれないとフレームに入りませんよ」
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]                「はいはい」
[j]YLXEW RI1PI5[/j]                 半ばあきれ顔でも、速水先生は素直にお兄ちゃんの言うことを聞いて私に身を寄せる[j]YLXEW RI1PIK[/j]
                「ふ……君からも、甘い匂いがする。僕はケーキよりこっちの香りの方が好みかも」
[j]YLXEW RI1PI2[/j]                「え、あの……?」[j]YLXEW RI1PI8[/j]
                 髪が触れ合い、体温と吐息を感じるほどに顔を近付けられてどきっとする
[j]YLXEW RI1PIG[/j]                「先生! 寄りすぎ!」
[j]YLXEW RI1PHD[/j]                「寄らないと、入らないんでしょ? ほら、早く撮らないと僕がまたつまみ食いをしちゃいますよ。……イチゴより、おいしいものをね」[j]YLXEW RI1PII[/j]
                「はぁ……わかりました。じゃ、撮るよー。笑って!」[j]YLXEW RI1PI8[/j]
                 お兄ちゃんの声に合わせ、3人でカメラに笑顔を向ける[j]YLXEW RI1PI9[/j]
                 軽快な電子音と共に、『今』の私たちの一瞬が切り取られた
[j]YLXEW RI1PIF[/j]                「それじゃ、ロウソクに火を点けますね」
[j]YLXEW RI1PIH[/j]                「……それは勘弁。いい大人が、わざわざ誕生日パーティーってだけでも複雑な気分なのに、ロウソクふーってまでやらされたらコントでしょ」[j]YLXEW RI1PHU[/j]
                 私がライターでロウソクに火を点けると、照れ臭いのか速水先生はちょっと逃げ腰になる
[j]YLXEW RI1PIJ[/j]                「こんなの、今は子どもだってめったにやらないんじゃないの。……少なくとも、僕の記憶にはない」
[j]YLXEW RI1PII[/j]                「そうですか? 誕生日祝いに、大人か子どもかなんて関係ないと思いますよ。こうして心から祝ってくれる人がいる。幸せなことじゃないですか」
[j]YLXEW RI1PHI[/j]                 くすっと笑い、お兄ちゃんは速水先生を促す[j]YLXEW RI1PHU[/j]
                「やったことがないなら、今やればいいんですよ。今年の誕生日で、初めてのこと」
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                「…………ほんっと、甘ったるいことで」[j]YLXEW RI1PH8[/j]
                 肩をすくめていても、速水先生の顔には隠しきれない笑みが浮かんでいて……私はそれをすごく嬉しいと思った
[j]YLXEW RI1PI2[/j]                「じゃ、歌います! お兄ちゃんと速水先生、ふたりで一緒に吹き消してくださいね」
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]                 ハッピーバースデートゥー[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
                 私はふたりのyouへ想いを籠めて、お誕生日を祝って歌う[j]YLXEW RI1PIK[/j]
                「ディア、お兄ちゃん! ディア、速水先生! ハッピーバースデートゥーユー」
[j]YLXEW RI1PHN[/j]                 私の歌が終わると同時に――せーのの合図も目配せすらなく、お兄ちゃんと速水先生はぴたりと揃ったタイミングで左右からふぅっとロウソクを吹き消す[j]YLXEW RI1PI2[/j]
                「お兄ちゃん、速水先生、お誕生日おめでとう!」[j]YLXEW RI1PHE[/j]

[j]YLXEW RI1PIA[/j]                 私がもう一度そう言って拍手をすると、ふたりの笑顔はまったく同じ甘さと優しさに満ちていた
[j]YLXEW RI1PII[/j]         
[j]YLXEW RI1PHX[/j]                END
[j]YLXEW RI1PHK[/j]
2015.09.18 キャラクター更新しました [j]YLXEW RI1PHB[/j]

[j]YLXEW RI1PHD[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PIS[/j]

[j]YLXEW RI1PI5[/j]
紗結の父と自身の父の間で花葵神社の後継者争いがあったことを知ってはいるが、父同士のことであって自分には関係ないと思っている
[j]YLXEW RI1PHA[/j]            そのため、紗結たちと斗真の関係は良好で、アルバイトにきた紗結のサポートも行っている
[j]YLXEW RI1PHK[/j]            主に人工神である蓮のサポート役を行っており、人工神が力をふるった際に生みだしてしまう穢れを祓う役割を担っている[j]YLXEW RI1PIJ[/j]
            蓮のことは人工神という敬うべき相手というよりも、手のかかる弟だと思っている
[j]YLXEW RI1PIO[/j]
[j]YLXEW RI1PIM[/j]            人工神プログラムや香月家の秘密など全てを知る人物
[j]YLXEW RI1PIL[/j]

[j]YLXEW RI1PHN[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PIV[/j][j]YLXEW RI1PHG[/j]

[j]YLXEW RI1PIS[/j]
      以前は、両親と花葵神社の近所に住んでいたが、 両親が他界してからは、学園近くのマンションで兄の湊と2人暮らし
[j]YLXEW RI1PIO[/j]            炊事、洗濯などの家事は基本分担制だが、兄がほとんどやってくれている[j]YLXEW RI1PIJ[/j]
            兄とは何でも言い合える仲の良い兄妹
[j]YLXEW RI1PIT[/j]            幼い頃から活発でおてんばだったが、両親が他界してからは、兄や亡くなった両親に心配をかけないよう、一層明るく振舞っている[j]YLXEW RI1PIC[/j]
            幼い頃の記憶を一部失っているが、本人は気にしておらず、成長とともに記憶が曖昧になってしまっているのだと思っている[j]YLXEW RI1PI9[/j]
            明るく社交的で友達も多いが、自分の本心を人に曝け出すのが苦手[j]YLXEW RI1PIQ[/j]
            恋愛にはあまり興味がなく、現在までに彼氏はいたことがない
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]            勉強も運動もあまり得意ではない、可もなく不可もなくといった平凡な女の子
[j]YLXEW RI1PIA[/j]            兄の世話になっているため、早く自立したいという思いが強く、自宅近くにある花葵神社でアルバイトをはじめる
[j]YLXEW RI1PHH[/j]            神様の存在を全く信じていない現実主義者だったが自称花葵神社の『神様』である、香月 蓮(かつき れん)と出会う
[j]YLXEW RI1PH8[/j]            紗結の失った幼い頃の記憶とともに蓮の『神様』としての力が封印されたと聞かされ、半信半疑だったが、同時に蓮に対して不思議な感覚を覚え、一緒に記憶探しを始めることに
[j]YLXEW RI1PIE[/j]           

[j]YLXEW RI1PIN[/j]
[j]YLXEW RI1PHU[/j]2015.09.17 キャラクター更新しました
[j]YLXEW RI1PI4[/j]
[j]YLXEW RI1PIC[/j]
[j]YLXEW RI1PHK[/j]
                               
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[j]YLXEW RI1PH7[/j]
紗結の幼馴染み
[j]YLXEW RI1PI7[/j]            紗結が記憶を失った際にそばにいた人物
[j]YLXEW RI1PH9[/j]            幼い頃はいつも紗結と湊と一緒に遊んでいた
[j]YLXEW RI1PHS[/j]            中(xing)的な容姿をしていた瑛太はよくいじめられていて、 その度におてんばな紗結が瑛太を守っていた
[j]YLXEW RI1PIB[/j]            大きくなったら紗結を守れるように強くなりたいと思い、 花葵神社裏手にある剣道場で剣道を習いはじめる
[j]YLXEW RI1PHP[/j]            斗真は瑛太の剣道の師匠でもある
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[j]YLXEW RI1PI1[/j]            学園では剣道部に入部
[j]YLXEW RI1PHI[/j]            剣道漬けの日々を過ごしているため、あまり勉強は得意ではないが明るく、友達も多いためクラスの中心的存在
[j]YLXEW RI1PH7[/j]            剣道の大会で優秀な成績をおさめており、 部内では次期エースと期待されている[j]YLXEW RI1PIT[/j]
            学園内外の女子からも評判になっているほどの人気ぶりだが、 本人はあまり気にしていない
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[j]YLXEW RI1PHC[/j]            紗結とは両親の死をきっかけに、 そのまま疎遠になってしまうが学園で再会を果たす
[j]YLXEW RI1PI4[/j]            同じクラスになり昔のような関係に戻りたいと思っていたところに蓮があらわれ、 記憶探しの手伝いをすることに

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紗結たちが通う学園の教師を勤めており、担任でもある
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]            表向きは温厚な(xing)格でいつも笑顔を絶やさないため、 学生や教師からも人気がある
[j]YLXEW RI1PIC[/j]            しかし、実際は自分にも他人にも頓着しないケセラセラな(xing)格
[j]YLXEW RI1PIG[/j]            特定の人との交流を避けているため、 プライベートは一切謎に包まれている
[j]YLXEW RI1PHT[/j]            子どもの頃の記憶を失っているが、 現在の生活に特に支障がないのため気にとめていない
[j]YLXEW RI1PHE[/j]            湊と似た雰囲気を持つ理玖のことを紗結はとても慕っており、 紗結から自身の記憶について相談された時、 自分と同じ境遇の紗結に興味を持つ
[j]YLXEW RI1PHX[/j]            それ以降、紗結に対しては素の自分を見せられるようになり、紗結を妹のように可愛がっている
[j]YLXEW RI1PIM[/j]            現在は、学園付近にあるマンションで一人暮らしをしている
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2015.09.15
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☆あらすじ[j]YLXEW RI1PHX[/j]
遠い天の国の神様、私たち人間が生きるこの地上に棲まう神様
[j]YLXEW RI1PIT[/j]風火地水、自然に宿る神々
[j]YLXEW RI1PIP[/j]道具が変化したつくも神や、動物や人の魂が祀られて神となった魂。この国には太古の昔から、たくさんの神様がいる[j]YLXEW RI1PIO[/j]

[j]YLXEW RI1PII[/j]そして今、この時代
[j]YLXEW RI1PHM[/j]私たち人間のすぐ傍には……私たちを護るために生まれた、新たな神様がいる[j]YLXEW RI1PHJ[/j]
[j]YLXEW RI1PHC[/j]
人類の叡智の結晶とも呼ばれる、人工神
[j]YLXEW RI1PI0[/j]――私たち人間は、とうとう自らの手で神様をも作り上げてしまったのです
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[j]YLXEW RI1PIO[/j]夏の暑さがまだ残る頃、生まれ育った白葵町に引っ越してきた主人公 香月紗結(名前変更可)と歳の離れた兄餰月湊
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[j]YLXEW RI1PIK[/j]両親が亡くなった際に幼い頃の記憶が曖昧になってしまった紗結は、記憶がないことに不安もあったが、優しい兄と支えあって生きてきた[j]YLXEW RI1PI8[/j]

[j]YLXEW RI1PI2[/j]紗結が白葵学園に転入して1週間
[j]YLXEW RI1PH8[/j]この町にも学園にもすっかり馴染んできたある日、紗結のクラスに転校生がやってきた
[j]YLXEW RI1PHJ[/j][j]YLXEW RI1PI6[/j]
彼は真っ先に紗結のもとに歩いてきて――[j]YLXEW RI1PIK[/j]

[j]YLXEW RI1PHA[/j]「やっと会えた……。俺は花葵神社の『人工神』だ
[j]YLXEW RI1PHE[/j]俺の力を取り戻すためには、お前の失くした記憶が必要なんだ
[j]YLXEW RI1PIO[/j]頼む! 一緒に探してくれ」
[j]YLXEW RI1PHS[/j]
[j]YLXEW RI1PHK[/j]自身を『人工神』だと名乗る不思議な青年 香月蓮は幼い頃に紗結と出会い『紗結の記憶』と『蓮の神様としての力』を封印してしまったことを告げる
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[j]YLXEW RI1PH7[/j]空白の記憶――
[j]YLXEW RI1PHQ[/j]
[j]YLXEW RI1PI9[/j]失くしてしまった記憶のカケラを探す物語が今、始まる……

[j]YLXEW RI1PHW[/j][j]YLXEW RI1PI6[/j]
☆製品情報[j]YLXEW RI1PI4[/j]
企画ディレクション:歌紗野いく [j]YLXEW RI1PIQ[/j]
キャラクターデザイン 原画:ゴゴちゃん [j]YLXEW RI1PIQ[/j]
SDキャラクターデザイン SD原画:トガタ [j]YLXEW RI1PI6[/j]
シナリオ:高岡果輪
[j]YLXEW RI1PI3[/j]発売日:未定[j]YLXEW RI1PHB[/j]
価格:7800円[j]YLXEW RI1PHR[/j]
ボイス  男(xing)キャラクターのみフルボイス (主人公ボイスなし)
今作は「人工神」×「学園」×「青春」というコンセプトのほかに「登場人物の記憶が欠けている」というものがあります。これは、主人公を含む登場人物の何らかの記憶が欠けていたり、捏造されていたり、またどの記憶が本物なのか、嘘なのか。誰が誰の欠けたピースを持っているのか……。全員の記憶を重ね合わせれば真実が見えてくる――という「記憶」も1つのポイントとして、お話が展開していきます[j]YLXEW RI1PHW[/j]

[j]YLXEW RI1PIN[/j]もちろんブランドカラーである ①ラブコメ ②BGV ③3P は継承していきます

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[j]YLXEW RI1PIL[/j]                               
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[j]YLXEW RI1PIB[/j]

[j]YLXEW RI1PHB[/j]
花葵神社の『人工神』であり、紗結の幼い頃の記憶を奪ってしまった張本人
[j]YLXEW RI1PIU[/j]            元は人間であったが、人工神プログラムの適合者となったため、国家機関によって神様プログラムを植えつけられ人工神となる
[j]YLXEW RI1PH9[/j]            その際に自身が人間だった記憶は消去された
[j]YLXEW RI1PII[/j]            本来、人工神は人間とは異なる考え方や(xing)質をもっているが
[j]YLXEW RI1PIQ[/j]            蓮は神様の力を失っているため、人間の考え方に近い部分もある[j]YLXEW RI1PI4[/j]
            人工神になってしまった自身の運命に対して、認めてはいるが
[j]YLXEW RI1PIU[/j]            その根底には、普通の人間になりたいと、人間に対して強い憧れを持っている
[j]YLXEW RI1PI7[/j]            紗結の記憶とともに神様の力を封印されてしまった蓮は[j]YLXEW RI1PH9[/j]
            他の人工神とは違い人間と生活をすることなく
[j]YLXEW RI1PHV[/j]            花葵神社に籠もっていたため、少々世間知らずな面もある
[j]YLXEW RI1PIK[/j]            神力がない蓮は、護り役の斗真の協力もあって[j]YLXEW RI1PIO[/j]
            何とか役目を果たしていたが、紗結と一緒にいたいと強く思い、学園に転入してくる
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[j]YLXEW RI1PHY[/j][j]YLXEW RI1PIE[/j]
紗結の兄。紗結とは、血は繋がっていない
[j]YLXEW RI1PHR[/j]            優しく、真面目な(xing)格で両親が亡くなってからは紗結を男手一つで育ててきた
[j]YLXEW RI1PHB[/j]            紗結とは仲が良く、何でも言い合える関係でかなりシスコン気味
[j]YLXEW RI1PHG[/j]            香月の両親が亡くなる前に自身の出自を聞き、香月家と血が繋がっていないことは理解しているが、紗結には本当のことを話せていない[j]YLXEW RI1PH7[/j]
            自身の本当の両親の記憶はなく、自分を捨てた両親と会いたいとは思っておらず、むしろ、暖かい家庭、家族の愛情を教えてくれた香月の両親にとても感謝しており、紗結は自分が守ると決意している
[j]YLXEW RI1PHY[/j]            人並みに恋愛経験はあるが、何よりも紗結が優先されるため、みな愛想をつかし、去っていったが、全く気にしていない[j]YLXEW RI1PI5[/j]
            恋愛に対しては、少しドライな(xing)格[j]YLXEW RI1PIC[/j]
            表向きは公務員となっているが、花葵神社の地下にある人工神を製造している国家機関で働いている
[j]YLXEW RI1PI1[/j]

[j]YLXEW RI1PIA[/j][j]YLXEW RI1PI9[/j]
        3P社新作www[j]YLXEW RI1PHR[/j]
        一个失忆的女主角不新鲜,一个没有血缘关系的妹控尼桑也不新鲜[j]YLXEW RI1PIR[/j]
「人工神」这个定义还是蛮有趣[j]YLXEW RI1PI5[/j]
为了保护人类而创造出来的,不知道有什么功能[j]YLXEW RI1PHF[/j]
而制造过程是从人类中挑选适格者然后植入神程序..........................同时消除作为人类的记忆
[j]YLXEW RI1PIG[/j]
[j]YLXEW RI1PIM[/j]这里自称「人工神」的男主角对女主角声称自己的力量和她的记忆一起被封印了
[j]YLXEW RI1PHA[/j]也就是说现在没有神力
[j]YLXEW RI1PH7[/j]为了回复神力就拜托女主角一起找回记忆吗
[j]YLXEW RI1PHO[/j]
[j]YLXEW RI1PIP[/j]
[j]YLXEW RI1PHO[/j]
[j]YLXEW RI1PIE[/j]因为女主角是幼年父母双亡
[j]YLXEW RI1PIS[/j]所以是尼桑一手拉扯长大
[j]YLXEW RI1PHG[/j]没有血缘关系这点也是瞒着女主角[j]YLXEW RI1PI1[/j]
表面是公务员[j]YLXEW RI1PHB[/j]
实际是在创造「人工神」的机构里工作
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]
[j]YLXEW RI1PHS[/j]等等为什么这位「人工神」和香月同姓
[j]YLXEW RI1PHP[/j]制作人有强调所有登场人物的记忆有点问题[j]YLXEW RI1PIV[/j]
或失忆,或篡改,每个人犹如拼图的一块碎片,拼凑在一起会是   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   [j]YLXEW RI1PIP[/j]
总觉得去世的父母是黑幕啊..................
【论坛搜索关键词】:🔍2016年10月28日 , 🔍円環 , 🔍Ring新作

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亞莎 + 18 + 3 + 18 主樓更新獎勵。

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头像被屏蔽
RFdUM1M=
发表于 2015-9-16 19:43:57
本帖最后由 夙砂酒 于 2015-9-16 19:48 编辑 [j]YLXEW RI1PHR[/j]

[j]YLXEW RI1PHR[/j]啊棒棒的
[j]YLXEW RI1PHW[/j]先占沙发编辑中[j]YLXEW RI1PIF[/j]
[j]YLXEW RI1PI5[/j]
================================
[j]YLXEW RI1PI9[/j]这公司一直很有好感诶[j]YLXEW RI1PIW[/j]
放出消息迅速 制作效率高[j]YLXEW RI1PII[/j]
不跳票(貌似没有吧)
[j]YLXEW RI1PI4[/j]前两作都还感觉不错
[j]YLXEW RI1PHT[/j]画风也是很喜欢
[j]YLXEW RI1PI2[/j]新作感觉画风更加喜欢啊[j]YLXEW RI1PHR[/j]
话说三作画风好像都不太一样
[j]YLXEW RI1PHG[/j]新作感觉挺学院风的
[j]YLXEW RI1PIK[/j]但是看设定好像是比较奇幻的世界观呀
[j]YLXEW RI1PHK[/j]先放出来的两个角色看着都很喜欢
[j]YLXEW RI1PHF[/j]坐等更多消息~
[j]YLXEW RI1PI7[/j][j]YLXEW RI1PI4[/j]
================================
[j]YLXEW RI1PI4[/j]封印的记忆啊神马的。好像是会有些虐的元素
[j]YLXEW RI1PHY[/j]居然还有义兄!~
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b
RFdUM1M=
发表于 2015-9-16 20:59:48
我記得這家公司的網站都是擋海外IP的呀(沒看過前兩作的官網
[j]YLXEW RI1PHY[/j]什麼時候突然解禁了
[j]YLXEW RI1PHI[/j]話說這次果然承襲品牌風格,也是3P遊戲哦?畫風比起以前更美了
[j]YLXEW RI1PIT[/j]左上角兩個男的表情一副鄙視人的樣子XD
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RFdUM1M=
发表于 2015-9-16 21:30:02
A////s'Ring又做了一个能3p的游戏!话说18n的游戏似乎都能3p
[j]YLXEW RI1PI2[/j]感觉这次的画风大不相同,先放出来的两名男(xing)角色,一看就是s值满满的家伙
[j]YLXEW RI1PIG[/j]女主角的记忆是被封住的。总觉得会有什么,女主是某某   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   OSS的剧情~~
[j]YLXEW RI1PHB[/j]期待更新情报~~
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RFdUM1M=
发表于 2015-9-17 00:27:48
看到人工神就想起以前看的一本同人叫做不死的西比尔的= =
[j]YLXEW RI1PIW[/j]一般吐槽着黑幕然后发现人工神长得好像渚薰怎么办我的心理   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   影面积增加了∑OAO
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RFdUM1M=
发表于 2015-9-17 19:28:35
看了看人物都属于可以期待3p的情节的长相www
[j]YLXEW RI1PIS[/j]欧尼酱好池啊hshs...痣长得地方简直戳.....
[j]YLXEW RI1PI9[/j]感觉16年真是太种草了......如果从今以后r18画风又好剧情又赞的游戏能多点就好了 (殴
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夜·冰苹果 该用户已被删除
RFdUM1M=
发表于 2015-9-18 22:11:13
本帖最后由 夜·冰苹果 于 2015-9-18 22:13 编辑
[j]YLXEW RI1PHK[/j][j]YLXEW RI1PIH[/j]
很喜欢这画风,比例也正好。不过却是18N的[j]YLXEW RI1PHR[/j]
男主超有好感,妹子也挺萌,不过这个失忆梗玩烂了好吗
[j]YLXEW RI1PHB[/j]人工神这个倒还能接受,不过具体是什么题材还不清楚。估计有黑化
[j]YLXEW RI1PHL[/j]期待op、剧情
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hasuga 该用户已被删除
RFdUM1M=
发表于 2015-9-18 23:29:53
3p社ww
[j]YLXEW RI1PHG[/j]之前的   ***下载/download/otomedream/ダウンロード***   物语貌似有点残念[j]YLXEW RI1PHY[/j]
不过这次的设定看起来挺有趣的
[j]YLXEW RI1PI2[/j]人类能自己创造神总觉得要受天谴诶w
[j]YLXEW RI1PHZ[/j]关于失忆那里我看到说人工神由人类中挑选合适人选然后消除记忆
[j]YLXEW RI1PHT[/j]女主也是没了记忆所以搞不好她……
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一の赖美纪 该用户已被删除
RFdUM1M=
发表于 2015-9-20 00:53:48
微博刷到情報圖時,已第一時間相中銀髮的了////[j]YLXEW RI1PHO[/j]
官配的節奏/////
[j]YLXEW RI1PIV[/j]然後妹控沒血緣關係的尼桑也是重點
[j]YLXEW RI1PHH[/j]話說為啥這個看似亞撒西的尼桑...給我一種CV會是平子的感覺OTZ
[j]YLXEW RI1PHV[/j]
[j]YLXEW RI1PIL[/j]18X好評期待中XDD
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月下影 该用户已被删除
RFdUM1M=
发表于 2015-9-20 18:24:34
asring第三作的這畫風仍是不錯呀~看起來蠻粉嫩的
[j]YLXEW RI1PHT[/j]雖說以影個人看來人設的造型似乎都有點變化不大
[j]YLXEW RI1PHA[/j]但看人物背景與世界觀的設定~倒是還蠻有趣的~
[j]YLXEW RI1PIG[/j]期待更多消息釋出囉~
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